日本耳鼻咽喉科学会会報
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99 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 再建組織の動きの定量的評価
    榎本 浩幸, 佃 守, 持松 いづみ, 河合 敏, 池間 陽子, 吉田 豊一, 廣瀬 肇
    1996 年 99 巻 12 号 p. 1729-1737,1811
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    舌・口腔底癌切除, 遊離腹直筋皮弁による即時再建術を行った12例で, 術後の嚥下機能についてアンケートによる患者の主観的評価を行った. また嚥下時の再建舌の動きをX線透視下で記録し, 画像をパーソナルコンピューターで解析して再建舌の移動域や口蓋, 咽頭後壁との距離を定量的に評価した.
    その結果, 再建舌では方向性の乏しい小刻みな動きがみられ, 健常者とは異なる食塊の送り込み方をしていることが示唆された. また切除形式を前方型と側方型に分類して比較したところ, 術後の嚥下機能は前方型の方が不良であった. 全体として嚥下時の再建舌の移動域が大きい症例の方が術後の嚥下機能はよい傾向がみられた.
  • 渡邉 建介, 博久 博子
    1996 年 99 巻 12 号 p. 1738-1745,1811
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    滲出性中耳炎の滲出液中のエンドトキシンが内耳にどのような影響を及ぼすかという点を明らかにする目的で, 中耳内エンドトキシン投与後経時的に蝸牛の変化を観察した. 炎症細胞は24時間では好中球が主であったが, 48時間以降はマクロファージが主であった. マクロファージは好中球を貪食していた. 血管条は, 24時間後と48時間後では中間, 辺縁両細胞の萎縮が著しく, 細胞間隙が広く開いていたが, 72時間後ではほぼ正常に復していた. 血管条血管内blood sludgeは24時間をピークに徐々に解消し, 7日後にはほぼ観察されなくなった. 有毛細胞は48時間で大きな空胞を多数認め24時間と72時間で小さな空胞を認めたが, それ以外ではほぼ正常であった. 7日後にはほぼ正常に復していた.
  • 矢沢 代四郎, 北野 博也, 鈴木 幹男, 児玉 章, 北嶋 和智
    1996 年 99 巻 12 号 p. 1746-1750,1811
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1978年から1981年の間に中耳炎症例に対してFeldmann外耳道骨形成術を施行した. 乳突洞削開術のあと外耳道上後壁の骨切りを行い, 外耳道上後壁を一時的に摘出し, 明視下に鼓室狭部周辺の操作終了後に再び元の骨壁の位置に挿入する方法である. 術野が広く取れることから理想的な方法と考えられるが, 41例の経過観察の結果, 13例 (31.7%) が再手術を要し, 予想以上に多かった. 元が非真珠腫性慢性中耳炎でありながら, 術後に真珠腫が発見され再手術となった3例があり, 医原性の真珠腫と言わざるを得ない. 再挿入した骨壁に骨欠損や骨壊死が生じたことが原因と考察した. 現在種々の外耳道再建術が行われているが慎重な経過観察が必要であると考える.
  • 頭位と眼球運動の関係について
    鈴木 香代
    1996 年 99 巻 12 号 p. 1751-1757,1811
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    本研究は, 半規管の機能面と解剖学的位置の関係を明らかにすることを目的とした.
    健常者16名の頭位を, 前屈40度から後屈50度の間の角度に固定し, 振子様回転刺激を加え, この時の眼球運動をコンピュータ画像解析システムを用いて三次元的に解析した.
    水平成分は, 前屈20度で振幅が最大になり, 外側半規管は, 機能面と解剖学的位置がほぼ一致していることが分かった. しかし, この頭位では垂直半規管の影響は最小にならず, 垂直, 回旋の両成分は後屈10度で最小になった. これは, 外側半規管と垂直半規管が直交していないという解剖学的位置による結果と解釈できた. 後屈10度を境に眼球運動を発現させている責任半規管が入れ替わったと考えられた.
  • 石川 浩太郎, 玉川 雄也, 阿部 弘一, 喜多村 健, 奥野 正孝, 溝呂木 紀仁
    1996 年 99 巻 12 号 p. 1758-1763,1813
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 地域における耳鼻咽喉科疾患に対しての総合医の対応と現状を調査し, 総合医と耳鼻咽喉科医の役割と連携について考察することを目的としてアンケート調査を行った. 対象は自治医科大学卒業生が勤務する病床数100床以下の地域中核病院及び診療所の計326施設とした. 回答数は164施設で回答率は50.4%であった.
    その結果は月3-4名の耳鼻咽喉科疾患の症例が受診し, 多くの施設で耳鼻咽喉科診療経験の浅い総合医が簡単な機器を用いて診療しているという現状であった. この対策として総合医と専門医は互いの立場で協力しあい, 地域の耳鼻咽喉科診療についてのネットワーク作りが重要であるという結論を得た.
  • 純音聴力, 語音聴力および両耳聴検査結果との比較
    大塚 幸之
    1996 年 99 巻 12 号 p. 1764-1771,1813
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    老人性難聴58症例に対し, ABRの潜時を測定し, 同時に施行した純音聴力検査, 語音聴力検査および方向感検査の結果との関連を調べた. 対象として正常聴力者と内耳性難聴者のABR潜時との比較も行った. その結果, 純音聴力はABRのI波, III波, V波潜時およびI-III, I-V波間潜時との間に, 語音聴力はI波, III波およびV波潜時との間に, 方向感はI-III波間潜時との間のみにそれぞれ有意な相関を認めた. これらから, 老人性難聴のABRにおけるもっとも特徴的な所見はI-III波間潜時の延長であると考えた. 今回用いた3種類の聴覚検査の内, I-III波間潜時の延長を比較的よく反映したのは純音聴力検査と方向感検査であった.
  • 村上 信五, 羽藤 直人, 堀内 譲治, 宮本 佳人, 青野 央, 本多 伸光, 柳原 尚明
    1996 年 99 巻 12 号 p. 1772-1779,1813
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    Ramsay Hunt症候群における臨床症状は多岐, 多彩であり, その発現頻度, 順序も様々である. 今回, Hunt症候群325例の臨床像を検討し以下の結果を得た. 1) 発症に性差はなく, 20歳代と50歳代に多い. 2) 帯状疱疹, 顔面神経麻痺, 第8脳神経症状の3主徴がそろった典型例は57.6%であった. 3) 顔面神経麻痺が帯状疱疹に先行した症例は34.2%も存在し, 初診時におけるBell麻痺との鑑別が重要である. 4) 顔面神経麻痺の予後不良因子として, 高年齢, 帯状疱疹の遅発, 高度難聴の合併などが考えられた. 5) 難聴は48.2%に認められ, 軽度で高音障害型が多く, 45.5%が完治, 23.6%が改善した. 6) 舌咽―迷走神経麻痺合併例は8例 (2.5%) にみられ, 舌咽神経麻痺の予後は良好であったが迷走神経麻痺の予後は不良であった.
  • アレルギー性鼻炎
    竹中 洋
    1996 年 99 巻 12 号 p. 1780-1783
    発行日: 1996/12/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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