非炎症性耳小骨離断17耳を対象として, 術後の聴力経過, 術後成績, 手術方法について検討を加えた結果, 1. 術前の聴力像は, 60dB程度の水平型が多く, 高音障害漸傾型の2耳はキヌタ骨アブミ骨間に索状物による連結を認めた. 2. 術後3週間以内の聴力改善は, 低音域で31.8dB, 中音域で22.7dB, 高音域で12.9dBであった. 3. 術後の聴力経過は, 3週間以内, 3カ月以内, 6カ月以内, 7カ月以上で著変を認めず, 安定していた. 4. 術後成績は, 全例おおむね良好であったが, アブミ骨, 特に底部とキヌタ骨間の連鎖再建術において改善傾向が少ない傾向を認めた. 5. 再建材料による聴力予後の相違は認めなかったが, 可能な限り生体材料を用いるべきである.
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