日本耳鼻咽喉科学会会報
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98 巻, 2 号
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  • 免疫組織学的検討
    板谷 知己, 甕 久人, 鈴木 賢二, 馬場 駿吉
    1995 年 98 巻 2 号 p. 197-202_2,351
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    頭頸部扁平上皮癌においてu-P, t-PA, PAI-1, PI, TGF βの局在を免疫組織染色で調べ, その局在と癌の局所での浸潤, 局所進展度, 頸部リンパ節転移との間の関係を調べたところ, u-PA, PAI-1, PIはHE染色標本で不整形な細胞塊がsatelliteを形成して周囲に浸潤する腫瘍で周辺の結合組織や正常上皮より強く染色される傾向が見られたが, t-PA, TGF-βにはその傾向が見られなかった. また, 今回調べたすべての因子で, その局在とリンパ節転移および局所進展度との関連は見られなかった.
    腫瘍局所での線溶系の異常が考えられ, 特にu-PAは結合組織などを破壊することにより癌の浸潤と関係している可能性が示唆された.
  • 工藤 香児, 牧嶋 和見, 杉本 卓矢, 是永 克実, 笹栗 靖之
    1995 年 98 巻 2 号 p. 203-208,351
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2009/03/19
    ジャーナル フリー
    Angiotrophic lymphomaは, 脳を含む全身諸臓器の小血管や毛細血管内にBリンパ球由来の大型異型細胞が増殖する特異な疾患である. 症例は78歳女性, 主訴は両側動眼神経麻痺であり, CTなどの所見より, 汎副鼻腔炎を疑い〓骨蜂巣・蝶形骨洞開放術を行い, 病理組織学的に本症と診断した. 化学療法 (THP-COP) で両側動眼神経麻痺等の症状は改善し, 生存中である. 本腫瘍は, 血管の閉塞による循環不全や小梗塞巣のために中枢神経, 皮膚, 肺, 腎, 副腎など多くの臓器の不全症状が引き起こされ, 多彩な臨床症状を呈する. 鼻, 副鼻腔領域に発生した例は少ない. 早期発見・早期治療が可能なら, 本例のごとく寛解が期待できる.
  • 田中 英和, 野口 佳裕, 小松崎 篤
    1995 年 98 巻 2 号 p. 209-215,351
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    聴神経腫瘍症例 (AT) のABRにおける刺激頻度の影響について検討した. 90dB nHLのクリック音の刺激頻度を9.5Hz, 20Hz, 40Hz, 90Hzとし, 各刺激頻度におけるI波V波間潜時の絶対値 (IPL I-V), 刺激頻度を9.5Hzから高めた際のI波-V波潜時の増加量 (ΔIPL I-V) について検討した. IPL I-V, ΔIPL I-Vともに正常聴力者群の平均値+2SD以上を異常とすると, 刺激頻度9.5Hzにおいて正常のABR所見を示したAT症例5例のうち, 4例が刺激頻度90Hzにおける二つのパラメータのいずれかの異常を示した. この結果は, 高刺激頻度ABRは正常のABR所見を示すAT症例の検出に有用であることを示している.
  • ラミニン染色性と臨床像, 病理組織像との関係
    鈴木 守
    1995 年 98 巻 2 号 p. 216-225,351
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    頭頸部扁平上皮癌組織におけるラミニンの分布を免疫組織染色にて調べたところ癌胞巣周囲に分布が認められたがその程度はさまざまであった. 癌胞巣周囲の染色様態を正常型, 断裂型, 消失型の3群に分類し臨床的悪性度, 角化度, 浸潤様式との関係を検討した. 断裂型, 消失型でリンパ節転移, リンパ節再発の率が有意に高かった. 遠隔転移については消失型に遠隔転移が有意に多くみられた. 角化度の強い癌で正常型の比率が有意に高かった. 一方, 原発巣の大きさ, 浸潤様式とは有意な関係は認められなかった. 5年生存率は正常型で67.2%, 断裂型で52.1%, 消失型で31.0%であった.
  • 高橋 秀明
    1995 年 98 巻 2 号 p. 226-234_2,353
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    株化樹立喉頭扁平上皮癌細胞を材料に, p15. 95-6. 10の分画を抽出し, 扁平上皮癌関連抗体 (YM抗体) を作製した.
    このYM抗体の免疫学的特性を明らかにするために, YM抗体と6種類の市販抗体を用い, 各種の頭頸部扁平上皮癌組織および頭頸部非癌組織に対する免疫組織化学的検索を行った. その結果YM抗体は, 扁平上皮癌組織に対する高い陽性率 (85.0%) と, 非癌組織に対する極めて低い偽陽性率 (10.5%) を示した. これらの成績にもとづくYM抗体の診断効率は76.2%で, 他の抗体の診断効率はいずれも50%以下であったことより, YM抗体の扁平上皮癌組織に対する有用性が示された.
