日本耳鼻咽喉科学会会報
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106 巻, 1 号
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  • 橋本 晋一郎
    2003 年 106 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    1. 半規管骨迷路,膜迷路をコンピューターを用い三次元再構築した.
    2. 本研究では骨迷路,膜迷路ともに各々の半規管平面の間の角度はすべてBlanksの報告した3つの半規管平面の間の角度よりも90度に近い値となった.
    3. 骨迷路平面と膜迷路平面間の間の角度は2.11~6.05度であり,膜迷路半規管が骨迷路半規管と違う軌道を描いていると考えられた.
  • 治療における合併症を中心に
    門田 伸也, 西川 邦男, 森下 常盤, 永田 基樹, 冨永 進
    2003 年 106 巻 1 号 p. 7-16
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2008/07/08
    ジャーナル フリー
    高齢者頭頸部癌症例における背景因子の特徴や治療法の選択,治療による合併症などについて非高齢者群と比較対比して検討した.
    検討対象は70歳以上の頭頸部癌一次症例121例である.70歳~79歳を高齢者群,80歳以上を超高齢者群に分類した.また比較対象群として50歳代の群(56例)についても検討した.
    原発部位は舌 口腔および喉頭癌がともに28%と最も多かった.
    併存全身疾患保有率は高齢者群74%,超高齢者群93%で,非高齢者群に比べ有意に高かった.内訳として高血圧,虚血性心疾患,呼吸障害,腎機能低下などが多かった.
    治療は放射線治療と外科的治療が中心であった.周術期合併症の発生率は非高齢者群の56%に対し,高齢者•超高齢者群では48%であった.高齢者超高齢者群では特に心血管系合併症,誤嚥性肺炎,術後譫妄,腎障害が多かった.放射線治療における合併症発生率は非高齢者群14%,高齢者群27%であったが,超高齢者群では53%と高頻度で,粘膜障害による摂食不良,肺炎,脱水電解質異常が高率に見られた.
    高齢者 超高齢者群においても根治治療が原則となるが,治療にあたっては個々の身体的•社会的活動性,治療意欲,臓器予備能力を正確に評価することが大切である.また,集学的治療を選択する機会の多い非高齢者群に比べ,より治療効果と全身状態への影響のバランスを考慮した治療法の選択が重要である.
  • ドクターヘリの試行経験
    大上 研二, 宮本 隆行, 大貫 純一, 飯田 政弘, 高橋 正紘, 山本 五十年, 中川 儀英, 猪口 貞樹
    2003 年 106 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    1. ドクターヘリによる救急診療の概況を報告した.
    2. 時間短縮効果と予後改善効果が示された.
    3. 耳鼻科領域での有用性について症例を呈示した.
    厚生労働省は2002年度のドクターヘリ本格運用に向けて,全国6力所に導入し,5年間に全国で30カ所まで拡大することを予定している.神奈川県では2002年7月から東海大学病院救急救命センターを実施主体として本格的導入が開始された.この救急救命の大きな武器であるドクターヘリの運用を継続させていくことは非常に重要と考える.
  • 前庭神経炎を中心に
    成田 慎一郎, 黒瀬 誠, 小林 一豊, 氷見 徹夫
    2003 年 106 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    1. 市立函館病院における入院を要しためまい症例242例を検討し,前庭神経炎が多く,良性発作性頭位眩暈症が少なかった.
    2. めまいは60歳代がピークであり,12月にやや多く,男女比は1:2で女性に多かった.
    3. 前庭神経炎症例は25例であり,7月にやや多く,男女比は2:1で男性に多かった.
    4. 前庭神経炎15症例で重心動揺の推移を検討すると,閉眼では差を認めなかったが,開眼で総軌跡長および外周面積が有意に減少した.
  • 寺山 吉彦, 滝沢 昌彦, 後藤 田裕之, 須藤 敏, 柏村 正明
    2003 年 106 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 2003/01/20
    公開日: 2008/03/19
    ジャーナル フリー
    (目的)ブロー液は19世紀の医師Burowの考案した点耳液である.Thorpらは1998年以来,13%酢酸アルミニウムのブロー液原液の点耳により慢性化膿性穿孔性中耳炎に81%に著効を示したと報告した.そこで慢性中耳炎とその他の外耳道中耳の化膿性疾患に対するブロー液の効果を2001年2月から1年間調べた.(対象)年齢35-79歳,男10耳女15耳計25耳,これまでの罹患年月は2週-約20年,平均3.78年であった.疾患は中耳炎手術術後症11耳,慢性外耳道炎,湿疹7耳,外耳道真菌症7耳,慢性穿孔性中耳炎6耳,慢性肉芽性鼓膜炎2耳.(方法)1日1回10分間耳浴またはブロー液に浸した綿球を当てた.効果判定は治癒,有効,不変に分類.(結果)術後症は8/11耳(72.7%)が治癒,有効3耳,不変0耳,慢性外耳道炎湿疹の7耳全例が治癒,外耳道真菌症の7耳全例治癒,慢性穿孔性中耳炎は4/6耳(66.6%)治癒,有効,不変が各1耳,慢性肉芽性鼓膜炎の2耳が治癒し,全25耳では20耳80%が治癒し有効4耳,不変1耳であった.施行前後の聴検で耳毒性は認められなかった.粘稠性粘液,真珠腫,残存蜂巣の分泌には無効,副作用は稀にある疼痛と一過性の水様性分泌増加である.殺菌作用は菌種を選ばないと思われる.効果発現は1-2回,3日-3週と極めて早い.作用機転は濃度が濃いためと思われた.(結論)ブロー液は点耳薬として重大な副作用も
    なく,極めて有効であることが判明した.
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