日本耳鼻咽喉科学会会報
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100 巻 , 7 号
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  • 吉田 友英
    1997 年 100 巻 7 号 p. 729-739
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    姿勢や歩行などの体平衡機能は小児では年齢とともに向上し, 高齢者では加齢により低下してくる. これまで体平衡機能の年齢による変化は, 重心動揺検査や姿勢保持時間を用いた静的姿勢についての研究が主であった. このため, 動的体平衡機能よりみた年齢変化を知ることも重要と考え研究を進めてきた. 私たちは定量的な刺激を与えて動的体平衡機能をみるための検査法を開発し, これをBody Tracking Test (BTT) として, さらに基本的な検査条件設定について報告してきた. 今回, このBTTを用いて動的体平衡能よりみた年齢による変化について解析を行った.
    対象は, ボランティアで健康な516人である. 検査は, BTT装置コンピュータで刺激の設定とデータの記録, 解析をした. 条件は, 視標との距離を100cmに, 足位は閉足位で, 姿勢は直立姿勢とした. 追随機能の評価は, 私どもの『5段階追随評価法』によった.
    5段階追随評価法によって, 左右, 前後定速刺激BTTともに成長による変化がみられた. 左右定速刺激BTTでは, 高校生では成人と同様の追随機能がみられたが, 前後定速刺激BTTでは成人のレベルには達していなかった. 加齢による変化は, 左右, 前後定速刺激BTTともに40歳代より追随機能の低下を示した. この結果の違いは, 発達過程のバランスの取り方と老化過程のバランスの取り方に大きな差があることを示している. BTTは, 追随に伴う姿勢制御を行う上で視覚入力と深部知覚入力が大きく関わっている検査法と考えている. また, 追随という動作には反射的な姿勢制御のみならず, どのようにすればうまく追随ができるかという高位の思考過程をも必要とする. そのためBTTでは, 総合的な姿勢制御機構を評価することが出来るのではないかと考えられた.
  • 阪上 雅史, 小笠原 寛, 野出 美知子, 瀬尾 徹, 三代 康雄
    1997 年 100 巻 7 号 p. 740-746
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    中耳手術は炎症をとりA-Bgapを縮小することを目的とするが, まれに高度感音難聴をきたすことが知られている. しかし, 国内では参考となる報告が少ない. 本稿では, 筆者自身が関連した手術535例中, 術後高度感音難聴を生じた5症例 (0.9%) を提示した. 症例1は内耳瘻孔を伴った真珠腫で内耳炎が, 症例2, 3はバーの耳小骨への接触が原因であると推測された. 症例4, 5はアブミ骨手術後の遅発性の感音難聴で原因が不明であった. 内耳瘻孔, バーの振動・接触, アブミ骨手術後の感音難聴につき文献的に考察を加えた.
  • 橋本 好充
    1997 年 100 巻 7 号 p. 747-753
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    本研究は, 耳鳴症例において塩酸リドカインがどのように誘発耳音響放射 (以下, EOAE) に影響を与えるかを検討した. 一側性耳鳴患者19例の患側耳を対象として, 塩酸リドカインの静注前後でEOAEの測定を行った. 塩酸リドカインを静注して10分後に, EOAEの振幅が有意に増加した. 塩酸リドカイン有効群と無効群との間に, 塩酸リドカイン静注10分後に有意な差を認めた. これらの結果より, 塩酸リドカインは蝸牛微小機械系に対して何らかの形で作用していると考えられた. この作用には, 交叉性オリーブ蝸牛束の関与が示唆された.
  • 杉内 智子, 岡本 途也, 浅野 公子, 河村 直子, 新井 景子, 大氣 誠道, 寺島 啓子
    1997 年 100 巻 7 号 p. 754-761
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    昭和大学病院耳鼻咽喉科補聴器外来にて長期間 (9年~22年) 聴覚管理を行った, 小児感音難聴症例45人について検討した. 当補聴器外来では「聴力検査経過表」を作成して聴力変動を評価し, 聴力の急性増悪に対して, ステロイド等を用いた積極的な治療と補聴指導を行って, 聴力維持と聴覚活用に努めている. この「聴力検査経過表」は標準純音聴力検査の結果を周波数別に書き込んだもので, 有意な聴力低下を端的に判別することができる.
    経過中に聴力変動したものは45人中36人 (80.0%), うち29人は急性増悪を示した. 急性増悪の年齢別発症率は, 男女とも緩やかな三峰性の増加を示した.
    経過観察最終時まで初期聴力を保てたのは, 45人中23人 (51.1%) で, うち14人は急性増悪 (1回~6回) から治療により回復したものであった. 初期聴力を維持できなかった45人中22人 (48.9%) のうち, 7人は徐々に聴力低下したもので, 残りの15人は急性増悪 (1回~10回) 例であった. この15人の多くは, 経過途中の幾度かの急性増悪から治療により回復し, 小学校時代を越えて初期聴力を保つことができた. 「聴力検査経過表」は有用な聴力評価手法であり, これを活用し, 積極的な治療と指導を重ねた聴覚管理は効果的であった.
