本研究は, 半規管の機能面と解剖学的位置の関係を明らかにすることを目的とした.
健常者16名の頭位を, 前屈40度から後屈50度の間の角度に固定し, 振子様回転刺激を加え, この時の眼球運動をコンピュータ画像解析システムを用いて三次元的に解析した.
水平成分は, 前屈20度で振幅が最大になり, 外側半規管は, 機能面と解剖学的位置がほぼ一致していることが分かった. しかし, この頭位では垂直半規管の影響は最小にならず, 垂直, 回旋の両成分は後屈10度で最小になった. これは, 外側半規管と垂直半規管が直交していないという解剖学的位置による結果と解釈できた. 後屈10度を境に眼球運動を発現させている責任半規管が入れ替わったと考えられた.
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