日本耳鼻咽喉科学会会報
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96 巻, 9 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 非炎症性疾患を対象として
    小笠原 眞, 立木 孝, 村井 和夫, 相上 輝昭, 金井 猛, 小田島 葉子
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1395-1403,1573
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    非炎症性耳小骨離断17耳を対象として, 術後の聴力経過, 術後成績, 手術方法について検討を加えた結果, 1. 術前の聴力像は, 60dB程度の水平型が多く, 高音障害漸傾型の2耳はキヌタ骨アブミ骨間に索状物による連結を認めた. 2. 術後3週間以内の聴力改善は, 低音域で31.8dB, 中音域で22.7dB, 高音域で12.9dBであった. 3. 術後の聴力経過は, 3週間以内, 3カ月以内, 6カ月以内, 7カ月以上で著変を認めず, 安定していた. 4. 術後成績は, 全例おおむね良好であったが, アブミ骨, 特に底部とキヌタ骨間の連鎖再建術において改善傾向が少ない傾向を認めた. 5. 再建材料による聴力予後の相違は認めなかったが, 可能な限り生体材料を用いるべきである.
  • 小寺 一興, 赤井 貞康, 廣田 栄子, 三浦 雅美, 矢部 進
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1404-1409,1573
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    感音性難聴患者180例を対象に, 57S語表による語音明瞭度検査の結果を検討した. 異聴マトリックスを子音を無声子音, 有声子音, 鼻音に分けて作成した. 次に, 子音の出現頻度を57S語表と日本語会話の間で比較検討した. 日本語会話において出現頻度の高い子音はt, h, g, m, nであった. 感音性難聴患者の異聴においては, tとhはkに, dはbrに, gはbdrにmはnrに, nはmrに異聴した. 感音性難聴の明瞭度の改善を試みる場合には, 上記の異聴の改善を目標とすれば効率がよいと結論した.
  • 山川 卓也, 芳川 洋, 桜井 淳, 市川 銀一郎
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1410-1416,1573
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    磁気刺激を用いて, 顔面神経の複合筋活動電位, 並びにBlink Reflexを記録した. 対象は正常成人10名とベル麻痺2例. 刺激部位は皮質運動野, 側頭部, 耳下部, 三叉神経前頭枝眼窩上神経とした. 正常例では磁気刺激においても複合筋活動電位の記録は可能であり, かつ側頭骨内, 及び皮質も刺激可能であった. 潜時は皮質刺激が最も長く, 顔面神経の末梢へいく程短縮し, 耳下部刺激が最も短かった. またBlink Reflexでは電気刺激と同様に刺激と同側のR1, 両側のR2が出現した. ベル麻痺症例では反応の振幅は小さく, Blink Reflexでは対側のR2のみが認められた. 磁気刺激による中枢から末梢へ至る複合筋活動電位とBlink Reflexとの併用により, 顔面神経麻痺症例の病態の評価に有用と思われる.
  • 柊山 幹子, 松浦 宏司
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1417-1422,1573
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1986年から1992年までに当科で人工内耳埋め込み手術の適応を検討された症例は61例で, そのうち7例 (11.7%) が最終的に手術適応と判定された. 適応症例の選択は次の検査ステップで行われた. 問診, 耳鼻咽喉科一般検査, 純音聴力検査, 補聴効果判定, 岬角電気刺激検査, 側頭骨CTおよびMRI検査である. 検査と並行して, 本人及び家族に対し人工内耳についての説明が行われた.
    人工内耳には不適応とみなされた54例のうち28例は補聴器の適応であった. 人工内耳についての説明の後に不適応とみなされた症例が21例あった. 岬角電気刺激検査や画像検査が適応症例の選択に重要であることは言うまでもないが, 実際にこれらの検査で不適応と判定された症例数は少なかった.
  • 川浪 貢, 佐藤 信清, 柏村 正明, 千田 英二, 寺倉 直明, 佐藤 公輝, 石川 和郎, 犬山 征夫
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1423-1429,1575
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    誘発耳音響放射 (EOAE) は現在様々な分野に応用が試みられているが, 中耳伝音系に異常がなく, ティンパノグラムA型の正常耳, 感音難聴耳に対しての報告がほとんどである. しかし, 中耳の病態によりEOAEにどのような影響が現れるのか, 検討が必要と思われ, 今回, 滲出性中耳炎 (SOM) 耳を対象に検討した. 結果は純音聴力閾値上昇が軽度であるSOM耳でさえ, 著しいEOAEみかけの閾値上昇がしばしば認められた. この原因として, SOMによる中耳伝音系障害のため, 刺激音は中耳を通過する際減衰し内耳へ伝わり, 内耳より発生したEOAEもまた中耳で減衰して外耳道へ放射され, 往路・復路と二度減衰を受けることによると考えられた.
