日本耳鼻咽喉科学会会報
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108 巻, 9 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 奥田 匠, 花牟礼 豊, 笠野 藤彦, 鹿島 直子
    2005 年 108 巻 9 号 p. 835-841
    発行日: 2005/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    蝶形骨洞に限局した疾患あるいは蝶形骨洞を主病変とする疾患では, 頭痛・眼症状など, 通常の鼻副鼻腔疾患とは異なった症状により耳鼻咽喉科以外の科で気付かれることが多い. このような症例には炎症や嚢胞性疾患が多いが, 良性腫瘍や悪性腫瘍, 真菌症も含まれる. それぞれが比較的まれな疾患であるため本邦では数例ずつの症例報告とならざるを得ず, 概要がつかみにくい. 今回我々は, 1999年から5年間に鹿児島市立病院耳鼻咽喉科を受診し, CTやMRIの画像により蝶形骨洞が主病変と診断された44例 (男性21例, 女性23例) を対象に, 病変の分類, 主訴, 治療法等を検討し, 蝶形骨洞を主病変とする疾患の診療の指針について考察した. 病変の内訳は炎症32例, 嚢胞8例, 良性腫瘍1例, 原発性悪性腫瘍2例, 転移性悪性腫瘍1例であった. 症状は頭痛が59%, 眼症状が27%に認められた. 眼症状の内訳は, 炎症症例の60%が眼痛であり, 嚢胞症例の63%が視力低下, 腫瘍症例の100%が複視と, 病態により症状が異なる傾向があった. 頭痛に複視を来した場合は悪性腫瘍の可能性が高く特に注意を要する. 保存的治療に反応の良い症例以外では, 腫瘍性疾患も含め, 診断的治療を兼ねた内視鏡下鼻内副鼻腔手術が有用であった. 早急な治療を要する疾患 (急性化膿性炎症, 視力障害を伴う嚢胞, 悪性腫瘍) の鑑別が重要と考えられた.
  • 関根 和教, 佐藤 豪, 武田 憲昭
    2005 年 108 巻 9 号 p. 842-849
    発行日: 2005/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    2001年4月から2003年9月までに, 徳島大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科をめまいを主訴に初診した626症例について, 日本めまい平衡医学会のめまい診断基準化のための資料を一部改変して診断基準として用い, 疾患頻度を検討した. BPPVが単一疾患としては最も多く, 疑い例を含めると全体の1/3を占め, 続いてメニエール病が疑い例を含めて12%と多く認められた. BPPVとメニエール病を含めた末梢性前庭障害は65%で, 全めまい症例の約2/3であった. 中枢性障害は7%で, そのうち脳占拠性病変および脳梗塞はそれぞれ1.0%, 1.9%に認められた. 血圧異常によるめまいは4.0%に認められた.
    過去のめまい臨床統計12編の報告と比較検討すると, 診断基準の違いでめまい疾患の頻度が大きく異なっていた. しかし, 日本めまい平衡医学会の基準に基づき診断された本統計と過去の2編の報告とを比較してみると, 疾患頻度はBPPV30~40%, メニエール病7~10%, BPPV・メニエール病以外の末梢性前庭障害15~20%, 中枢性障害6~8%と類似していた. めまい疾患の臨床統計には, 統一された診断基準を使用すべきである.
  • 金谷 洋明, 谷垣内 由之, 生野 登, 平林 秀樹, 馬場 廣太郎
    2005 年 108 巻 9 号 p. 850-853
    発行日: 2005/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    左顎下部に存在し, 術前診断が困難であったまれな異所性甲状腺例を経験したので報告する. 症例は53歳女性. 左顎下部の腫瘤に気付き来院. 既往歴として, 約30年前に他院にて甲状腺亜全摘術を受けているが, 初診時, 甲状腺機能低下症の症状は見られなかった. 画像診断では左顎下部に境界明瞭な病変を認め, 顎下腺腫瘍の診断のもとに摘出. 病理組織学的には正常の甲状腺組織であり, 異所性甲状腺と診断した. 術後, 全身倦怠感を訴え, free T4値の低下およびTSHの上昇が認められた. 顎下部の異所性甲状腺により甲状腺機能が保たれていたことが示唆された. 顎下部腫瘤を見た際には, 異所性甲状腺の可能性も考慮すべきと考えられた.
  • 平松 隆, 野々田 岳夫
    2005 年 108 巻 9 号 p. 854-857
    発行日: 2005/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    破傷風患者が開口障害, 発声障害, 嚥下障害といった耳鼻咽喉科領域では珍しくない症状で受診する可能性を忘れてはならない. 症例は71歳女性. 両側の声帯が固定し呼吸困難が出現した. 気管切開後, 舌咬傷を伴う開口障害が現れ破傷風と臨床診断した. 嚥下評価や喉頭所見の経過より, 破傷風では強い咽頭反射がわずかな刺激でも起こるため, 声帯の可動や喉頭の動きが制限されて呼吸困難や嚥下障害が引き起こされるものと考えられた.
  • 薬物副作用の概論と安全対策
    山田 雅信
    2005 年 108 巻 9 号 p. 858-861
    発行日: 2005/09/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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