日本耳鼻咽喉科学会会報
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99 巻, 6 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 池間 陽子, 佃 守, 持松 いづみ, 河合 敏, 榎本 浩幸, 周 莉新, 吉田 豊一, 廣瀬 肇
    1996 年 99 巻 6 号 p. 859-868,967
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    横浜市立大学医学部耳鼻咽喉科において遊離腹直筋皮弁で再建した喉頭温存舌癌症例10例を対象として術後の構音機能を評価した. 全症例を舌の切除範囲により前方型と側方型の2群に分類した.
    問診による言語機能評価では, 前方型および側方型ともに評価はexcellentで大きな差はなかった. 単音節発語明瞭度は, 前方型で平均48%, 側方型で平均62%であり, 単語発語明瞭度は, 前方型で平均75%, 側方型で平均83%で側方型の方が単音, 単語発語明瞭度とも良好な結果を得た. 単音の異聴傾向として前方型では舌尖破裂音の摩擦化が見られ, 側方型では口蓋破裂音の破擦音化や弾音化が認められた.
  • 八木 昌人, 川端 五十鈴, 佐藤 恒正, 鳥山 稔, 山下 公一, 牧嶋 和見, 村井 和夫, 原田 勇彦, 岡本 牧人
    1996 年 99 巻 6 号 p. 869-874,967
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    厚生省の高齢者の聴力に関する研究班は65歳以上の高齢者の聴力を調査した. 測定7周波数の平均聴力レベルはA群 (65~69歳) で35.0dB, B群 (70~74歳) で42.1dB, C群 (75~79歳) で46. 1dB, D群 (80~84歳) で52. 1dB, E群 (85歳以上) で55.6dBであった. すべてのグループにおいて聴力の男女差はみられず, オージオグラムの型は大部分の例で高音漸傾型を示した. 平均語音弁別能はA群で75.4%, B群で70%, C群で63.8%, D群で59.7%, E群で52.1%, また, SISI検査で70%以上を示した率はA群で45.2%, B群で49.3%, C群で47.9%, D群で51.6%, E群で59.7%であった.
  • 千葉県下のアンケートによる調査
    山本 昌彦, 今野 昭義, 白幡 雄一, 武宮 三三, 内田 豊, 神田 敬, 杉田 麟也, 藤田 洋祐, 寺尾 彬, 山崎 可夫, 山根 ...
    1996 年 99 巻 6 号 p. 875-883,967
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    めまいの診療は耳鼻咽喉科医にとっても非常に面倒な診療の一つであると言われている. それは, めまい疾患についての敬遠や診療時間がかかりすぎるなどの原因によると伝えられてきた. しかしその実態についての報告はほとんどないのが実情である. そのため, 私どもは, 実地医家が日常どのようにめまい診療をされているのかの実情について知るため, 1993年10月に千葉県下の日本耳鼻咽喉科学会千葉県地方部会会員の公的病院を除いた医師について, めまい診療の調査を行った. 調査は, 郵送によるアンケート形式にて行われた. その結果, めまい診療には確かに時間をかけて診療されているが, その中でも多くの工夫をしながら, 患者にとって最善の方法を駆使して対応しようとしている開業医の実態が分かった.
  • 河野 淳, 博久 詠司, 舩坂 宗太郎
    1996 年 99 巻 6 号 p. 884-894,967
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    今論文では, 聾仔猫の蝸牛神経核細胞の成熟が, 慢性電気刺激によりいかなる影響を受けるか調べた. 対象は生後10日目聾の仔猫4匹で, 電極挿入後1000時間以上慢性電気刺激を行い, 実験終了時2-deoxyglucose (以下2DG) を静注45分刺激後, 蝸牛神経核の連続切片を作製し, 蝸牛神経核細胞体の面積を測定した. その結果刺激側の2DGの取り込みが見られた部位の神経細胞体面積は2DGの取り込みが見られない部位に比べ, 前腹側核, 後腹側核, 背側核のいずれにおいても大きく, 多くに有意差が認められた. つまり蝸牛内の慢性電気刺激により, 蝸牛神経核内の特定の部位が機能的活動性が増し, その部位に限っては慢性電気刺激が成熟期の神経細胞の成熟に関与していることが示唆された.
  • 志賀 伸之
    1996 年 99 巻 6 号 p. 895-909,969
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    Gerbilの半規管膨大部のdark cellをin vitroで灌流し, 外液の浸透圧変化に対する細胞の体積変化とイオン輸送の関連を調べた.
    外液の浸透圧を半分にしてもdark cellでは10%未満の体積増加が観察されるのみであり, 強力な体積調節機構が存在している.
