日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
Print ISSN : 0030-6622
ISSN-L : 0030-6622
108 巻, 8 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 菊池 淳, 坂本 菊男, 佐藤 公則, 中島 格, 橋本 鶴美, 原 浩貴, 名倉 三津佳
    2005 年 108 巻 8 号 p. 787-793
    発行日: 2005/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    (目的) 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (SAS) に対する治療は現在CPAPが中心であるが, AHIが100以上の重症例ではCPAP単独では治療が困難な例がある. これらの治療方針について検討した. (対象と方法) 2002年5月から2003年12月までの間に久留米大学病院睡眠医療外来を受診した374名のなかで, AHIが100以上の11例 (SAS患者の3.3%) を対象とした. それぞれの治療前後のAHIの改善度を検討した. (結果) 治療は全例まずCPAPを導入した. CPAP単独でAHIが80%以上改善した例が5例あったが, その他は70%以下の改善率であった. これらはいずれも扁桃肥大を伴っており, そのうち, 咽頭拡大術 (UPPP+扁摘) を追加した後にCPAPを行った2例では, 十分な効果を得られた. (結論) AHIが100以上の重症例でも, 扁桃肥大がなければCPAPで治療可能であった. しかし, 扁桃肥大を伴うものはCPAPでも効果が不十分であり, その中で咽頭拡大術を組み合わせることで十分な効果が得られた2例を報告した. 扁桃肥大を伴う重症SASでは, 集学的な治療が必要になると思われた.
  • 別府 武, 佐々木 徹, 川端 一嘉, 吉本 世一, 三浦 弘規, 福島 啓文, 多田 雄一郎, 蝦原 康宏, 三谷 浩樹, 米川 博之, ...
    2005 年 108 巻 8 号 p. 794-800
    発行日: 2005/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    下咽頭扁平上皮癌未治療75例, 141側を対象に頸部リンパ節転移に対する超音波断層診断の有用性と限界ならびに診断結果が頸部郭清術に及ぼす影響について検討した. 対象全例に術前, 触診およびCT, USの各検査を施行し, これらの結果と郭清リンパ節の病理学的診断結果とを比較検討した. 個々のリンパ節レベルでのUS診断の正診率は93.9%と良好であったが, 小さなリンパ節までは検出できないため敏感度は78.0%にとどまり, 現時点でのUS診断の限界を示した. 頸部再発は9例に認められたが, USの過小評価のため郭清範囲を縮小した症例はそのうちの2例にすぎなかった. したがってUS診断の過小評価は頸部再発に必ずしも多大な影響を及ぼさず, 再発の原因の主因は個々の症例がいかに転移しやすいかという特異性に依存するものと考えられた. 以上から郭清範囲の縮小や省略には, 症例の選択などいまだ慎重な態度が必要であると考えられた.
  • Durham型花粉捕集器との比較
    與田 茂利, 榎本 雅夫, 芝埜 彰, 池田 浩己, 夜陣 真司, 嶽 良博, 原田 保
    2005 年 108 巻 8 号 p. 801-805
    発行日: 2005/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    観測に要する労力の省力化とよりリアルタイムな花粉情報の提供のため, リアルタイム花粉観測器が普及しつつある. しかし, 従来型のDurham型花粉捕集器とリアルタイム花粉観測器 (KH-3000, 株式会社大和製作所) による観測結果の違いも指摘されている. 今回, 少量飛散年である2004年において, 両者の観測結果の比較検討を行った. スギ・ヒノキ科花粉の本格的飛散期である3月の両機器による相関は非常に高かったが, 観測期間の2月および4月ではDurham型花粉捕集器によるスギ・ヒノキ科花粉の飛散と一致しないピークがKH3000でみられた. 2月の不一致は雪によるもの, 4月の不一致は和歌山で多く飛散し, そのサイズがスギ・ヒノキ科花粉と比較的よく似たブナ科花粉をKH-3000が拾っているものと結論した. 花粉情報としてリアルタイム花粉モニターKH-3000を利用するにはこれらの事実を考慮しつつ用いる必要性について報告した.
  • 櫻井 努, 鎌田 英男, 安岡 義人, 古屋 信彦
    2005 年 108 巻 8 号 p. 806-809
    発行日: 2005/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    Inflammatory Pseudotumorは腫瘍に類似した原因不明の孤立性病変で, 頭頸部領域においては非常にまれとされている. 今回の症例は45歳女性で, 右内眼角の腫瘤を主訴に来院した. 画像診断, 鼻内所見から腫瘍を疑われたが生検では炎症性肉芽と診断された. その後全摘を行い病理検査でInflammatory pseudotumorとの結果を得た. 現在経過観察中であるが術後3年6カ月経過し再発を認めていない. 当疾患は病理診断が難しく, 少量検体では診断に至らないケースが多い. また画像診断でも疾患特有の所見はなく, 腫瘍との鑑別は困難である. 治療は確立されたものはなく, 外科的切除が広く行われているが, 自然退縮するケースもあり手術適応は慎重になされるべきである.
  • 川田 晃弘, 崎浜 教之, 大里 康雄, 奥 竜太, 田中 藤信, 高橋 晴雄
    2005 年 108 巻 8 号 p. 810-813
    発行日: 2005/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    今回我々は頸部蜂窩織炎の形で発症した劇症型A群溶連菌感染症 (toxic shock-like syndrome, TSLS) を経験したので報告する. 症例は55歳男性で前頸部発赤腫脹で受診した. 急速な皮膚症状の悪化, CRP上昇, 血小板減少, 血圧低下などを認めたため同疾患を考え, 菌検査を行うとともに早期よりABPC, CLDMの大量投与とメシル酸ガベキサートの投与を行い, 局所の潰瘍には植皮を行って, 治癒させることができた. TSLSは早期診断および適切な抗生剤の使用, 全身管理が予後を左右するため, 頭頸部蜂窩織炎でも急速に皮膚症状, 全身症状の悪化する例では同疾患を念頭に置いて対処すべきである.
  • 医療用医薬品添付文書の見方
    望月 眞弓
    2005 年 108 巻 8 号 p. 814-817
    発行日: 2005/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
feedback
Top