今回我々は頸部蜂窩織炎の形で発症した劇症型A群溶連菌感染症 (toxic shock-like syndrome, TSLS) を経験したので報告する. 症例は55歳男性で前頸部発赤腫脹で受診した. 急速な皮膚症状の悪化, CRP上昇, 血小板減少, 血圧低下などを認めたため同疾患を考え, 菌検査を行うとともに早期よりABPC, CLDMの大量投与とメシル酸ガベキサートの投与を行い, 局所の潰瘍には植皮を行って, 治癒させることができた. TSLSは早期診断および適切な抗生剤の使用, 全身管理が予後を左右するため, 頭頸部蜂窩織炎でも急速に皮膚症状, 全身症状の悪化する例では同疾患を念頭に置いて対処すべきである.
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