日本耳鼻咽喉科学会会報
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109 巻, 8 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 鼻内視鏡下血管クリッピングを中心に
    有方 雅彦, 瀬野 悟史, 鈴木 幹男, 櫻井 弘徳, 戸嶋 一郎, 清水 猛史
    2006 年 109 巻 8 号 p. 649-654
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    2003年3月から2005年2月の間に鼻出血を主訴に外来受診した202例中,入院加療を必要とした17例を対象とし,性別,年齢,入院期間,治療方法,基礎疾患,手術療法(内視鏡下血管クリッピング)について検討を行った.入院加療を行った17例は,男性12例,女性5例,平均年齢62歳で,全17例の平均入院期間は7.9日であった.治療方法は,鼻内タンポンの挿入による保存的治療が8例,手術6例,粘膜焼灼2例,血漿交換1例であった.基礎疾患では,保存的治療8例中,高血圧が6例,抗凝固剤内服が1例,手術6例中,高血圧が4例,抗凝固剤内服が2例であった.血漿交換を行った1例はマクログロブリン血症の患者であった.手術を行った6例は鼻内視鏡下顎動脈•蝶口蓋動脈クリッピングを行い,現在まで全例再出血は認めていない.鼻内視鏡下血管クリッピングの利点は,従来のLucの術式に準じた顎動脈結紮法より侵襲が少なく,また動脈塞栓術で合併する可能性がある脳塞栓などを起こさないことなどが挙げられる.鼻内視鏡下血管クリッピングの合併症には,鼻内痂皮,急性副鼻腔炎,流涙減少,歯•口蓋•上唇のしびれ,鼻中隔穿孔,下鼻甲介壊死などが報告されているが,今回施行した6症例ではこうした合併症は認められなかった.
  • 金林 秀則, 渡嘉敷 亮二, 平松 宏之, 塚原 清彰, 本橋 玲, 中村 一博, 鈴木 衞
    2006 年 109 巻 8 号 p. 655-659
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    片側性喉頭麻痺に対する喉頭枠組み手術は,術中に発声させる必要から局所麻酔下に行うのが一般的である.今回我々は,局所麻酔下での長時間の仰臥位や内視鏡操作に耐えられないと判断した2例に,全身麻酔下にラリンゲルマスクを用いて外側輪状披裂筋牽引術(lateral cricoarytenoid muscle pull: LCA-Pull)と甲状軟骨形成術I型を併用施行した.症例1の最長発声持続時間(maximal phonation time:以下,MPTと略す)は術前2秒から術後20秒,発声時平均呼気流率(mean flow rates:以下,MFRと略す)は術前1000ml/s以上から術後110ml/sに改善した.術前の周期揺らぎ指標(period perturbation quotient:以下,PPQと略す),振幅揺らぎ指標(amplitude perturbation quotient:以下,APQと略す)は測定不能であったが,術後はそれぞれ0.645%,1.790%と正常になった.症例2の術前のMPTは2秒から術後13秒,MFRは術前1420ml/sから術後105ml/sと改善した.PPQは術前2.085%から術後0.956%,APQは術前9.294%から術後2.213%となった.聴覚印象的にも2例とも正常音声と判断できるレベルまで改善した.
  • 東川 雅彦, 山本 有実子, 峰晴 昭仁
    2006 年 109 巻 8 号 p. 660-667
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    従来用いられているビデオ録画による嚥下透視検査(VF)の代用あるいは取って代わる方法として,デジタルX線TVのシネ画像による嚥下透視検査(デジタルシネ嚥下透視検査)の有用性について検討した.
    今回用いたデジタルX線TV装置では,毎秒5フレームの記録が可能であった.嚥下動態の把握がこのフレーム頻度で可能であるかを,誤嚥のない例を含む3例について評価を行った.評価のポイントは,棚橋,吉田の提唱した嚥下障害のX線透視検査記録の試案のうち,咽頭期の評価の必須とされたものとした.その結果,喉頭挙上のような速い動きの把握の上で困難な点はあるものの,ルーチン検査としての評価を行うレベルでは有用であることが示された.
    デジタルX線TVのシステムは,循環器科,消化器科のある施設ではほぼ設置されており,ほとんど手を加えることなく嚥下透視検査に用いることができる.また電子カルテや院内のネットワークにリンクさせることにより,カルテ内の臨床所見との対比が行いやすくなる.記録媒体の保存の手間も省くことができ,この点においても臨床上有用であると考えられた.撮像時間,被曝量などに問題は残るものの,耳鼻咽喉科医が,より専門的なレベルでの嚥下障害の情報を提供できるようになるためにも,デジタルシネ嚥下透視検査の活用が望まれる.
  • 菊池 淳, 坂本 菊男, 佐藤 公則, 中島 格, 橋本 鶴美
    2006 年 109 巻 8 号 p. 668-674
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    (目的)睡眠時呼吸障害(Sleep-disorderd breathing,以下SDB)患者の治療に対する口蓋垂軟口蓋咽頭形成術,扁桃摘出術などを含む咽頭拡大術について,集学的治療の一環としてどのように行うか,その適応を検討した.(対象)2002年5月から2004年12月までの間に,久留米大学病院耳鼻咽喉科•頭頸部外科および久留米大学医療センター耳鼻咽喉科で咽頭拡大術を受けた26名を対象とした.(方法)術前と術後8~12週目に終夜睡眠ポリグラフ検査を行い,無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index,以下AHI)の改善度を検討した.(結果)咽頭拡大術単独で根治を目指した例は,扁桃肥大1度以上,いびき音テストで咽頭狭窄が左右型,顎顔面形態上のリスクが小さい例である.AHIの改善度は76.2%で,無呼吸指数(Apnea index,以下AI)に限ると改善度は95.7%であった.咽頭拡大術を補助的に行った例は,いびき音テストで咽頭狭窄が左右型,扁桃肥大2度以上の例である.AHIの改善度は50.7%で,AIに限っても改善度は66.5%であったが,他の治療の補助として有用であった.(結論)SDBの治療は集学的なアプローチが必要であり,このなかで咽頭拡大術は,適応を二つに分けて考えるべきであると思われた.
  • 眼窩骨折
    柳 清
    2006 年 109 巻 8 号 p. 678-681
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
  • 高橋 姿
    2006 年 109 巻 8 号 p. 682-683
    発行日: 2006/08/20
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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