日本耳鼻咽喉科学会会報
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110 巻 , 11 号
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総説
  • 不破 信和, 中村 達也, 古平 毅
    2007 年 110 巻 11 号 p. 703-706
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌の放射線治療は手術療法とならび重要な役割を担っている. 従来手術しか治療法がなかった局所進行癌に対しても, 化学療法の併用により放射線治療を主体とした侵襲のより少ない治療の適応が拡大すると思われる. 化学療法の併用方式としては, 同時併用・交替療法が投与方法として推奨される. 薬剤はCisplatin, 5-fluorouracil (5-FU) がkey drugであるが, 導入療法としてそれらにDocetaxicelを加えた組み合わせが標準となりつつある. その他にも新規抗癌剤や分子標的療法などの放射線治療との併用が現在精力的に研究されている. 現状では治療効果の改善には急性毒性の増強を余儀なくされており, 放射線治療技術の改良, 薬剤の開発などにより安全性, 忍容性を改善することが切望されている. 近年, Intensity modulated radiotherapy (IMRT) や粒子線治療, サイバーナイフに代表されるように放射線治療機器の進歩は著しい. 従来唾液腺にも腫瘍と同程度の線量がかかってしまい唾液腺障害が必発であったが, IMRTでは唾液腺に当たる線量を腫瘍部分の半分以下にすることが可能である. 粒子線は従来の放射線が効きにくい悪性黒色腫や肉腫, 腺様嚢胞癌などにも効果的とされている. これらをうまく活用することにより, 治療成績の改善への貢献が期待される.
原著
  • 長井 慎成, 東野 哲也, 松田 圭二, 外山 勝浩, 河野 浩万, 小玉 隆男
    2007 年 110 巻 11 号 p. 707-712
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    【はじめに】中耳真珠腫の画像診断にはCTが第一選択として用いられるが, 軟部陰影を質的に鑑別するためにはMRIが有用である. 当院では2002年よりMRI撮像に加え, 拡散強調法による撮像を用い真珠腫診断を行っている. これまでに当院にてMRI拡散強調画像で病態評価を行った中耳炎症例を用い, 本撮像法の有用性について検討したのでその結果を報告する.
    【対象と方法】2002年10月から2006年7月に, 当院で拡散強調画像を加えた側頭骨MRI検査を行った56例を対象とした. 男性35名, 女性21名, 年齢は3歳~76歳で, 平均42.8歳であった.
    【結果】真珠腫診断における拡散強調像の感度は85.4% (41/48), 特異度は100% (8/8), 陽性的中率は100% (41/41), 陰性的中率は53.3% (8/15) であった. 拡散強調像にて真珠腫を同定できた症例の画像におけるサイズは, 5mmから40mmであり, 4mmの先天性真珠腫は評価困難であった.
    【考察】今回の検討から, 本撮像法の中耳真珠腫診断における有用性が確認された. 今後本撮像法の分解能が向上することにより, 中耳真珠腫診断におけるMRI検査の位置づけがさらに高まるものと期待される.
  • 徳丸 晶子, 江口 智徳, 渡辺 建介
    2007 年 110 巻 11 号 p. 713-719
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    (目的) 成人発症の気管支喘息に合併する「好酸球性中耳炎」が報告されるようになり注目されている. しかし, その病態には不明な点が多く, 治療もステロイドの全身投与以外に確立されたものがない. この中耳滲出液に存在する細胞の特徴につき検討し難治の原因を考察した. (対象と方法) 成人気管支喘息患者で難治の中耳炎に罹患している患者6名 (男性1名, 女性5名) を対象とした. これらの中耳滲出液と鼻汁, およびコントロールとして通常の滲出性中耳炎の中耳滲出液と, 鼻アレルギー患者の鼻汁を採取し電子顕微鏡下に観察した. (結果) 好酸球性中耳炎の中耳滲出液中には鼻汁およびアレルギー性鼻炎の鼻汁よりも崩壊した好酸球が高率に存在した. また, 好酸球性中耳炎の滲出液中のマクロファージの数およびマクロファージによる炎症細胞の貪食の程度は通常の滲出性中耳炎よりも有意に低かった. (結論) 好酸球性中耳炎において中耳内でネクローシスを起こした多くの好酸球は容易にマクロファージに貪食されず, 組織障害性の蛋白が長時間中耳に滞在し炎症を増悪させるものと考えられる. 好酸球をアポトーシスに導くことが出来れば速やかにマクロファージにより貪食され, 組織障害を軽減させる可能性があると考えられた.
  • 北原 糺, 堀井 新, 近藤 千雅, 奥村 新一, 久保 武
    2007 年 110 巻 11 号 p. 720-727
    発行日: 2007/11/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    [目的] 頭部や身体の動きに応じた平衡適応現象は動的代償と呼ばれ, 一定の治療により回復し得なかった末梢前庭障害患者の日常生活障害度を左右する重要な過程である. 今回, 前庭神経炎 (VN), めまいを伴う突発性難聴 (SDV), メニエール病 (MD), 聴神経腫瘍 (AT) を対象疾患として, 温度刺激検査およびめまい・ふらつきによる日常生活障害度アンケート (めまいアンケート) を施行し, 疾患別および半規管能別にめまいによる日常生活障害度を検討した.
    [対象と方法] 対象は1997~2002年に大阪労災病院および大阪大学耳鼻咽喉科を受診した患者のうち温度刺激検査で一側半規管麻痺 (CP) を認め, めまいアンケートを施行できたVN34例, SDV25例, MD28例, AT14例.
    [結果] めまいアンケートによる日常生活障害度は, SDV, VN, MD, ATの順に上昇した. また疾患を軽度CP (25%以上, 45%未満) と高度CP (45%以上, 100%以下) の2群に分けると, VN, SDVでは軽度CP群は高度CP群より有意に日常生活障害度が低かった. 一方, MD, ATでは両群間で有意差を認めなかった.
    [考察] 末梢前庭障害が固定するVN, SDVは動的前庭代償がMD, ATより進みやすく, 障害の程度が軽い程代償は速やかであるが, 末梢前庭障害が変動し得るMD, ATは動的前庭代償がVN, SDVより進みにくく, 障害の程度が軽くても代償は速やかに進むとは言えないことが示唆された.
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