日本耳鼻咽喉科学会会報
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107 巻, 3 号
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  • 石田 正幸, 渡辺 行雄, 川崎 匡
    2004 年 107 巻 3 号 p. 179-187
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2008/12/15
    ジャーナル フリー
    過去におけるネコの視運動性眼振(OKN)の報告では,水平性と垂直性OKNを定量的に同条件で記録したものは,ほとんどなかった.本研究では,ネコの水平性および垂直性OKNを直立頭位で同条件のもと記録し,定量的パラメーターを用いて解析した.
    覚醒ネコ5匹を対象とした.直立頭位のネコにランダムドットパターンのステップ状視運動刺激を行い,サーチコイル法を用いて眼球運動を記録した.
    ネコの水平性と垂直性OKN反応における,直接経路のパラメーターとして,急速緩徐相速度上昇,急速緩徐相速度下降を,間接経路のパラメーターとして,定常状態緩徐相速度,OKAN面積を呈示した.
    水平性OKNの定常状態緩徐相速度(SPV)は,40~60°/sまで刺激速度の増加に伴って増大し,それ以上では,飽和した.右向きと左向きのOKNは,ほぼ対称だった.垂直性OKNについては,下向きOKNの定常状態緩徐相速度(SPV)は,20°/sまで刺激速度の増加に伴って増大し,それ以上では,飽和した.これは,水平性OKNのSPVよりも低速であった.一方,上向きOKNのSPVは,弱く不規則であった.
    視運動性後眼振(OKAN)も,右向きと左向きで,ほぼ対称だった.下向きOKANも,認められたが,水平性OKANよりも弱かった.OKANのSPVにおける急速緩徐相速度下降は,水平性と下向きOKNにおいて観察された.一方,上向きOKANは,ほとんど観察されなかった.
    本研究結果より,ネコの水平性OKNと垂直性OKN反応の差は,直接経路よりも間接経路の差によるところが大きいと思われた.また,ネコとサルのOKN反応を比較すると,直接経路,間接経路ともに,ネコの方が小さく,特に,中心窩視力に関わる直接経路の差が大きいと思われた.
  • 鉄欠乏性味覚障害の臨床像について
    根来 篤, 梅本 匡則, 任 智美, 阪上 雅史, 藤井 恵美
    2004 年 107 巻 3 号 p. 188-194
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2008/12/15
    ジャーナル フリー
    (目的)味覚障害の原因として血清亜鉛欠乏に伴う味覚障害がよく知られているが,血清鉄欠乏に伴う味覚障害はあまり知られていない.兵庫医科大学味覚外来における血清鉄欠乏症例の味覚機能を検討し,鉄欠乏性味覚障害の臨床像について検討した.(対象と方法)1999年1月から2003年2月の間に当科味覚外来を受診し,血清鉄低下を認め,鉄内服療法を行った25例(男性3例,女性22例,平均56.1±16.5歳)を対象とした.味覚機能は電気味覚検査,濾紙ディスク法で評価した.鉄剤はクエン酸第一鉄ナトリウム(フェロミアR)を使用,血清亜鉛低下症例には亜鉛製剤内服療法を併用した.(結果)男女比は約1:7,年齢分布は40歳と70歳の2峰性のピークを認めた.初診時電気味覚検査では約70%に閾値上昇が認められ,濾紙ディスク法における4基本味別認知閾値の平均値では,酸味の閾値がやや上昇していた.鉄•亜鉛内服療法群の味覚改善率は鉄製剤内服群より,自覚症状,電気味覚検査,濾紙ディスク法で上回った.鉄剤内服療法開始までの罹病期間別の治療成績では,各期間に改善度の差は認められなかった.(考察)血清鉄欠乏に伴う味覚障害を認めた時,鉄剤内服療法もしくは鉄•亜鉛内服療法を積極的に行う必要があると思われた.
  • 三枝 華子, 飯野 ゆき子, 中本 吉紀, 宮澤 哲夫, 村上 嘉彦, 小寺 一興
    2004 年 107 巻 3 号 p. 195-198
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2008/12/15
    ジャーナル フリー
    蝸牛と球形嚢に限局した内耳異常には,先天異常によるcochleosaccular dysplasiaと後天的に生じたcochleosaccuiar degenerationがある.しかし側頭骨病理標本上,典型的な蝸牛 球形嚢のみに限局した異常を観察することは非常にまれである.今回我々は幼少期から左難聴が存在し,蝸牛球形嚢に限局した内耳異常を示した72歳男性の症例を経験した.純音聴力検査では左耳の高度感音難聴を認めた.側頭骨病理で左耳では内外有毛細胞の完全消失を伴うコルチ器の平低化,蓋膜のrolled-up,血管条の萎縮,ラセン神経節細胞の減少に加え,球形嚢の著しい変性が認められた.,これらの所見はcochleosaccular degenerationの典型的所見と考えられた.よって本症例は幼少期のウイルス性内耳炎に起因する内耳変性により側性高度感音難聴を生じたものと考えられた.
  • 畑中 章生, 角田 篤信, 金沢 弘美, 角田 玲子, 石毛 達也, 鈴木 政美, 岡本 誠, 戸叶 尚史, 喜多 村健
    2004 年 107 巻 3 号 p. 199-202
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2008/12/15
    ジャーナル フリー
    1999年1月1日から2001年12月31日までの3年間に,当科に入院した伝染性単核球症は10例,同じく扁桃周囲膿瘍は100例であった.そのうち,両者の合併が確認できた3症例について検討を行った.3症例とも,初診時は身体所見から扁桃の細菌感染症と考えて治療を開始した.しかし,入院時血液検査におけるトランスアミナーゼの上昇から,伝染性単核球症の合併を確認するに至った.細菌性の扁桃感染を疑った際にも,トランスアミナーゼの上昇が見られたならば,伝染性単核球症の合併を考慮する必要がある.今回の我々の経験と過去の報告から,両者の合併頻度は,実際には我々の認識よりも高い可能性が示唆された.
  • インフルエンザの最近の話題
    白木 公康
    2004 年 107 巻 3 号 p. 203-207
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2008/12/15
    ジャーナル フリー
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