  • 再現性についての検討
    野口 浩男
    1995 年 98 巻 2 号 p. 235-244,353
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    正常被験者10名 (平均年齢31.4歳) に, GBSTを1日に左刺激反応と右刺激反応をそれぞれ2回ずつ施行し, 1週間以上の間隔をあけて3週間にわたって反復した. そして, 短期間・長期間における反応の再現性を検討し, 次の結果を得た.
    1. GBSTの各潜時, 振幅について再現性が認められた. 2. 刺激onとoffの初発波, 主変動波の各潜時には, 各被験者間の差は小さく, 各振幅には, 大幅な被験者間の個体差が存在した. そして各振幅の小さい個人はその後の検査でも小さく, 各振幅の大きい個人では追検査でも大きく同一個人では, 再現性が認められた. 3. GBSTの判定には, 同一個人での左右差の有無の重要性を強調した.
  • 高速ラセンCTによる撮影
    枝松 秀雄, 山下 公一
    1995 年 98 巻 2 号 p. 245-253,353
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    耳小骨の3次元CTを乾燥側頭骨, 正常例 (5耳), 伝音難聴12例 (外傷, 中耳奇形, 真珠腫, 慢性中耳炎) で高速ラセン撮影しその有用性と限界を検討した.
    高速ラセンCTでは, 従来のCTよりも短時間に高解像度の撮影となり, 被曝線量も少なく, 3次元処理機能も良好である.
    3次元CT画像ではツチ, キヌタ, アブミ骨があたかも実体顕微鏡下に観察しているように確認された. 従来の2次元的なCTではアブミ骨の全体像を見ることは不可能であったが, 3次元CTによりアブミの細部まで描出可能であった.
    3次元CTは, 伝音難聴の術前診断や, TORPなどの術後評価として, 重要な画像情報であることを報告する.
  • 柏村 正明, 福田 諭, 間口 四郎, 樋口 栄作, 犬山 征夫
    1995 年 98 巻 2 号 p. 254-259,353
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    声門下喉頭癌27例について臨床的検討を行った. 5年生存率が44%と他の部位の喉頭癌に比べ不良であった. その原因として, 放射線治療後の局所再発率の高さが第一に考えられた. さらにsalvage operationの結果がT2で低く, 声門下喉頭癌の治療は他の喉頭癌より放射線治療の適応を厳しくし, 初めから手術を念頭においた治療計画が必要と思われた. またT1でも照射終了後の化学療法を考慮すべきと考えられた. また進行例では転移が多く初回治療後の化学療法の施行や, 喉頭全摘時の頸部郭清の施行により予後の改善に努めるべきと思われた. 縦隔への転移例は少なかったが実際にはもう少し多いと思われ, 慎重な経過観察が必要と思われた.
  • 佐々木 康
    1995 年 98 巻 2 号 p. 260-266,355
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    遺残性真珠腫における“open”型および“closed”型真珠腫の形成機序を皮膚移植による真珠腫モデル動物により研究した. モルモットの耳介後面の皮膚片を採取し, 中耳骨胞内に遊離自家移植する. その際A群では, 中耳粘膜を剥離し表面を削除した骨面を移植床とした. 一方, B群では中耳粘膜面に直接移植した. 移植後2, 4, 8, 32週後に屠殺して側頭骨を採取し, 組織学的検討を行った. A群では17耳中10耳で, 移植後2週間以内にclosed型真珠腫に相当する表皮〓胞が形成されていた. B群の17耳では, 移植片はいずれもopen型真珠腫に相当する扁平な形態を保ったまま生着していた. この違いは, 移植片の周囲に生じた肉芽組織によるものと考えられた.
  • 北郷 秀人, 冨田 寛
    1995 年 98 巻 2 号 p. 267-280,355
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    受容器型の味覚障害患者119例を, 亜鉛剤の内服で治療し, その治癒過程を濾紙ディスク法, ならびに電気味覚検査法で追跡した.
    1) 舌面における味覚の回復は, 3タイプあった. 舌前方後方同時に回復する同時改善型が45.4%存在した. 舌後方 (舌咽神経領域) から先に回復する舌後方改善型が44.5%あった. 舌前方 (鼓索神経領域) から回復を始める舌前方改善型は10.1%と他の2型に比して著しく少なかった.
    2) 4基本味質における回復過程の差異については, 同時改善型において, 甘味と苦味が先に回復する傾向が認められた.
    3) 受容器型味覚障害では味蕾の多い舌後方から治癒過程が始まることが明らかになった.
    4) 電気味覚検査は, 受容器型味覚障害の経過を追うことに適していない.
  • 1995 年 98 巻 2 号 p. 281-289
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 2 号 p. 290-298
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 2 号 p. 298-306
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 2 号 p. 306-318
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 2 号 p. 318-334
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • めまいと前庭神経の病理
    喜多村 健
    1995 年 98 巻 2 号 p. 336-339
    発行日: 1995/02/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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