日本耳鼻咽喉科学会会報
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91 巻, 4 号
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  • 耳管粘膜内分泌細胞の免疫組織学的解析
    朴沢 孝治
    1988 年 91 巻 4 号 p. 497-501,643
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    滲出性中耳炎における耳管粘膜の分泌能を推定するため, 免疫複合体誘発中耳炎動物モデルを作製し, その耳管粘膜を免疫組織化学的手法を用い観察した. アルシャンブルーやPAS染色陽性の細胞は, 付属粘液腺内に多く観察されたが, UEA-I及びDBAのレクチンに染色される細胞は, 耳管粘膜に主として分布していた. 中耳炎を惹起すると, アルシャンブルー及びUEA-I陽性細胞は, 耳管軟骨部, 耳管咽頭口を中心に増加したが, 耳管骨部, 耳管鼓室口における変化は少なかった. これに対してDBA陽性細胞は逆に減少する傾向を示した. 以上より, 耳管の分泌細胞は, 部位により異なる分布を示し, 病変に際しては量的のみならず質的に変化することが明らかにされた.
  • 杉山 貴志子, 瀧本 勲, 稲福 繁, 棚橋 汀路
    1988 年 91 巻 4 号 p. 502-508,643
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    嚥下障害を主徴としたWolfram症候群の一例を報告したWolfram症候群は糖尿病, 視神経萎縮, 尿崩症, 難聴を四徴とする症候群として知られているまれな疾患であるが, 病態は臨床症状, 部検所見から視覚路, 脳幹, 小脳の変性, 萎縮と考えられている. 本例は糖尿病, 視神経萎縮を伴っていたが尿崩症, 難聴はなく, さらに嚥下障害が主徴であったことが特徴的である. 本例の嚥下障害は嚥下圧亢進型嚥下障害であり輪状咽頭筋切除術により嚥下機能の著明な改善をみた. また本例は平衡障害も合併していたが平衡機能検査にて脳幹, 小脳障害を呈していた.
  • スギ花粉症患者のHLAクラスI, II抗原について
    北尾 友幸, 定永 恭明, 宇野 正志, 温 永明, 増山 敬祐, 石川 哮
    1988 年 91 巻 4 号 p. 509-515,643
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    スギ単独感作例20例, スギを含む重複感作例16例, 計36例のスギ花粉症患者および健常対照者66例のHLAクラスI, II抗原 (A, B, C, DR, DQW, DRW) の測定を行い, スギ花粉症へのHLAを介する遺伝的関与の有無について調査した. その結果, スギ単独感作症例ではHLA-A26 (45%), 重複感作症例ではHLA-DQW3 (93.8%), スギ花粉症全体としてみればHLA-DQW3 (86.1%) 出現頻度が健常対照者に比し高いことがわかった. また, 患者群でA26を持つ症例は全例DQW3を有しており, 両者の間に連鎖不平衡状態があることが示唆された. 従って, HLAクラスII抗原の生物学的機能から考えると, スギ花粉症発症にかかわる遺伝子があるとすれば, HLA-DQW3領域あるいはその近傍に位置する可能性があると推察した.
  • カモガヤ花粉症患者のHLA-クラスI, II抗原について
    北尾 友幸, 定永 恭明, 宇野 正志, 温 永明, 増山 敬祐, 石川 哮
    1988 年 91 巻 4 号 p. 516-520,643
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    カモガヤ花粉症患者19例, 健常対照者66例のHLAクラスI, II抗原 (A, B, C, CR, DQW, DRW) の測定を行い, カモガヤ花粉症へのHLAを介する遺伝子関与の有無について調査した. 患者群は, 3例を除き, カモガヤの他にスギ, ダニ, ブタクサに2~4重複感作されていた. 調査の結果, 患者群でHLA-A26 (52.6%), HLA-DQW3 (100%) の出現頻度が健常対照者に比し高いことが分かった. この結果は, スギ花粉症の時と同じ結果であり, また, A26をもつ10症例は全例スギを含む重複感作例であった. 従って, このHLAタイプを介して遺伝的類似性があることがスギ, カモガヤ重複感作例が多い要因であると考えた. さらに, HLAの生物学的機能から考えるとHLA-A26よりHLA-DQW3が疾患と深くかかわっていることが示唆された.
