2011~2014年, 国内で VSB (Vibrant Soundbridge
® VSB; MedEl 社) 臨床治験が行われ, 伝音・混合性難聴25例に対して13施設で VSB の埋め込み手術が施行された. 現在, 保険適応を目指して PMDA(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency; 独立行政法人医薬品医療機器総合機構) への申請手続きが開始されていて, 早期の臨床導入が期待されている.
臨床治験23症例の手術前 (裸耳) と手術後20週 (VSB 装用下) での音場閾値の比較では, 250~8,000Hz のすべての周波数で統計学的に有意な改善が確認された (
p<0.001). 特に, 1,000~4,000Hz の中音域~高音域での音場閾値の改善が著明で, 変化量は各周波数で35~40dB に入った. 語音明瞭度検査, 語音了解閾値検査では, 手術前 (裸耳) と比較して手術後20週 (VSB 装用下) での語音聴取能は著明に改善し, 手術前後で統計学的に有意な差が確認された (
p<0.001). 静寂下のみならず, 雑音下での語音聴取能も VSB 装用下で統計学的に有意に改善を示した (
p<0.001). VSB の高い有効性が確認された一方で, VSB 自体に関連する有害事象の発症は手術後ほとんど観察されず, VSB の安全性についても, 欧米からの報告と同様, 十分に評価できる内容になった.
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