  • 臼井 秀治, 下郷 和雄, 大岩 伊知郎, 坂倉 康夫
    1997 年 100 巻 7 号 p. 762-769
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    上顎悪性腫瘍の原発巣が上顎洞と特定でき, 1.5年以上の経過観察ができており, かつ顎欠損模型が2個以上ある症例を対象として, その模型を同一条件下で写真に撮り, その写真上で顎欠損部の面積をプラニメーターで測定し, その経年的変化を追った. その結果, 面積は16/21例 (76%) で縮小傾向を示した. 80%の症例で顎欠損部がほぼ安定するのに術後1年以上の期間を要し, 全例では3年から5年の長期間を要した. したがって, 積極的に頻回の盛り上げ, 削除などの調整を念頭においた術後早期の顎補綴装用は, 患者のQOLの向上に大切である.
  • 縄田 安孝, 古川 朋靖, 渡辺 道隆, 加納 昭彦
    1997 年 100 巻 7 号 p. 770-781
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    神経変性疾患の中には, 多彩な眼球運動障害を示すものがあることが知られているが, saccade, pursuit, OKNなどの視性眼球運動, 特に垂直眼球運動の所見を詳細に記載した報告は, 我々が検索しえた範囲内では, 進行性核上性麻痺 (以下PSP) で数編, 脊髄小脳変性症では皆無と言って良い. 今回我々は, PSP及び脊髄小脳変性症35例において, 垂直性眼球運動をENGにて記録, 検討し, これまで水平性眼球運動の検討だけでは言及しえなかった, 各疾患の鑑別診断において以下のごとくの知見を得た. 1) PSPでは, 垂直注視麻痺とともに, saccade, pursuitとも障害が認められたが, saccadeの障害が著明であった. 注視麻痺がない症例でもsaccadeの速度の低下とhypometric saccadeが認められ, 最も早期にこの障害が出現するものと考えられた. VS testでは明所で増強する症例が高率に認められた. 2) オリーブ・橋・小脳萎縮症 (OPCA) では, PSPに比べsaccadeの障害は軽度で, 逆に高率にsmooth pursuitが障害されていた. VS testではPSPと同様に, 明所で増強する症例が高率に認められた. 3) 晩発性小脳皮質萎縮症 (LCCA) は, 他の疾患と比較して, 垂直眼球運動はほとんど障害されていなかった. VS testでは, 他の疾患のように, 明所で増強する症例は認められなかった. 4) 歯状核・赤核・淡蒼球・ルイ体萎縮症 (DRPLA) とJoseph病は, 症例数が少ないため, はっきりとしたことは言えないが, 眼球運動障害は多彩であり, saccade, pursuitともに障害されるが, sacadeはPSPでほぼ無反応になることが多いのに比べ, 何とか指標を追従できた. 5) VSの明所での増強と垂直眼球運動障害との間には有意な相関が認められた.
  • 染川 幸裕, 浅野 勝士, 秦 正人
    1997 年 100 巻 7 号 p. 782-789
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    中・後頭蓋窩に進展した70歳女性の中耳扁平癌症例に対し, 一塊切除による側頭骨の亜全摘を施行し, 若干の検討を試みた.
    Postauricular transtemporal and retromastoid approachを用いて, 側頭部および乳突洞後部の2方向から開頭し, 側頭葉硬膜, 小脳硬膜, 横静脈洞, S状静脈洞を露出した. 横静脈洞を結紮して, 硬膜切開を側頭部から後頭部まで連続し, さらにテントを解放して, テント上下に広い視野を確保した. 後頭蓋窩において, VII VIII脳神経を切断した. さらに側頭骨後面の硬膜を切開し, 切除範囲を定めたが, この際IX X XI脳神経は保存した. 次いで, 細いburを用いて頸動脈管内を前方は内耳道内側縁, 下方は硬膜切開線に沿って頸静脈球部に至る方向に削開し, 錐体尖から離断した. その結果, 側頭骨は, 上方は中頭蓋窩硬膜, 後方は後頭蓋窩硬膜とS状静脈洞に被われたまま一塊に摘出された.
    側頭骨摘出後, 頭蓋底を遊離腹直筋にて再建した. 髄液漏や髄膜炎などの合併症および下位脳神経の障害は認めなかった.
    術後2年4カ月を経過した現在, 嚥下, 会話に支障はなく, 腫瘍の再発は認められていない.
    頭蓋底外科および再建外科の進歩に伴い, これまで予後不良とされ, さらに技術的な面から姑息的治療を余儀なくされていたこのような中耳癌頭蓋底進展症例に対しても, 手術適応を拡大できる可能性が推察された.
  • 佐野 啓介, 加藤 太二, 片岡 真吾, 森川 茂, 川内 秀之
    1997 年 100 巻 7 号 p. 790-797
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    サイトケラチン19フラグメントを認識するCYFRA 21-1を用い, 頭頸部扁平上皮癌における腫瘍マーカーとしての有用性をSCC抗原と比較検討した. 担癌患者, 治療後癌消失症例, 良性疾患症例, 健常正常人の血清中の腫瘍マーカー値を測定した結果, CYFRA 21-1は腫瘍マーカーとして有用であり, 特に早期癌患者のスクリーニング, 診断においてSCC抗原に比しより有用である可能性が示された. 扁平上皮癌, 腺癌より樹立した腫瘍細胞株を用いた検討では, CYFRA21-1はSCC抗原に比べより多くの細胞株の培養上清中に高濃度で検出され, 螢光免疫組織化学にて培養上清中の値と相関した螢光強度が認められた.
  • 松永 喬
    1997 年 100 巻 7 号 p. 798-801
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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