2003年から2010年の8年間に兵庫医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科で声門癌と診断し, 一次根治治療を施行した111症例のうち扁平上皮癌109症例を対象として治療法, 喉頭温存率, 予後等について retrospective に検討した. 性別は男性106例, 女性3例で年齢の中央値は69歳 (51~90歳) であった. TN 分類は T1aN0: 47例, T1aN1: 1例, T1aN2a: 1例, T1bN0: 19例, T2N0: 23例, T2N1: 1例, T3N0: 11例, T4aN0: 5例, T4aN2b: 1例で, 全例初診時での遠隔転移は認めなかった. 一次根治治療は T1, T2 の92例には放射線単独治療 (RT) もしくは化学療法同時併用放射線治療 (CCRT) を行い, T3, T4 病変に対しては CCRT 3例, 喉頭亜全摘出術1例, 喉頭全摘出術を13例に施行した. RT もしくは CCRT 後の再発に対する救済治療は, 喉頭垂直部分切除術を8例に施行し, 喉頭亜全摘出術を2例, 喉頭全摘出術を4例に施行した. 5年粗生存率 (OS): 77.6%, 5年疾患特異的生存率 (DSS): 92.5%であり, T 病期別5年 DSS では T1a: 100%, T1b: 94.1%, T2: 82.1%, T3: 90.9%, T4a: 83.3%であった. 5年喉頭温存率は82.9%, T 分類別では T1a: 100%, T1b: 89.5%, T2: 91.5%, T3: 18.2%, T4a: 16.7%であった.
抄録全体を表示