日本耳鼻咽喉科学会会報
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100 巻 , 11 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 矢澤 代四郎, 鈴木 幹男, 北野 博也, 北嶋 和智
    1997 年 100 巻 11 号 p. 1361-1367
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    各種耳疾患の側頭骨発育状況の違いを検討するために両側メニエール病 (n=13), 一側メニエール病 (n=41), 一側慢性中耳炎 (n=25), 側頭骨骨折 (n=9), 耳硬化症 (n=12) を対象として, 外側半規管を含む内耳ターゲットCT画像スライス面で側頭骨後頭蓋窩側の骨の発育状況を計測ソフトNIH Imageを用いて計測した. 各疾患群の患側 (先発耳, 悪聴耳) と健側 (後発耳, 良聴耳) 別に統計的に比較した. 側頭骨骨折は耳疾患の既往歴のない症例を選択し, これを正常コントロール群と見なして検討した. 耳硬化症の悪聴耳と良聴耳の両耳とも後半規管と後頭蓋窩錐体縁 (P-P距離) および前庭と後頭蓋窩錐体縁 (V-P距離) は他の疾患と比較して有意に長く (p<0.01), 耳硬化症において後頭蓋窩側の骨発育が非常に良好であることがわかった. 一方, メニエール病では同部位の距離が短く, この傾向は両側メニエール病の先発耳が最短で, 次いで両側メニエール病の後発耳, 一側メニエール病の患側の順に長くなった. 重症なメニエール病ほど側頭骨の後頭蓋窩側の発育が障害されていた. 一側慢性中耳炎の患側では側頭骨蜂巣の発育障害を認めたが, 後頭蓋窩側の発育については患側と健側間には有意差を認めず, 側頭骨骨折とほぼ同程度の発育を示し, メニエール病と耳硬化症の中間の値を取った. 側頭骨後頭蓋窩側の骨の発育状況から見ると, 最も発育が悪いのは, 両側メニエール病で, 次いで一側メニエール病, 慢性中耳炎, 側頭骨骨折であり, 耳硬化症が最も発育が良かった. 側頭骨骨折群では後半規管とS状静脈洞の距離 (P-S距離) が他の疾患群よりやや長かった.
  • 伊東 明彦, 磯野 道夫, 村田 清高, 田中 久哉, 川本 亮, 東 博二
    1997 年 100 巻 11 号 p. 1368-1374
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    我々はCT画像をコンピュータでデジタル処理し側頭骨含気容量を計測する手法を用い, 全含気容量と部位別含気容量として鼓室容量, 錐体尖容量, 乳突洞容量を計測した. 対象は正常例で, 年齢12~82歳, 平均年齢46.2歳, 25例41耳である. 全含気容量は4.05±1.59ml (平均±標準偏差), 鼓室容量は0.45±0.07mlであった. 錐体尖蜂巣は41耳中15耳, 36.6%にみられ, その容量は平均0.24±0.26mlであった. 乳突洞容量は平均0.53±0.20mlであった.
    錐体尖蜂巣含気化のある症例 (15耳) とない症例 (26耳) に分け, それぞれの全含気容量, 部位別含気容量および全含気容量に対する部位別含気容量の占める割合について検討した. 全含気容量, 乳突洞容量において錐体尖蜂巣の含気化のある症例とない症例の間には推計学的に有意差が認められた (それぞれt検定, p<0.05). 錐体尖蜂巣含気化のある症例において, 錐体尖蜂巣の全含気容量に対して占める割合は4.8%であった.
    全含気容量と鼓室容量, 乳突洞容量および錐体尖容量との間には, 相関関係は認められなかった.
  • 野田 和裕, 野入 輝久, 土井 勝美, 三代 康雄, 奥村 新一, 尾崎 康弘, 肥塚 泉
    1997 年 100 巻 11 号 p. 1375-1381
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    手術や外傷を原因としない特発性の両側外リンパ瘻は成人において極めてまれな疾患である. 鼻かみにより両側同時突発性に発症し, 手術にて両側蝸牛窓に外リンパ瘻を確認した1症例を報告した. 成人両側性, 小児両側性, 一側性外リンパ瘻症例について文献的に統計比較した. 成人両側外リンパ瘻では, 一側外リンパ瘻と比較して有意に誘因をもつ率が高いが, その他の臨床面にて有意差がなく, 発症時の負荷の強さが両側発症の主な原因であると推察した. 小児外リンパ瘻は, 成人に比べ両側発症率が高く, 奇形の合併率, 瘻孔部位, 聴力予後において成人外リンパ瘻と異なっており, 先天的要素がその背景にあると思われた.
  • 白石 君男, 江浦 陽一, 加藤 寿彦, 坂田 俊文, 柴田 憲助, 曽田 豊二
    1997 年 100 巻 11 号 p. 1382-1393
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1978年から1990年までの13年間に当科でABR検査を施行した症例のうち, 潜時3msecの陰性電位を特徴とする波形 (N3電位波形) が, 高度難聴者の740例 (1,009耳) のうち48名 (6.5%) 59耳 (5.8%) に観察された. この論文ではこのN3電位が出現する状況と性質について検討し, その起源について考察した. 結果は以下のごとくであった.
