〔目的〕慢性副鼻腔炎患者の鼻茸を用いて,免疫染色および酵素免疫測定法(ELISA法)によって好酸球遊走因子と関連因子を同定,定量し,アトピー素因の有無により解析し,鼻茸組織中の好酸球の浸潤機序を検証した.
〔対象と方法〕鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎20症例より摘出した鼻茸ホモジネート中のinterleukin(IL-)5,IL-13,eotaxin,thymus and activation regulated chemokine(TARC),regulated upon activation nomal T cell expressed and secreted(RANTES)をELISA法で定量した.また同一症例での鼻茸組織切片の好酸球数およびEG2陽性細胞数をカウントした.
〔結果〕アトピー素因の有無で鼻茸組織中の好酸球数,EG2陽性細胞数および鼻茸ホモジネート中のIL-5,eotaxin,TARC,RANTESの濃度に有意な差を認めなかった.同一症例においての組織中好酸球数とIL-5濃度,eotaxin濃度,TARC濃度との間に相関を認めたが,好酸球数とRANTES濃度との間には相関を認めなかった.IL-13はすべての症例で検出限界値以下であった.
〔結論〕鼻茸組織への好酸球浸潤はアトピー素因の有無に関わらずIL-5,eotaxin,TARCの関与が考えられた.
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