日本耳鼻咽喉科学会会報
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109 巻, 5 号
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  • 加納 里志, 古田 康, 本間 明宏, 折舘 伸彦, 樋口 榮作, 鈴木 章之, 永橋 立望, 澤村 豊, 福田 諭
    2006 年 109 巻 5 号 p. 433-439
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    嗅神経芽細胞腫は比較的まれな腫瘍であり,そのため,その治療法が確立されていない.今回我々は,北海道大学病院で経験した嗅神経芽細胞腫17症例に関し検討を行った.
    対象:1980年4月-2004年3月の25年間に我々が治療を行った男性9例,女性8例,年齢は16-76歳で,平均年齢50.4歳.生存例の観察期間は1年8ヵ月-16年6ヵ月,平均7年9ヵ月であった.
    結果:初回治療の内訳は手術単独が2例,手術+照射5例,手術+照射+化学療法2例,照射単独3例,照射+化学療法5例であった.治療の結果,手術単独または照射単独症例は全例局所再発をきたしたのに対し,手術+照射5例中3例は局所再発なく,さらに化学療法を併用した2例は2例共再発なく経過している.また,手術を施行せず照射と化学療法により制御されている症例も見られた.化学療法としてはifosfamide,cisplatin,etoposideのいわゆるICE療法を併用した6例中5例(83%)は再発を認めなかった.
    全症例での5年粗生存率は75.5%,10年では64.7%であった.また,Hyamsの病理分類を検索しえた14例では,low-grade例(8例)の5年粗生存率は87.5%,high-grade例(6例)では33.3%であった.
    結論:嗅神経芽細胞腫に対する治療として,手術に放射線治療と化学療法を組み合わせた集学的治療が生存率の向上に寄与する可能性が示唆された.また,病理学的分類が一つの予後因子であると考えられた.
  • 任 智美, 梅本 匡則, 根来 篤, 美内 慎也, 阪上 雅史
    2006 年 109 巻 5 号 p. 440-446
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    近年,quality of life(QOL)の要求が高まるにつれ,味覚障害は様々な場で取り上げられるようになった.しかし,味覚障害の各原因において治療転帰を報告したものはほとんどなく,どれ位の期間治療を要するのか疑問である.今回,我々は味覚障害を原因別に追跡して自覚症状や味覚検査の改善率および平均改善期間を検討した.
    味覚外来を受診し,転帰が確定し得た321例(男性131例,女性190例,平均年齢59.9歳)を対象とした.治療は主に亜鉛製剤,抗うつ剤,鉄剤,漢方薬等を使用した.全例,初診時に問診,電気味覚検査,濾紙ディスク検査を施行し,治療終了まで経過を追った.原因分類では特発性が125例(38.9%),薬剤性が62例(19.3%),感冒後が38例(11.8%),心因性が21例(6.5%),鉄欠乏性が18例(5.6%)であった.
    自覚症状において特発性では79/103例(76.7%),感冒後では24/33例(72.7%),鉄欠乏性では14/17例(82.4%)に改善がみられたのに対し,薬剤性では32/50例(62.4%),心因性では5/15例(33.3%)と改善しにくい傾向にあった.また平均改善期間も前者3疾患では平均が4ヵ月から6ヵ月であったのに対して,薬剤性では平均1年と長くかかる傾向にあった.また症状出現から受診まで6ヵ月以上経過している症例では改善率が悪く,回復までの期間が有意に長かった.
