日本耳鼻咽喉科学会会報
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108 巻, 7 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 荻野 武, 石井 秀幸, 安部 裕介, 今田 正信, 林 達哉, 野中 聡, 原渕 保明
    2005 年 108 巻 7 号 p. 715-723
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    自覚症状や鼻腔所見など日常診療にて評価されている因子によってアレルギー性鼻炎患者のquality of life (QOL) の障害を推測することを目的として, 日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票 (JRQLQ No1) を用いアンケート調査を行った. 2003年4月下旬からの3カ月間に旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科および関連35施設に来院したアレルギー性鼻炎患者1378名を対象に, 性別, 罹病期間, 抗原, 自覚症状, 鼻腔所見の患者QOLに及ぼす影響について統計学的に解析した. 性別では女性が有意にQOLの障害が強く, 抗原別では花粉抗原において障害が強い傾向にあった. 罹病期間とは関連はなかった. 自覚症状と鼻腔所見のQOLに及ぼす影響を重回帰分析にて解析した. 自覚症状の検討では日常生活, 戸外活動, 社会生活の各QOL構成因子に対して鼻汁が最も影響を及ぼす因子であり, 睡眠, 身体, 精神生活に対しては鼻閉が最も影響を及ぼす因子であった. 全QOL項目の合計スコアに対しては鼻閉が最も影響を及ぼす因子であった. 鼻腔所見の検討では, すべてのQOL検討項目に対して水性分泌量が最も影響を及ぼす因子であった. 自覚症状と鼻内所見を包括的に検討することで患者QOLの障害を推測し, より患者の満足が得られるアレルギー性鼻炎の日常診療が可能である.
  • 鈴木 幹男, 桜井 弘徳, 瀬野 悟史, 星 参, 小河 孝夫, 有方 雅彦, 戸嶋 一郎, 北西 剛, 田中 寛, 清水 猛史
    2005 年 108 巻 7 号 p. 724-733
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    内視鏡下に根治切除を行った鼻副鼻腔良性腫瘍23例, 悪性腫瘍4例について検討を加えた. 内視鏡下良性腫瘍切除の適応は鼻腔, 上顎洞内側壁, 篩骨洞, 蝶形骨洞前壁に存在し, 前頭洞, 上顎洞前壁, 蝶形骨洞, 眼窩, 翼口蓋窩へ腫瘍が大きく進展していない症例とした. 悪性腫瘍切除の適応は鼻腔, 鼻腔に面した副鼻腔壁に存在し, en bloc切除可能な小腫瘍で, 組織学的に低悪性度の症例とした. 良性腫瘍の組織型は内反性乳頭腫10例, 血管腫9例, 若年性血管線維腫2例, 多形腺腫1例, 線維腫1例であり, 悪性腫瘍では嗅神経芽細胞腫, 腺房細胞癌, 扁平上皮癌, 軟骨様脊索腫であった. 再発性内反性乳頭腫2例, 軟骨様脊索腫1例を除き, en bloc切除が可能であった. 良性腫瘍では術後平均観察期間は21ヵ月で再発例はなかった. 悪性腫瘍では軟骨様脊索腫症例で術後早期に再発した. 内視鏡下にサルベージ手術を行い, 術後陽子線治療を行った. サルベージ手術後3年5ヵ月間再発を認めない. 術前塞栓術, 内視鏡下蝶口蓋動脈結紮術, レーザーを中心とした焼灼機器を使用することにより良性, 悪性腫瘍とも出血量は少なく外切開へ移行した症例はなかった. 以上より良性腫瘍では分割切除であっても出血をコントロールし十分な切除を行えば外切開と同等の治癒が期待できる. しかし, 悪性腫瘍ではいまだ十分な報告がなく, en bloc切除が可能な症例に内視鏡下切除を行い. 必要に応じて術後治療を追加するのが肝要と考えた.
  • 小川 真, 吉田 操, 渡邉 建, 喜井 正士, 杉山 視夫, 佐々木 良二, 渡邊 雄介, 久保 武
    2005 年 108 巻 7 号 p. 734-741
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    Muscle tension dysphonia (以下MTD) は, 喉頭筋の緊張の調節不良によって喉頭の姿勢や声門の形状に変化が生じて嗄声を来す音声障害である. 本報告においては, 声門上部の圧迫所見を認めるMTDにおける, 音声治療の経過にわたる喉頭所見と音声所見との変化と両者間の相関性について検討を行った. それぞれの評価については, 喉頭腔の絞扼の程度をスコア化した「MTDスコア」とGRBASスコアを用いた. その結果, ほとんどの症例において, 音声治療の経過とともに, MTDスコアとG/R/B/Sスコアとの両者がともに経時的に減少した. 声門上部圧迫の2つの要素である仮声帯部の圧迫と披裂喉頭蓋部の圧迫に関しては, 前者の方が, 後者と比較して改善しやすい傾向があった. さらに, MTDスコアとG/R/B/Sスコアとの相関性について検討したところ, 初診時における両者のスコア間には相関性があまり認められなかった. その一方で, 音声治療前後のG/R/Sスコアの変化量とMTDスコアの変化量との間には有意な相関性が認められた (p<0.05). 以上のことから, 声門上部圧迫所見が音質の悪化において重要な因子となっていること, さらに, MTDスコアが音声治療効果の良い指標となることが示唆された.
  • 畠 史子, 硲田 猛真, 野坂 彩, 長谷川 賢作, 北野 博也
    2005 年 108 巻 7 号 p. 742-749
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    乳幼児の聴力の診断に際しては条件詮索反応聴力検査 (COR) などのbehavioral audiometryが基本であるが, 発達途上の乳幼児期の精神・運動発達および種々のコミュニケーション障害を理解した上で的確に評価することのできる耳鼻科医は限られる. 一般の耳鼻科医では聴性脳幹反応 (ABR) などの他覚的検査のみで診断されることも多いが, 他覚的検査のみで診断された場合には実際と乖離した診断がなされる場合があり, 何らかのかたちで音へのbehaviorをみる必要がある. 我々は問診票を用いて家庭での音反応を確認しているが, 生後3ヵ月から4歳未満の79例 (平均年齢: 1歳9ヵ月) を検討したところ, 60dB以上の難聴例では家庭での音反応がなく, 正常聴力では45例中43例で家庭での音反応があることがわかった. また, 精神発達遅滞例でも同様の結果が得られた. 家庭での音反応の情報は乳幼児の聴力の診断に重要であり, 問診であればCORなどの検査機器を有しない施設でも併用することが可能であり, 有用と考えた. 早期診断・早期介入を目的として新生児聴覚スクリーニングが広まりつつあるが, 他覚的検査と問診の結果を総合し, 聴力正常と診断し得ない症例は小児難聴の診断が可能な施設に紹介して診断するシステムを構築することが, 乳幼児の聴力の早期の的確な診断のために必要と考えた.
  • 頸部リンパ節穿刺吸引・生検
    横井 久
    2005 年 108 巻 7 号 p. 750-753
    発行日: 2005/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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