  • 松岡 明裕, 設楽 哲也, 岡本 牧人, 古川 浩三, 佐野 肇
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1430-1437,1575
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    小児真珠腫の男女差の要因を急性中耳炎, 滲出性中耳炎などの炎症性疾患と比較して検討した. その結果, 急性中耳炎, 滲出性中耳炎, 小児真珠腫はいずれもが男児に多かった. また真珠腫の病変も男児の方が高度である傾向があった. この理由として解剖学的要因, 感染防御能, 環境因子, 先天的因子, 粘液繊毛運動能, 内分泌因子という6つの有力な要因を考えた. この中で特に解剖学的要因, 感染防御能, 環境因子, 先天的要因が特に男女差に関係があると考えた. また一連の中耳炎症性疾患が病態がすすむにつれて男児に多くなる傾向があった. これは治りにくいものだけが残っていくいわば濃縮現象が起こっていると考えられた.
  • 八尾 和雄, 高橋 廣臣, 岡本 牧人, 古川 浩三, 稲木 勝英
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1438-1446,1575
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    今回我々は20年間の上咽頭癌51症例を対象として治療成績を述べるとともにTNM分類, 病理組織分類, 原発腫瘍の発生部位分類を行い5年生存率を調べ, さらに初回治療法と原発巣再発, リンパ節転移, 遠隔転移の関係を検討することで今後の本疾患の治療成績を向上させると考え報告した. 全症例の5年生存率は60.6%で比較的良い結果であった. 放射線療法と化学療法の併用群は61.5%, 併用なし群は56.5%であった. 初回治療後の原発巣再発, リンパ節転移, 遠隔転移は化学療法併用群に少なかった. 本疾患の治療には放射線療法に化学療法の併用, さらに特徴的である免疫能低下を考慮して免疫療法の導入も必要と考えた.
  • 顔面に皮膚切開を加えない一塊切除術式
    西川 邦男, 西岡 信二, 青地 克也, 小池 聰之, 行木 英生
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1447-1456,1575
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
    頭蓋底手術は, 頭蓋底に浸潤した頭頸部進行癌症例に対して, 癌の一塊切除と, 治療成績の向上を目標としている. しかし, 頭蓋顔面は体の露出部であるため, 手術創痕を極力少なく, 可能ならば, 顔面に皮膚切開を加えずに手術を行う美容的配慮も必要となる.
    頭蓋底手術に必要な冠状頭皮切開に歯齦切開と眼瞼結膜切開を併用すれば, 顔面皮膚を頭蓋顔面骨より剥離することが可能であり, 従来の拡大上顎全摘術や頭蓋底手術を行うことができる.
    今回, 我々は, このdegloving techniqueを用いて, 顔面に皮膚切開を加えることなく頭蓋底手術を行い, 癌の一塊切除を行い得たので, その術式を紹介する.
  • 稲木 勝英, 高橋 廣臣
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1457-1464,1577
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    口腔・咽頭のみに生じた不規則な形の潰瘍性病変で, 様々な検査でその原因を見いだすことができず, 再発傾向を持ち, さらに適切な治療が行われないと1カ月以上も治癒しない病変を難治性口腔・咽頭潰瘍と定義し, 該当する症例25例に対し臨床的検討を行った.
    その結果, 年齢, 性, 既往歴, 病変部位および性状, 予後について特異性を見いだすことができ, 難治性潰瘍は1つの疾患であるものと考察した. また, 難治性潰瘍の病因に関しては, HLA等の素因がある可能性が示唆され, これに何らかの誘因が加わることにより局所の免疫異常を呈し, そのため潰瘍が進行しさらに難治になるものと推測した.
