日本耳鼻咽喉科学会会報
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110 巻 , 2 号
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総説
  • 部坂 弘彦
    2007 年 110 巻 2 号 p. 49-52
    発行日: 2007/02/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    喉頭, 音声領域において, 我々はフレキシブルファイバースコープ (以下ファイバーと略す), ストロボスコープ (以下ストロボと略す) を利用し, 外来において局所麻酔下にOffice Surgeryを施行している. 使用する器具は, ファイバーはオリンパス社製電子スコープENF Type VT, ストロボはKAY社製のものを使用し, 鉗子口より数種類の鉗子, 注入針を利用して手術を行っている. 一昨年より電子スコープを導入することによってより鮮明な画像が得られ, 粘膜波動の状態を詳細に観察できるようになった. 現在まで喉頭蓋嚢胞16例, 声帯ポリープ約450例, 声帯嚢胞26例, 反回神経麻痺に対する声帯内アテロコラーゲン®注入術約300例, けいれん性発声障害に対するBotulinum Toxin (Botox®) 声帯筋内注射11例を施行した. 医療機器の進歩により診断技術の精度が向上した. また症例を重ねることにより, より確実な手術操作を行えるようになってきた. 各疾患における適応, 限界について検討した.
    1. 声帯ポリープ
    適応 : ポリープの大きさが3-4mm程度で有茎性のもの. ストロボ上軟らかい粘膜波動を認めるもの.
    限界 : 広基性ポリープ, 声帯結節, ポリープ様声帯, Professional voice user.
    2. 声帯嚢胞
    適応 : 類表皮嚢胞 (epidermoid cyst) の再発例, 貯留嚢胞 (retention cyst) で隔壁がほとんど見えない症例.
    3. 喉頭蓋嚢胞
    適応 : 咽喉頭異常感を主訴とする喉頭蓋舌面に存在する嚢胞で呼吸困難を伴わない症例.
    4. 反回神経麻痺
    適応 : 一側性声帯麻痺で発声時声門閉鎖不全の小さな気息性嗄声を呈する症例, および全身麻酔下の音声改善手術 (声帯内転術, 甲状軟骨形成術など) が不可能な症例. 発声時声門間隙の大きな症例, および声帯筋の萎縮が高度な例では限界がある.
    5. 過緊張性性発声障害
    適応 : Spasmodic Dysphonia (SD) の患者, またMuscle Tension Dysphonia (MTD) で音声治療にて改善できない症例に適応がある.
原著
  • 後藤 孝, 坂東 伸幸, 吉崎 智貴, 高原 幹, 野中 聡, 原渕 保明
    2007 年 110 巻 2 号 p. 53-59
    発行日: 2007/02/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    IgA腎症は, 主に耳鼻咽喉科医を中心に, 扁桃病巣感染症の代表的な2次疾患として認識され, 長期予後に対して扁桃摘出術が有効であると報告されているが, どのような症例に対して扁桃摘出術が有効なのか, 現時点ではエビデンスを満たす報告はない. IgA腎症では, 扁桃がIgAの過剰産生に関与していることが推測されている. BAFF (B cell activation factor belonging to the TNF family) は樹状細胞, 単球などから放出され, B細胞上に発現した受容体に結合し, B細胞の活性化, IgAを含む免疫グロブリンの産生に深く関与する. このことから, 扁桃と自己免疫疾患と考えられるIgA腎症を結びつける因子としてBAFF分子が, IgA腎症の予後を術前に予測できるのかどうか, 当科の治療効果とともに検討した. 全症例平均観察期間35.7カ月の予後は, 寛解率39.0%であった. 経時的に治療効果を調べると, 血尿では経過観察期間が長いほど治療効果が良い傾向を認めた. 血清BAFF値は対照群と比較し有意差は認めなかったが, 血清IgA値を補体C3で割った値IgA/C3比では, 血清BAFF値と弱いながら, 正の関係を認めた. 血清BAFF値を, 高値 (3.2ng/ml以上) と低値 (3.2ng/ml未満) の群に分け, 累積の寛解率, 血尿, 蛋白尿の累積の陰性化率について検討したところ, 血清BAFF高値群では血尿の累積改善率が悪い傾向を認めた. 以上から, 扁桃摘出術は血尿の改善効果が期待され, BAFF分子が, 扁桃摘出術を行う上で, 予後との関連性は明らかにならなかったが, IgA腎症の発症において重要な因子になりうると考えられる.
  • 佐藤 克郎, 佐藤 裕子, 山本 裕, 早坂 修, 高橋 姿
    2007 年 110 巻 2 号 p. 60-64
    発行日: 2007/02/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科の診療において声帯麻痺はまれな疾患ではなく, 特に医育機関や総合病院では手術後の紹介症例が多いと思われる. 声帯麻痺の治療にはさまざまな方法があるが, 挿管性麻痺などでは自然回復も多く, 治療法選択と時期決定の判断は単純ではないのが現状である. そこで, 当科で経験した声帯麻痺症例を臨床的に調査し, 音声予後の自然経過を中心に検討した. 対象は15年間に当科音声外来を受診した171例で, 音声外来新患総数の18%にあたった. 性別は男性69%, 女性31%で, 年齢は4歳から89歳 (平均58歳) であった. 両側性麻痺が18%, 片側性は82%で, 片側性の麻痺側は左が71%と多数を占めた. 麻痺の原因は術後性が59%と半数以上を占め, 当該手術の内訳では食道腫瘍手術, 甲状腺腫瘍手術が多くみられた. 経過観察中, 全症例の58%に音声改善が認められ, 疾患別では挿管性の予後が82%と最も良好であった. 全体で麻痺自体の軽快による音声改善と代償による音声改善の割合はほぼ同程度であった. 麻痺自体の軽快の大部分は1年以内にみられたが, 代償による音声の改善はそれ以降にも多くみられた. すなわち, 声帯麻痺症例に対する治療計画や患者への説明に際して, 麻痺の回復は発症後1年まで, 代償による音声改善はそれ以降にも期待できることを参考にすべきと思われた.
  • 宮丸 悟, 蓑田 涼生, 湯本 英二
    2007 年 110 巻 2 号 p. 65-70
    発行日: 2007/02/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    両側声帯正中位固定症に対する, Ejnell法による声門開大術の効果を検討した. 1998年10月から2005年9月までの7年間に, 当科で初回手術としてEjnell法を行った10例を対象とした. 治療効果については, 自覚症状の改善の有無および, 術前に気管切開術を施行されていた例では, 気管切開孔の閉鎖の有無にて検討を行い, また, 術前後に呼吸機能検査を施行できた例では, 1秒量 (FEV1.0) を最大呼気流率 (PEFR) で除した値 (FEV1.0/PEFR) およびPEFRを用いて検討した.
    Ejnell法施行前に気管切開術を施行されていた8例のうち, 術後に気管切開孔を閉鎖できたのは6例であり, 残り2例は閉鎖できなかった. 術前後に呼吸機能検査を施行できた5例において, FEV1.0/PEFR (ml/L/min) およびPEFR (%) の平均値は, 有意差はないものの, それぞれ13.21から9.85へ, 35.9から51.9へと改善した.
    以上の結果より, Ejnell法は両側声帯正中位固定症に対し有用な治療法であることがわかった. 今回の症例のうち, 術後に気管切開孔を閉鎖できなかった2例は, コントロール不良の糖尿病を合併していた例とCOPDを合併していた例であったことから, 本術式の適応を決定する際には, 術前に合併症の有無について十分検索を行い, 慎重に判断する必要があると思われた.
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