上気道慢性炎症において, 局所粘膜における免疫応答の解明は, その遷延化の原因解明や治療に結びつく重要な問題である. そこで今回, 慢性副鼻腔炎上顎洞粘膜に認められるリンパ濾胞形成という現象に着目し, その頻度, 構造, 形成過程について免疫組織化学的手法を用いて検討した. 結果, 上顎洞粘膜にはリンパ濾胞が高率に存在し, その成立には繊毛上皮のリンパ上皮共生様変化や, 高内皮細静脈に導かれたリンパ球集簇が重要であり, 樹状細胞の出現とT, Bリンパ球の相互作用が不可欠であることが判明した. これらの事実より, 慢性副鼻腔炎におけるリンパ濾胞の存在は, その慢性化病態に密接に関連しているものと考えられた.
抄録全体を表示