日本耳鼻咽喉科学会会報
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106 巻 , 12 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 木村 晋太
    2003 年 106 巻 12 号 p. 1115-1120
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    最近の音声合成技術の発達により,カーナビゲーションシステム,ボイスポータルを代表とする電話情報サービスシステム,高齢者•障害者向けシステムでの利用が拡大している.自動車や歩行者などモバイル環境では,携帯情報機器の表示画面を見て情報を取得することができないため音声合成の利用が必須となる.また携帯電話では表示画面•文字が小さいため音声での情報提供が効果的である.システムあるいはサービスの品質は,ガイダンスに使う音声の品質に大きく影響されるため,音声合成の重要性は日々増している.
    本稿では,まず音声合成技術の歴史と現在を概観する.つぎに,音声合成の効果的な実用化事例を紹介する.最後に,技術側からみた耳鼻咽喉科領域での新しい知識に対する期待について述べる.
  • 水足 邦雄, 斉藤 秀行, 小澤 宏之, 稲垣 康治, 井上 貴博
    2003 年 106 巻 12 号 p. 1121-1126
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    原発性上皮小体機能亢進症に対して手術を施行した26例について,術前後の血清カルシウム,HS-PTH濃度の変化,および摘出標本の病理型による差異を中心に報告する.対象は平成5年4月より平成13年10月までに当科で手術を施行した26例で,これらの中に明らかな家族性高カルシウム血症,多発性内分泌腺腫症,悪性腫瘍合併症例は1例もなかった.全例,術前の画像診断にて1腺のみの腫大が認められ,全身麻酔下にて腫大腺のみの摘出を行った.その際,健側頸部の検索や.正常腺の生検は行わなかった.術後,全例で臨床症状の軽快を認め,また再手術例や永続的低カルシウム血症は生じていない.術後の血清カルシウム,HS-PTH濃度は有意に減少していた.また,永久病理標本による病理診断により腺腫群(n=16)と過形成群(n=8)の2群に分類したところ,両群とも血清カルシウム,HS-PTH濃度ともに有意に減少していた.さらに術後6カ月のHS-PTH濃度は腺腫群,過形成群で有意差を認めなかった.過形成群では術後1カ月と術後2年のHS-PTH濃度に有意差を認めなかった.その結果,家族性高カルシウム血症や多発性内分泌腺腫症のない症例で,術前の画像診断にて1腺のみの病変が疑われたものについては,腫大腺のみの摘出が腺腫,過形成の病理型によらず良好な成績を上げることが出来ると思われた.また,この術式では術後の永続的低カルシウム血症を防止できると考えられた.
  • 斉藤 秀行, 稲垣 康治, 山下 拓, 羽生 昇, 荒木 幸仁, 小澤 宏之, 水足 邦雄
    2003 年 106 巻 12 号 p. 1127-1134
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    アデノイド増殖症,口蓋扁桃肥大による小児睡眠時無呼吸症候群の検査として,睡眠中の経皮的酸素飽和度(SpO2)の有用性を検討した.普段いびきをかかず,その他の呼吸器疾患を持たない小児22例と,いびき,口呼吸などの睡眠時無呼吸症候群を疑わせる症状を呈する小児163例について検討した.また,163例のうちアデノイド切除術,口蓋扁桃摘出術を行い.術前術後に検査を施行し得た67例につき,従前検査と術後の成績について検討した.検討する項目は,SpO2の最低値(LSpO2),睡眠1時間あたりSpO2が平均値より4%以上低下したか,89%以下に低下した回数(Oxygen desaturation index: ODI),睡眠1時間あたりSpO2が95%以下に低下した総時間量(Total Duration of desaturation: TDD95)とした.正常例ではほとんどの症例で酸素飽和度の低下を認めず,その結果はこれまでの報告と相違なかった.正常例の平均値から標準偏差の2倍離れた値を暫定的に正常異常の境界値としたところ,全163例の検査結果はLSpO2では105例,ODIでは75例が,TDD95では76例が正常と判定された.また,検査値の分布を検討したところ,最頻値は境界値周辺に認められた.術前の検査値と術後の値を検討したところ,術前の検査値と手術による改善度は非常に強い相関を示した.そこで,手術により改善した症例を陽性として,それぞれの検査値ごとの感度と特異度を検討した結果,手術の成功率100%を目標にした場合LSpO2=87%, ODI=3.5, TDD95=30.0を適応基準とし90%を目標とした場合LSpO2=90%, ODI=2.0, TDD95=7.0を適応基準とすればよいことが判明した.以上より睡眠中のSpO2の測定は小児OSASのスクリーニング検査として有用であると考えられた.
  • 堀之内 謙一, 小宗 静男, 河野 浩万, 君付 隆
    2003 年 106 巻 12 号 p. 1135-1138
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    コレステリン肉芽腫に対しては様々な治療法が行われているが,治療が長引く例や再発例が少なくない.今回,われわれは頭蓋内に進展し小脳や脳幹の障害症状を呈する巨大耳性コレステリン嚢胞症例を経験した.手術は,嚢胞内から鼓室へ大口径のシリコンドレーンを留置し,意図的浅在鼓膜形成を行った.この方法により効果的なドレナージと中耳含気腔形成が得られ,さらに嚢胞内の含気促進,肉芽の活動性低下から嚢胞の縮小に至った.このように脳神経外科的なアプローチによらず,侵襲のきわめて小さい耳科的アプローチにより良好な経過が得られた.同様な症例ではまず検討すべき有効な手術法と考えられたのでここに報告する.
  • 篠崎 剛, 石井 甲介, 椿 恵樹, 太田 康, 安達 秀雄
    2003 年 106 巻 12 号 p. 1139-1142
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    Von Recklinghausen病(NF-1)患者の左横隔神経由来悪性末梢神経腫瘍(MPNST)症例を報告した.本報告は横隔神経由来と同定された悪性末梢神経腫瘍としては我々が渉猟し得た限り英文,和文ともに初の報告である.NF-1の神経線維腫からMPNSTが発生すること.そしてその予後は十分に認識されているとは言い難い.医療者側の認識を改めると同時に患者側への啓蒙が必要である.NF-1患者の腫瘤については悪性である可能性を考えて十分な切除マージンを取れる術式を選択し,根治治療を行わなければならない.
  • 車 哲成, 中山 明峰, 中野 淳, 呉 孟達, 稲福 繁, 馮 国剛
    2003 年 106 巻 12 号 p. 1143-1151
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    めまい疾患は,うつ病の発症と関連が深く,メニエール病をはじめとする内耳性疾患に抑うつ症状を伴うことがある.本研究では内耳障害が中枢神経系に与える影響について検討した.ラットの鼓室内にシスプラチンを投与して一側性内耳障害を惹起させ,それによる脳内モノアミン合成酵素の量的変化について調べるため,内耳障害側と健常側とを免疫組織化学的に比較検討した.脳内モノアミンであるセロトニン(5-HT),ノルアドレナリン(NA),ドーパミン(DA)の合成酵素に対する抗体を用いた.その結果,縫線核,視床下部,青斑核,橋腹外側部などの脳の各部位はにおいて,健常側と比較すると,内耳障害側においてそれぞれ5-HT, DA, NA各合成酵素の免疫陽性神経細胞の減少および染色強度の低下が見られた.これらの結果は,一側性内耳障害が同側性に脳内モノアミン合成酵素の発現を抑制して,モノアミン合成を低下させることを示唆した.脳内モノアミンの低下が,抑うつなどの情動障害の発現に深く関与することが知られているので,内耳障害と抑うつ症状とが密接に関係している可能性が考えられた.
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