日本耳鼻咽喉科学会会報
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77 巻, 3 号
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  • 大竹 欣哉
    1974 年 77 巻 3 号 p. 183-198
    発行日: 1974/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    目的:聴力正常者,各種聴覚障害例(鼓膜穿孔のないもの),末梢性顔面神経麻痺例を対象にインピーダンスオージオメトリーをおこない,ルーチン検査として臨床に応用し得るか否かを検討した.
    方法:インピーダンスメーターはelectro acoustic impedance bridge (Madsen ZO 70)を使用し,Tympanometry,音響インピーダソス測定,音響性アブミ骨筋反射測定の3者をおこなつた.本測定法では外耳道の気密性が重要な因子になるので,イアチップとして Balloon Catheter を用い,カフに空気を注入して外耳道を密栓した.
    結果
    1) Tympanometry は3つの型(A,B,C)に分類できた.中耳に障害がないと考えられる聴力正常耳,感音難聴例,顔面神経麻痺例はほぼA型を示した.伝音および混合難聴例では多くはB型ないしC型を示したが,耳硬化症例や耳小骨連鎖離断例はA型を示した.
    2) 音響インピーダンス値は聴力正常耳,感音難聴例,顔面神経麻痺例ではほぼ1000~3500a.ohmを示した.一方伝音および混合難聴例では多くは4000a.ohm以上を示した.ただし耳小骨連鎖離断例では1000a.ohm以下であつた.
    3) 音響性アブミ骨筋反射測定において,聴力正常耳は500~4000Hzの周波数で60~95 dB SL(平均約75 dB)の間に反射域値が検出できた.感音難聴例のうちレクルートメント陽性例では純音域値と筋反射域値との接近が認められたが,聴神経腫瘍例では純音聴力が比較的残存する例でもアブミ骨筋反射は検出されなかつた.伝音および混合難聴例では筋反射はほとんど検出されなかつた.純音域値よりも低い域値で筋反射反応が検出された例は詐病が疑われた.顔面神経麻痺例では発症初期には筋反射は検出されない例が多かつたが(88%),1ヵ月を経過すると大部分の例(88%)で筋反射反応を検出できた.
    4) インピーダンスオージオメトリーは3つの測定結果を総合的に判定することより,中耳俵音障害の有無やその細別診断,他覚的レクルートメント検査,末梢性顔面神経麻痺の部位診断,詐聴の検出等臨床上他覚的聴力検査法として充分応用できる.
  • 神田 敬, 結束 温, 北村 武, 金子 敏郎, 伊藤 永子
    1974 年 77 巻 3 号 p. 199-202
    発行日: 1974/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    正常の唾液腺内にみられた oncocyte の微細構造について観察した.
    材料は頸部廓清術時に摘出せる標本に胃付随して得られた正常の入耳下腺の一部を試料として利用した.試料は4%カコジレイト緩衡グルタールアルデハイド液(PH7.2)で前固定し,カコジレイト液で良く洗浄した後,2% OSO4 で後固定し,エタノールで型通りに脱水して epon 812に重合包埋した.超薄切片は日立 HS-8 型電子顕微鏡で観察した.
    所見並びに結果
    正常の人唾液の組織の中に稀に oncocyte の集団がみとめられた,oncocyte は腺小葉に主にみとめられ,oncocyte のみられる腺小葉は正常の腺細胞は存在せず,oncocyte の集団によつて充たされている.介在部,線条部には極めて稀に正常細胞に混つて oncocyte がみとめられた.oncocyte には電子密度の高い暗調細胞と電子密度の低い明調細胞とがあり,主として明調細胞ようなる.暗調細胞には free ribosome が糸粒体の間に密に多数存在している.oncocyte は形態のさまざまな糸粒体によつて密に充たされている.oncocyte は腺細胞特有の豊寵な粗面小胞体,Golgi 装置,分泌顆粒はみとめられず分泌機序を思わせる構造は存在しない.oncocyte は相隣る細胞とは指状嵌合を形成し,desmosome 及び tightjunction によつて接合している.oncocyte の histogenisis については未だ明らかでないが腺細胞のtransformation の結果生じたものと思われる.
