モルモット56匹, 111耳の新鮮鼓膜を用いて, 鼓膜が破断に至る経過をマイクロテスティングシステムで力学的に分析した. 応力・ひずみ曲線上には, 多数のノッチが認められた. 最初のノッチは, 鼓膜の弾性限界で, 応力4.86MPa, ひずみ0.10で出現した. またノッチは, 鼓膜に亀裂が生じ, 段差ができたため, 応力が急激に減少する状態で記録された. モルモット新鮮鼓膜の弾性係数は, 5.71×10
-2mN/μm
2であった. 最大応力は18.5MPaで, 放射状線維の極限の強さを表していた. モルモット鼓膜は力学的には放射状線維と輪状線維よりなる複合材料で, 力学的な損傷に対し, 両者はお互いにその強度を補強していることがわかった.
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