  • 米川 博之, 大橋 正實, 宮下 宗治, 後藤 みずほ, 根本 聰彦, 菊地 秀樹, 酒井 昇, 犬山 征夫
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1465-1470,1577
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    CTの新しいデータ収集方式であるヘリカルスキャン法を用い, 側頭骨内構造物の3次元画像の構成を試み臨床的応用について検討した. 症例は1992年2月から10月までに本法により撮影された代表的な9症例である. 本法は検査時間が短く, 画像の加工の自由度の高く, さらに連続性の高い多数枚の画像データを得ることができる. これにより側頭骨内の微細構造物の3次元画像の描出が可能であった. 結果, アブミ骨上部構造の描出は現在のところ不可能ではあるが他の鼓室内構造物, 特に鼓室形成術後状態, また内耳骨迷路奇形の状態, 骨破壊の範囲などの把握, 手術のシュミレーションなどに本法による3次元画像は一般臨床的に有用と考えられた.
  • CRおよびCTによる検討
    宮崎 巨
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1471-1481,1577
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    甲状腺手術症例114例 (分化癌63例, 濾胞腺腫51例) を対象としてFCR (Fuji computed radiography) およびCTの石灰化病変に対する有用性を検討した. FCRは軟線撮影と比べてほぼ同等の石灰化像検出率が得られ, CTではさらに石灰化像の検出率が向上した. 良性腫瘍症例では高齢者に石灰化像の出現率が高い傾向がみられた. FCRによる石灰化像の形態分類から, 鋭利な陰影を呈するものは分化癌のことが多かった, CTでみると分化癌では良性腫瘍に比べて腫瘍陰影内に石灰化像を伴う場合が多かった. FCRは本疾患に対して有用な検査法であり, CTを併用することによって, より詳細な情報が得られることがわかった.
  • 藤原 裕美
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1482-1489,1577
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ポリペプチド系抗生物質Tuberactinomycin (Tum) の13種類の誘導体について, 化学構造と耳毒性の強さとの関連を検討した. まず耳毒性を定量的に比較する方法を確立するため, アミノグリコシドTOB, GM, NTL, ISP, AMKを用いて, カエル摘出後半規管膨大部神経の機械的内リンパ流動に対する活動電位に与える影響を測定し耳毒性を比較したところ, 従来の報告と一致する結果が得られた. 同じ方法でTum誘導体の耳毒性を比較したところ, 酸性または塩基性の基を持つものは脂肪族の基を持つものよりも強い耳毒性を持つ傾向がみられた. またアミノグリコシド及びTum誘導体の両方で, 溶液の濃度により各薬剤間の耳毒性の程度が異なる傾向が見られた.
  • 黒田 令子
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1490-1500,1579
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    外傷性鼓膜穿孔231例231耳の臨床統計学的調査を行った. また鼓膜の破断限界の値から, 鼓膜穿孔を生じる力を力学的に計算し考察した.
    受傷原因は直達性101耳, 介達性130耳, 性別は男127耳, 女104耳であった. 鼓膜写真から受傷部位は前下象現, 穿孔の形状は裂隙形および鼓膜欠損度は10%以下が高頻度に認められた. 経過を追跡できた新鮮例127耳中120耳 (94.5%) が非観血的治療で治癒した.
    ヒト正常鼓膜における放射状線維の直角方向の引張応力 (破断限界: 1.0kgf/mm2) と薄膜理論に基づいて介達性鼓膜穿孔に要する力を試算したところ, 鼓膜の円筒変形の際の最小破断力は, 13.7gf/mm2と算出された.
  • 人年法による解析
    中溝 宗永, 鎌田 信悦, 川端 一嘉, 高橋 久昭, 苦瓜 知彦, 保喜 克文, 内田 正興, 日山 與彦
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1501-1509,1579
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌患者2083例の第2癌の発生について観察人年法を用いて相対危険度を解析し, 重複癌での臓器相関性および喫煙飲酒歴の関係について検討した. 舌癌, 口腔癌, 中下咽頭癌, 喉頭癌症例での第2癌の発生は一般人口のそれより高率に認められた. 第2癌の臓器相関性は男性舌・口腔癌, 中下咽頭癌, 喉頭癌に対する口腔・咽頭, 食道癌に認められ, また喉頭癌では肺癌にも相関性が認められた. Heavy smoker, heavy drinkerが多い頭頸部癌では高頻度に喫煙と飲酒に関連する第2癌の発生を認めた. したがって頭頸部癌の高頻度の第2癌の発生および臓器相関性は喫煙・飲酒の関与が考えられた.
  • 1993 年 96 巻 9 号 p. 1510-1525
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 96 巻 9 号 p. 1526-1536
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 96 巻 9 号 p. 1537-1559
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 副鼻腔鼻内手術と指標
    内田 豊
    1993 年 96 巻 9 号 p. 1560-1563
    発行日: 1993/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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