  • 波多野 篤, 志和 成紀, 飯村 慈朗, 月舘 利治, 森山 寛
    2006 年 109 巻 5 号 p. 447-454
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    眼窩骨膜下膿瘍は,隣接する副鼻腔からの感染により眼窩骨と骨膜間に膿瘍形成を起こした状態であり,局所の感染巣とその後の眼窩内圧上昇のために視力障害などの視器症状を併発し,時にこれが残存するために早期の診断と治療が必要な疾患である.今回,急性および慢性副鼻腔炎と副鼻腔嚢胞に続発する眼窩骨膜下膿瘍の5例を経験し,その手術適応と術式に関して検討を行った.1例は保存的治療により治癒したが,4例に対しては手術治療を行った.眼球突出,複視や視力障害などの視器症状が進行する例やCTなどの画像診断にて膿瘍形成が認められる例では,合併症防止のために早急な眼窩内容の減圧が必要である.そのアプローチ法としては,従来の外切開でなく膿瘍穿刺および内視鏡下鼻内アプローチによりその感染源である副鼻腔病変と眼窩病変に対して処置が可能であり有用と思われた.
  • 資源適合仮説(The resource budget model)に基づいて
    前田 昌紀, 間口 四郎, 中丸 裕爾, 高木 大, 福田 諭
    2006 年 109 巻 5 号 p. 455-460
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    (目的)シラカンバは北海道において最も重要な花粉症原因抗原の一つである.以前我々は1990年から2000年までの花粉飛散数をもとに資源適合仮説によるシラカンバ花粉予測式を作成し,同年の花粉飛散と良好な相関関係を認めることを報告している.今回本予測式を用いた花粉飛散予測の結果と実際の花粉飛散数を比較検討し,また各変数の有用性を統計学的に検討した.(方法)北海道大学大学院医学研究科屋上にダーラム型花粉捕集器を設置し花粉捕集した.花粉飛散予測式は前年の5月と6月の日照時間および平均気温と前年および2年前の花粉飛散数を用いて作成した.(結果)本予測式を用いて予測した花粉飛散数と実際の観測値の差は約200個/cm2から500個/cm2であった.予測式に用いた4つの変数{日照時間(前年5月6月)•平均気温(前年5月6月)•前年の花粉飛散数•2年前の花粉飛散数}のうち最も重要であったのは,前年の花粉飛散数であった.
    (結諭)今回の予測式では"平年以下","平年並み","平年以上","大量飛散"程度の予測を行うには十分満足できるものであのった.
  • 視覚矛盾刺激により得られる前庭動眼反射(VOR)適応現象の角速度特異性について
    鈴木 一輝, 渡辺 昭司, 加藤 弓子, 島田 園子, 肥塚 泉
    2006 年 109 巻 5 号 p. 461-468
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    前庭動眼反射には長時間続く視覚入力の変化に対しその特性を変化させ,頭部運動時に指標の網膜上のずれを防ぐ機構があり,これを適応現象という.今回我々は19名の健康成人を対象とし,2種類の視覚-前庭矛盾による適応刺激(30度/秒,60度/秒)を与え,他の条件への移行様式に違いがあるか検討を加えた.また回転軸が変化した場合に,獲得した適応現象がどのような影響を受けるかを検討する為,EVA(earth vertical rotation)下に60度秒で適応現象を獲得した後,どのような適応現象の移行を示すかを30度nose-up•30度nose-downでのOVAR(off vertical axis rotation)下で検討した.適応刺激には網膜上の視機刺激のずれ速度を2倍にする方法(×2刺激)と,なくす方法(×0刺激)を用いた,最大角速度30度/秒,周波数0.3Hzでは×2刺激で30度/秒と40度/秒で利得増加を認め,より大きな角速度への適応現象の移行を認めた.最大角速度60度/秒,周波数0.3Hzでは×2刺激で他の角速度への移行はなかった.OVARでは×2刺激で利得増加を認めたが,×0刺激では利得変化は認めなかった.半規管-眼反射における適応現象は角速度の違いによる差異を有する可能性が示唆された.OVARでの利得の変化はこれを構成する成分である半規管-眼反射の変化によるものと思われた.
  • 側頭骨外傷
    東野 哲也
    2006 年 109 巻 5 号 p. 478-481
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
  • 間島 雄一
    2006 年 109 巻 5 号 p. 482-483
    発行日: 2006/05/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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