日本耳鼻咽喉科学会会報
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77 巻, 8 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 村上 泰
    1974 年 77 巻 8 号 p. 563-578
    発行日: 1974/08/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    目的……外喉頭筋群の呼吸における活動の意義を検索するため,ネコを用いて電気生理学的研究を行なつた.
    方法……普通の呼吸下で自発性発射を筋電図により記録,色々な呼吸条件を負荷してその変化を調べた.呼吸中枢,胸廓内afferent,local feed back mechanismなどの関係を調べるため,適切な条件負荷を行なつて記録した.
    結論……外喉頭筋群は補助呼吸筋として活動し,吸気相で活動するもの,呼気相で活動するもの,tonicなもの,の三煮に大別され,呼吸中枢の支配下で呼吸性自発性発射を示し,その発射パターンは胸廓内afferentからの知覚によつて著しい影響を受け,また,舌骨や喉頭の呼吸性上下運動によつても修飾されるものである.吸気梱における活動は声門運動とも関孫があると考えられ,呼気相における活動は吸気根で下降した喉頭を挙上する役割はたすものと結論した.
  • 井上 憲文
    1974 年 77 巻 8 号 p. 579-586
    発行日: 1974/08/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    目的:1963年以来,喉頭癌に対しては6000-7000radの全線量照射を行ない,その後の経過に応じて二次処置必要例のみに喉頭部切あるいは全摘•亜全摘を併用するようにしてきた.さらに治療成績を向上させ,形態と機能を保存するために,適正照射量を個々の症例について決め,腫瘍摘出術をみあわせているものも少なくなく,また進展例でも部切や亜全摘ですむように,照射過程に応じて喉頭微細手術を実施している.
    方法:喉頭癌で放射線治療中あるいは治療後経過観察中の症例に,腫瘍の発生部位や広がり,あるいはその治療経過に応じて微細手術を行なつた.声帯癌には照射開始の直前あるいは直後に,組織切片採取だけでなく,充分に腫瘍をつみとり,術後照射の形式をとつた.仮声帯,喉頭蓋喉頭面,披裂部などの腫瘍で,照射によつても治癒傾向の少ない症例には,減量手術の形式で腫瘍を清掃除去し,いきいきした腫瘍は残して照射を続けた.部切•亜全摘後の症例で,形成喉頭内に壊死を生じた場合には,内視鏡的に壊死組織を吸引除去することをくり返した.
    結果:1972年1月より1973年12月までの2年間に48例の喉頭癌症例に微細手術を実施した.初診時所見では,T2,T3症例が多かつた.未照射例より,全線量照射終了例,さらには再照射例まで,照射のさまざまの段階で行なつた.照射以外には気管切開や喉頭部切,亜全摘を受けていたり,あるいは既に喉頭微細手術を受けたことのある症例もあつた.
    照射効果が不充分で腫瘍の壊死脱落傾向が少なく組織切片採取にとどめたものや,腫瘍が進展していて微細手術では清掃が不充分な症例もあつたが,31例(65%)は内視鏡操作で充分清掃できた.止血も容易で,経口挿管例でも気管切開は不要であつた.
    喉頭全摘例は激減し,竿期に社会復帰している症例が多い
  • 鈴木 篤郎, 堀内 潔子, 小泉 智
    1974 年 77 巻 8 号 p. 587-592
    発行日: 1974/08/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    目的:頭皮上より導出されるピーク潜伏時間5~8msecの陽性波(聴性脳幹反応と仮称)を他覚的聴力測定への応用という見地から検討するのが本研究の目的である.
    方法:刺激音としてクリックを使用し,毎秒8回の頻度で,スピーカを通して被検者にきかせた,最高出力は80dB(HL)である.反応は頭頂部耳垂におかれた電極より前置増編器,フイルタ 増幅器を介してコンピュタに導かれ,原則として2000回加算され,XYレコーダで記録された.被検者として覚醒時正常成人9名,7~17か月の睡眠時正常幼児3名と5才の正常幼児1名とを使用した.
    結果:1)反応波形は刺激後5~8msecに頂点を持つ陽性波であるが,その途中にいくつかの連続した陽性波を示す型,単峰性陽性変動を示す型,丘状陽性変動を承す型,およびそれらの中間型が認められた.
    2)反応のピーク潜伏時間は刺激音強度および被検者の年令により左右され,80dBの刺激で成人の平均値は5.Slmsec,7~17か月の幼児の平均値は6.85msecであつた.
    3)反応の振幅も刺激音強度および被検者の年令により差異があり,80dBで成入の平均値0.98μV,幼児0.69μVであつた.
    4)反応域値は成人で5~20dB,幼児では7か月児を除き25~30dBであつた.
    本反応は他覚的聴力測定の指標として利用しうるとともに中枢性聴覚障害や脳幹疾患の細別診断にも役立ちうるものと考えた.
  • 超高速度映画による研究
    平野 実, 松下 英明, 州崎 洋, 吉田 義一, 小池 靖夫
    1974 年 77 巻 8 号 p. 593-610
    発行日: 1974/08/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    1)目的:病的な声帯振動のモード,メカニズムに関する研究の一環として,一側性のポリープを有する声帯の振動モードを検討した.この方面の研究の礎石の一つに加えたい.
    2)研究方法:限局性の声帯ポリープ6例,ポリープ様声帯1例,計7例を対象とした.声帯振動を超高速度映画に撮影し,filmmotionanalizerを用いて,振動モーードの概要の観察,1コマ毎の分析,声門幅および声門面積波形の検討などを行なつた.
    3)主なる成績
    a)声門閉鎖は限局性のポリープでは全例不完全であり,ポリープ様声帯の1例では完全であつた.
    b)連続せる振動はほぼ規則的な症例が多かつた.
    c)振幅は患側の方が健側より小さく,また,健側においても正常より小さい例が多かつた.患側の振幅が小さいのは,質量の増加が主な原困であり,健側の小さいのはポリープが健側の動きを抑制しているためと考える.又,声門閉鎖不全による呼気漏出も関係レていると考えられる.
    d)粘膜波動は,両側とくに患側で小さい例が多かつた.
    e)両声帯の動きには,著明な位相のずれを認める例が大多数であつた.これは両声帯の物理的性質が著しく異なるためと考える.同一声帯内の異なる点の動きにも,ほとんどの例で位相のずれが認められた.患側では一般にポジープは固有の声帯より遅れて動く.健側ではポリープによる影響を直接受ける部位と,直接には受けにくい部位とがあるので,それらの間に位相のずれを生ずるものと考える.
    f)声門面積波形は症例によつて種々の形態を呈した、特定の点の動き,声門幅波形等は,面積波形に比較的類似することもあるが面積波形の代用とすることは,当を得ない
  • 浅賀 英世
    1974 年 77 巻 8 号 p. 633-636
    発行日: 1974/08/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
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