日本耳鼻咽喉科学会会報
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117 巻 , 10 号
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総説
  • 吉崎 智一
    2014 年 117 巻 10 号 p. 1245-1248
    発行日: 2014/10/20
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
     ウイルスが地球上に登場したのは少なくとも30億年前と考えられている. 太古の生物の誕生以来, 生物とウイルスは共存しながら, 互いの進化に影響を及ぼしつつ, 長い時間を過ごしてきた. ウイルスの病原性は細胞内絶対寄生性に起因する. このようなウイルス感染が生じた際にウイルスおよび感染細胞に生じる現象は, 細胞溶解感染, 不稔感染, 持続感染, 発癌感染, に分類される. Epstein-Barr ウイルス (EBV) が発見されて今年で50年, これまでに, 分かってきた上咽頭癌発癌機序として, まず, 一般に上皮細胞に EBV が感染すると, ウイルス複製が亢進して, 発癌どころか感染細胞が溶解してしまうことから, EBV が潜伏感染状態を維持することが必須である. 次に EBV 潜伏遺伝子発現が起こる. 中でも EBV 癌遺伝子 LMP1 は単独で線維芽細胞や上皮細胞を形質転換する. やがて遺伝子変異が蓄積して癌化する. そして, その間, 感染細胞が免疫監視機構, 特に NK 細胞や細胞障害性 T リンパ球から逃れることが必要である.
原著
  • 岡野 高之, 岩井 詔子, 谷口 美玲, 伊藤 壽一
    2014 年 117 巻 10 号 p. 1249-1257
    発行日: 2014/10/20
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
     本邦で新生児聴覚スクリーニング (newborn hearing screening: NHS) が普及してきた現在でも, その意義や判定結果の取り扱いについて医療現場で混乱がみられる. 今後, 費用対効果を含めた NHS の評価を継続し, NHS をより洗練されたものとするためには, 精密検査実施機関としての役割とその実態を明らかにし, スクリーニング機関との連携や療育と治療の指導が, 効率的かつ効果的に運用されることが必要である. 今回2006年から2012年までの7年間に, NHS を経て満1歳までに京都大学医学部附属病院耳鼻咽喉科に紹介受診し精密聴力検査を施行した106例について, 後ろ向きカルテレビュー方式で検討した. NHS で片耳か両耳かにかかわらず refer と判定されたものの79.2%が何らかの難聴を有すると診断され, 特に両耳 refer と判定された53例中では47例 (88.7%) と高い陽性的中率であった. 28例が補聴や療育を必要と判断され, 全体の26.4%であった. 人工内耳適応となった全例で初回検査の ABR 検出閾値が両耳とも105 dBnHL 以上であり, このような例では診断確定時より人工内耳に向けた準備を行っていく必要があると考えられた. さらに, NHS で pass と判定された例や, NHS を受けなかった例の中には, 補聴や療育が必要と診断された例が存在することから, 難聴児の発見のためには NHS は健診などと組み合わせながら運用することが望ましいと考えられた.
  • 久保田 万理恵, 若崎 高裕, 三原 丈直, 福島 淳一
    2014 年 117 巻 10 号 p. 1258-1263
    発行日: 2014/10/20
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
     皮膚筋炎に対しステロイド治療中の61歳男性. 上部消化管内視鏡検査で左披裂部の隆起性病変を指摘され当科を初診したが, 既に隆起性病変は消退していた. 以後, 下咽頭領域の異なる部位で, 多彩な様相を呈する潰瘍性病変が増悪と軽快を繰り返し, 急性出血を来した際には緊急止血術を要した. CMV 感染による咽頭潰瘍の診断でガンシクロビルを投与し病変は消失した. 経過中, 皮膚筋炎による咽頭筋の筋力低下と粘膜病変による瘢痕の両者が原因と思われる嚥下障害を来した. これまでの文献報告と併せて検討し, CMV 感染による下咽頭潰瘍では, ① 急性出血, ② 声帯麻痺や出血による呼吸困難, ③ 深部組織への貫通に特に留意する必要があると考察した.
  • 吉福 孝介, 西元 謙吾, 松崎 勉
    2014 年 117 巻 10 号 p. 1264-1269
    発行日: 2014/10/20
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
     30歳男性の IgA 腎症患者に対して全身麻酔下に両側口蓋扁桃摘出術を施行に際して, 筋弛緩薬を投与したにもかかわらず, 全身麻酔導入後に開口障害を来し, 術野を展開することが困難であった症例を経験した. 悪性高熱症などは否定され, 顎関節症による開口制限症例の可能性があるものと判断し, 徒手整復を施行したところ十分に開口が可能となり術野の確保が可能となった.
     口腔咽喉頭手術操作に携わる耳鼻咽喉科医にとって, 全身麻酔導入後の開口障害に遭遇した場合には, 顎関節症 III b 型によるものも原因の一つの可能性があることを考慮し, 他疾患が否定的であれば, すみやかにマニピュレーション法を施行すべきであると考えられた.
  • 鈴木 大士, 鈴木 輝久, 松井 隆道, 松塚 崇, 堀内 孝彦, 大森 孝一
    2014 年 117 巻 10 号 p. 1270-1276
    発行日: 2014/10/20
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
     遺伝性血管性浮腫 (HAE) は, C1 インヒビター遺伝子の変異が原因で, 全身のさまざまな部位で限局性に浮腫を来す疾患である. 耳鼻咽喉科領域では, 口腔, 咽頭, 喉頭, 顔面に起こり得るが, 特に咽喉頭浮腫を来した場合は致命的になる.
     症例は59歳女性で, 妊娠時の皮下浮腫や, 原因不明の腹水による入院歴がある. 今回咽喉頭浮腫の精査加療目的に当科入院した際, 補体 C4 の低下, C1 インヒビターの活性低下を認め C1q は正常であった. HAE を疑ったが, 問診からの家族歴では明らかな遺伝情報を認めなかったため, 遺伝子解析を行い C1-INH 遺伝子の Exon7 のヘテロの異常を認め確定診断に至った.
最終講義
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