  • Middle Ear Analyserによる測定
    和田 仁, 小林 俊光
    1988 年 91 巻 4 号 p. 521-527,645
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    耳小骨離断や固着等の診断に対して従来型ティンパノメーターの信頼性は十分とは言えないので, より多くの情報が得られる中耳動特性測定装置の試作を行った. すなわち音響学的および機械振動学的検討を加え理論動特性に近い性能を有するプローブチップを開発することにより, 連続周波数に対する中耳の絶対音圧変化および絶対位相差の測定可能なMiddle Ear Analyserを試作した. そして正常な聴力を有する人間の耳で音圧変化を測定した. 得られた結果より, audiogramが正常範囲内にもかかわらず鼓膜や耳小骨連鎖の状態により音圧変化が大きく異なることが明らかとなった. 従って本試作機は中耳動特性の微細な違いを測定でき, 中耳病変診断装置として臨床応用への可能性が示唆される.
  • 誘発筋電図による検討
    木谷 伸治, 丘村 熙, 柳原 尚明
    1988 年 91 巻 4 号 p. 528-531,645
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    耳下腺手術中に誘発筋電図を用いて側頭骨外顔面神経分枝の機能分布を検討した. 対象は耳下腺腫瘍摘出術症例及び選択的顔面神経切断術症例である. 剥離・露出した顔面神経主幹及び各分枝を双極電極にて電気刺激し, 前頭筋・眼輪筋・口輪筋・下唇下制筋から誘発筋電図を記録した. その結果, 前頭筋支配神経は上主枝に, 下唇下制筋支配神経は下主枝に, 口輪筋支配神経は上, 下両主枝に, 眼輪筋支配神経は上主枝に存在するものと, 上, 下両主枝に存在するものとが半数ずつであった. また耳下腺領域では顔面神経は各表情筋を独立的に支配するほどの機能分布は起こっていなかった. これらの所見に基づいて耳下腺手術時の神経移植法の適応について論じた.
  • 堀内 康治, 加瀬 康弘, 船井 洋光, 矢野 純, 牛嶋 達次郎, 飯沼 壽孝
    1988 年 91 巻 4 号 p. 532-538,645
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    昭和53年1月より昭和62年3月までの約9年間に, 局所麻酔下で慢性副鼻腔炎手術を行った初回手術140症例 (251側) において手術時出血量を測定し, 出血量に影響する要因および術中多量出血に関する量的定義とその原因を検討した.
    平均手術時出血量は195gであり, 手術時出血量と相関を認めたものは手術所要時間, 鼻内所見, 術前CT所見, 上顎洞貯留物, 上顎洞粘膜病態であった. また術中多量出血 (経験的な定義として400g以上の出血量) を示したものは全症例の約10%であった. 手術記載より術中多量出血の原因は篩骨蜂巣開放や自然孔拡大のごとく鼻腔側壁後方の操作によるものが最も多く37%であった.
  • 広田 佳治, 清水 弥生, 飯沼 壽孝
    1988 年 91 巻 4 号 p. 539-546,645
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    高分解能CTを施行した鼻骨骨折20症例につき臨床統計, 骨折形態, 単純側面X線との比較を行った. 骨折をlateral fractureとfrontal fractureとに分類し, 軸位CTにて鼻骨の上方, 下方, 中間部位を撮影した. 骨折は10歳代男子に好発し, lateral fractureの形態は外力と反対側鼻骨の骨折, 外力側鼻骨上顎縫合の離開および上顎骨前頭突起の骨折がその特徴である. このことより回顧的に単純側面X線を検討した結果, 従来より骨折診断の指標とする鼻背の不連続性に加えて, 鼻背直下で鼻背に平行に走る骨折線と鼻骨上顎縫合付近の骨折線も骨折のX線診断に有用であることが判明した.