    N3電位波形は10歳以下の症例で多く認められたが, 成人でも観察され, また男女差は認めなかった. 記録された高度難聴者の聴力像は低音残聴型であった. 難聴の原因は幼少児では原因不明, 成人では突発性難聴が最も多かった. また中枢性障害を示す所見は認められなかった. このN3電位波形は80dBnHL以上の強大音で出現し, 音刺激が強くなると振幅が増大し潜時が短縮した. 高刺激頻度 (83.3/sec) では潜時の延長と振幅の低下が観察された. また1カ月以内の再検査で再現性を認め, また記録装置に依存していなかった. 頭部外基準電極法により刺激反対側の乳突部から記録されたN3電位の振幅は, 刺激同側の乳突部より得られた電位よりやや大きかった. また頭皮上分布でほぼ同じ大きさの振幅で記録され, また極性の逆転は観察されなかった. このことからfar-field potentialの性質を有することが示された.
    以上から高度難聴者から記録されるN3電位波形は, アーチファクトでなく音刺激によって生じる神経性の反応と考えられた. N3電位は, 潜時3msecに出現することと波形の立ち上がりの鋭さから蝸牛の頂回転で応答している可能性は少なく, 耳石器の球形嚢を反応の起点とする可能性が示唆された.
  • 大木本 和也, 毛利 光宏, 天津 睦郎, 寺岡 優
    1997 年 100 巻 11 号 p. 1394-1400
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    気管は輪状軟骨下端からはじまり, 下方では左右の主気管支に分岐する. 気管浸潤は甲状腺癌, 下咽頭癌, 食道癌などで予後を左右する重要な因子の一つであり, これらの浸潤様式を知るには, 気管の正常構造に関する明確な知識が必要である.
    この研究は気管の正常構造を明らかにするために行った. 5例の摘出標本から腫瘍浸潤がない部分の気管を切り出し, 組織学的および免疫組織化学的に検討した.
    従来より外膜と呼ばれている気管をとりまく疎な結合組織は, ヘマトキシリンエオジン染色で外側の疎な層と内側の密な層の2層に分かれていた. この層構造は輪状靱帯に近い部位では明瞭であったが, 離れた部位では明瞭ではなかった. 内側層の結合組織は, 斜めに走行し輪状靱帯に移行した後粘膜下層に達していた. このような構造は気管の伸展性と屈曲性に寄与すると考えられた.
    気管軟骨は軟骨膜で被われている. HE染色では, 表層の線維芽細胞と成熟した軟骨細胞との間に楕円形あるいは紡錘形の細胞からなる未成熟な軟骨細胞の層が認められた. この層はエラスチカ・ワン・ギーソン染色で赤色に染色され, 周囲との境界は明瞭であった. 免疫組織化学的検討では, 表層の線維芽細胞と未成熟な軟骨細胞の層にはコラーゲンIおよびIII型の広範な分布が認められた. しかし成熟した軟骨細胞の層にはほとんど認められなかった. これらのことから未成熟な軟骨細胞の層は軟骨膜に含まれるのが妥当であると考えた.
    結論は以下のごとくであった. 1. 気管外膜は, 外側の疎な線維組織からなる層と内側の密な層の2層に分類された. 2. 軟骨膜は, 外側の線維層と内側の移行層の2層に分類された. 3. 外膜内側層の線維束は輪状靱帯に移行し, 気管の伸展性と屈曲性に寄与すると考えられた.
  • 藤本 保志, 松浦 秀博, 川端 一嘉, 高橋 浩二, 田山 二朗
    1997 年 100 巻 11 号 p. 1401-1407
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    (緒言) 我々は口腔・中咽頭癌の治療後の嚥下障害の評価のため, 嚥下機能評価基準 (Swallowing Ability Scale: 以下SASと略す) を考案し, 報告してきた. これはMTFスコアと嚥下障害スコアからなる2段階の評価であり, MTFスコアは簡便に患者の大まかな摂食能力をとらえ, 嚥下障害スコアはさらに詳細な検討を可能にするものである. 今回, 多数例の検討から, その妥当性を検証した.
    (対象と方法) 愛知県がんセンター頭頸部外科及び癌研究会付属病院頭頸科において平成7年7月から平成8年6月までに施行された口腔・中咽頭癌切除症例でSASにより評価した73例, のべ90例.
    検討した項目は (1) 舌・口腔底がん40例における舌切除範囲による2つのスコアの変動, (2) 全症例73例における2つのスコアの相関性, (3) 経時的な変化, の3点である.
    (結果) 舌・口腔底切除例において舌切除範囲が拡大するとともに, MTFスコア (p<0.01), 嚥下障害スコア (p<0.05) はいずれも有意に低下し, 障害の程度をよく反映した.
    MTFスコアと嚥下障害スコアには相関性があった. (r=0.78, p<0.001) また, リハビリテーションの前後において両スコアは相伴って改善を認め, 経時的変化を鋭敏に評価しえた.
    (結論) 本嚥下機能評価基準は, 機能障害の程度をよく反映する2段階のスコアからなり, 両者は目的に応じて使い分けたり組み合わせたりすることができる. つまり, 摂食状況の簡便な評価にMTFスコア, さらに詳しい障害部位の推定と経時変化の評価には嚥下障害スコアを用いる.
  • 夜陣 紘治
    1997 年 100 巻 11 号 p. 1408-1411
    発行日: 1997/11/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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