  • Kuhl
    小名 愛
    1974 年 77 巻 3 号 p. 203-216
    発行日: 1974/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    本研究では冬眠期の正常ユビナガコウモリ(mimopterus schreibersi〔Kuhl〕)30匹から採取した前庭神経節を光学およひ電子顕微鏡をもつて観察した光顕標本の作成には主としてLevi固定切片にHeidenhain鉄ヘマトキノリン染色およひAzan染色を施こし,Golgi装置の検出にはKolatchev法を用いた電顕標本の作成には1%オスミユウム酸の単独固定と25%グルタールアルデヒドで前固定後1%オスミユウム酸溶液で後固定した材料をEponに包埋した超薄切片を醋酸ウラニールと醋酸鉛て重染色した
    コウモリの前庭神経節は第8脳神経線維束の中に見出され,神経節細胞と有髄および無髄神経線維から成る神経節細胞は双極で多くは1個の楕円形核をもつ外套細胞によつて包まれる神経細胞は一般にラセノ神経節細胞よりはるかに大きいか,大きさの差がある核は大なる球形核小体をもち,電顕観察により染色質が略均等に分布する核質内に神経節細胞として始めてnucleal body(Sphaeridion)が見出された核膜孔は多い神経細胞質内には光顕および電顕によつてGolgi装置,糸粒体,Nissl物質,dense body(恐らくライソノーム),神経細線維と神経細管が証明された糸粒体とNissl物質すなわち組面小胞体とそれに随伴する自由polyribosomesはかなり多く,細胞質内にあまねく分布し,粗面小胞体の扁平嚢は1部において層板状構造を示すが,一般に嚢に付着するリボノームは少なく,随伴する自由リボノームが多いのが特微である
    コウモリの前庭神経節細胞は大多数は大きい有髄神経節細胞であるしかし髄鞘は非薄で光顕的に有髄無髄の判定は困難な場合がある有髄前庭神経節細胞体を直接包む髄鞘は大部分は薄い緻密性ミエリン(compact myelln)であるが短い範囲において疎性ミエリン(loose myelin)となる髄鞘は楕円形の核を包む薄い外会細胞質層(Schwann細胞質層)とその基底膜でおおわれる薄い緻密性ミエリンは3-5本,まれに10数本の主高密度線(mayor dense lme)とその間に挾まれる低密度層から成るのみで,中間線(intermediate line)は見出されない疎性、エリンは薄い外套細胞質層が狭い間隙を挾んで重畳することによつて形成される緻密性ミエリンの疎性ミエリンへの移行部では主高密度線が2本の線に分離し,その間に薄い細胞質層があらわれて外套細胞質層か形成され,各層は狭い間隙で隔てられるようになる
    少数の無髄神経細胞は一般に神経節の周辺部にあり,大きいものもあるが多くは小細胞である細胞体は核を含む薄い外套細胞質層で直接包まれ,それと神経細胞体の間に広い間隙があれは,外套細胞から微絨毛が出されるまた形質膜の陥入(infoldmg)がある無髄神経細胞の細胞質の微細構造には有髄のものと著しい差はない
    有髄,無髄神経細胞をとわすコウモリ前庭神経細胞体に終るノナノフス終末はない
  • 特に悪性甲状腺腫の診断について
    平野 実, 三橋 重信, 市川 昭則, 岡田 正直
    1974 年 77 巻 3 号 p. 217-219
    発行日: 1974/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    浅側頭動脈を介して行なうthyroid angiographyを,1971年7月より1973年8月までに40例について施行し,特に結節性甲状腺腫における良性か悪性かの術前診断上の有用性を検討した.結節を有する甲状腺腫は22例で,その中angiographyを行なう前に良性と診断されたものは17例あり,うち13例はangicgraphyで良性と診断されたが,組織学的に悪性のものを3例認めた.残り4例はAngiographyで悪性と診断され,組織学的にもいずれも癌であつた.angiographyを行なう前に良性と診断されていた症例中4例において癌の術前診断を得ることがでぎたことになり,診断の適中率を高め得ることが明らかになつた.Angiographyを行なう迄もなく悪性と診断された5例はすべて癌であつた.
  • X線所見上
    山崎 可夫
    1974 年 77 巻 3 号 p. 249-252
    発行日: 1974/03/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
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