  • 加瀬 康弘, 北原 伸郎, 堀内 康治, 船井 洋光, 牛嶋 達次郎, 飯沼 壽孝, 小山 和行
    1988 年 91 巻 4 号 p. 547-552,647
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    副鼻腔炎症例にみるCT上での骨壁肥厚像を検討した. 単純X線写真にて片側性副鼻腔炎症例の患側上顎洞壁が健側と比較して肥厚する傾向があり, 炎症の影響により骨壁が肥厚する傾向を認めた. 単純X線写真とCTとで片側性副鼻腔炎症例の患側と健側を比較すると, CTでは患側上顎洞壁が健側より肥厚する率は単純X線写真より高く, CTのアーチファクトの関与が示唆された. CTと上顎洞前壁標本の厚さを比較検討した結果, アーチファクトの影響によるCTでの骨壁肥厚を全例に認め, さらに副鼻腔炎症例では正常例よりもアーチファクトの影響が強いことが判明した. 副鼻腔炎症例の上顎洞内CT値と上顎洞前壁標本の厚さには正の相関を認めた.
  • 全国土木建築国保検診より
    川久保 淳, 沖倉 一彰, 秋鹿 美子
    1988 年 91 巻 4 号 p. 553-560,647
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    土木建築職域2702名, 一般職域110名のドック診察にあたり, 喉頭癌早期発見を目的に, 間接喉頭鏡で選別された97名に対し, 喉頭ファイバースコピー, 及び症例により内視鏡下試切を併用した.
    喉頭病変を認めた53名の内訳は, 初期喉頭癌 (T1) 5例0.18%, 角化症4例0.14%, 良性上皮過形成4例0.14%, 声帯ポリープ12例0.43%, 声帯血腫2例0.07%, 声帯炎12例0.43%, ポリープ様声帯7例0.25%, その他3例0.11%であった.
    声帯炎及びポリープ様声帯各1例を除く症例はすべて土建群であり, 土建職域検診者の50歳以上の男性に限って喉頭癌検出率をみると0.4%であった.
  • 小山 澄子, 大久保 仁, 奥野 秀次, 渡辺 勇
    1988 年 91 巻 4 号 p. 561-569,647
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    7年の間に進行性難聴を呈した骨Paget病の1例を報告した. Skull X-Pで典型的なCotton-Wool-Patch像を認めた. 血清ALPも異常高値を示していた. Skullはfrontal resionを除いてPagetic boneに高度に罹患し, 内耳道は著明に変形していた. 伝音難聴, 感音難聴, めまいの成因を文献的考察を加え報告した.
  • 堤 康一朗
    1988 年 91 巻 4 号 p. 570-579,647
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    声門上扁平上皮癌20例の生検組織と臨床像との関連を検討した. ヘマトキシリンエオジン染色標本の検討と共に, 基底膜の検索にType IV Collagen, Lamininの2種抗体, Keratinの検索にMonoclonal, Polyclonalの各抗体と, 癌細胞膜糖鎖構造の変化の把握のために, PNA (Arachis hypogaea), UEA-I (Ulex europeus I) のレクチンの計6種を用い, Abidin-Biotin Complex法にて検討した. 各所見の統計学的解析の結果, 声門上癌の局所リンパ節転移には生検組織における角化度とType IV Collagenの染色性が大きく関与し, Type IV Collagenの染色性が良好であった症例は局所リンパ節転移が少ないことが明らかとなった.
  • 1988 年 91 巻 4 号 p. 580-589
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 91 巻 4 号 p. 589-600
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 91 巻 4 号 p. 600-615
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 91 巻 4 号 p. 615-628
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 頭頸部非ホジキンリンパ腫
    夜陣 紘治
    1988 年 91 巻 4 号 p. 630-633
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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