    外液のイオン組成を様々に変えて低浸透圧負荷を与えた検討により, 低張液に曝されたdark cellは, K+およびClを細胞外に放出することで体積増加を回避していることが分かった. また, イオン選択性の実験や様々なイオン輸送組害剤を用いた実験により, この機構は, 独立したK+ channelとCl- channelが同時に働いているものであることが推定された.
  • 小海 弘美, 大橋 正實, 菊地 秀樹, 飯田 和典, 石川 和郎, 小橋 眞美子, 滝沢 昌彦, 大谷 文雄, 寺山 吉彦
    1996 年 99 巻 6 号 p. 910-917,969
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    骨Paget病は, 異常な破骨細胞により骨代謝亢進をきたす原因不明の骨疾患である. 欧米では高い頻度でみられるが, 本邦では非常にまれである. 両側骨迷路に骨吸収所見を認め, 両側進行性感音難聴と右前庭障害を伴う50歳女性の骨Paget病の症例について3 Dimentional CT (3D-CT: 3次元CT) および病理組織学的に検討したので報告した. 骨Paget病では体幹骨や頭蓋骨が障害されやすい. 錐体骨での骨Paget病の骨変化は骨髄の豊富な所から始まり, 錐体骨全体に病変が広がるまで骨迷路は障害されにくいといわれている. 本症例は通常の骨Paget病と異なり骨迷路主体の病変が両側にあり, むしろ迷路性耳硬化症に似ていた. 3D-CTが鑑別診断に有用であった.
  • 永田 基樹, 熊澤 博文, 岩井 大, 百渓 明代, 白石 修悟, 山下 敏夫
    1996 年 99 巻 6 号 p. 918-925,969
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    耳下腺部悪性リンパ腫11例の臨床的および病理学的特徴について検討した. 年齢は25歳から80歳で平均値は56.0歳. 初発症状は耳下腺部腫瘤で, 1例のみ有痛性で他は無痛性であり, 全例顔面神経麻痺は認めなかった. 病期分類においては, I期が5例, II期が5例, III期が1例であった. 11例のうち3例はMALT型リンパ腫と診断され, 病期は3例ともI期であった. 観察期間は6カ月から109カ月で, 5年生存率は60%であった. 予後は他の報告と同様に良好な成績であった.
  • Planimeter法, 矩形面積法との比較
    伊東 明彦, 東 博二, 磯野 道夫, 村田 清高, 田中 久哉, 川本 亮
    1996 年 99 巻 6 号 p. 926-933,969
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    我々は側頭骨高空間分解能CTをコンピューターに取り込み含気蜂巣の容量を測定する方法を開発し, その結果 (以下, CT側頭骨含気容量) と以下の3方法による含気部面積値と比較検討した. 対象は正常34例57耳である. CT側頭骨含気容量とPlanimeter法, 矩形面積法の測定値の比較では相関係数は0.89, 0.88であり, CT断面含気腔面積値との比較では外側半規管付近で0.9前後あるいはそれ以上であった. また含気蜂巣の立体化構築像を作製したところ, 相関がみられなかった症例で錐体尖方向の含気蜂巣の発育が重要な鍵を握っていることが分かった. 以上のことから含気蜂巣について詳細に検討する際には3次元的検討の必要性が示唆された.
  • 嶋崎 孝嗣, 吉田 義一, 平野 実
    1996 年 99 巻 6 号 p. 934-943,971
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ヒト及びイヌ, ラピット, モルモット, ラットの喉頭内に存在する神経節及び神経節細胞の分布形態を, 連続切片を作製して観察し, ネコの成績と合わせて検討した. 神経節の分布は6種間でほぼ一致し, 上喉頭神経内枝の分枝内, 後筋の背外側, 下喉頭神経の近傍で観察された. 神経節細胞の総数はヒトで2000-2400, イヌで300-450, ネコで600-800, ラビット, モルモットで100-150, ラットで250-320であった. ラット以外の種では声門上に約80%が, ラットでは声門下に約60%が分布し, この結果は喉頭腺の分布と相関していた. また神経節の形態も6種間でほぼ一致し, 我々がこれまで検索してきたネコの神経節と同様な性質を有することが推察された.
  • 太田 豊
    1996 年 99 巻 6 号 p. 944-953,971
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    聴力正常なボランティアを対象に蝸電図検査を行い, 私たちの施設におけるAP, adapted AP, CMの標準検査値を求めることを目的とした. 今回の検討の結果, 1kHzにおける聴力閾値とCMの検出閾値が最も高い相関関係を示した. また, この聴力正常者を30歳未満 (平均年齢19.7歳) と30歳以上 (平均年齢41.1歳) の2群に分け, AP, adapted AP, CMの加齢変化について比較検討したところ, 2および4kHzの高音圧におけるCM反応電位のみに2群間に有意差が認められた. これは蓋膜, 基底板, 有毛細胞の加齢変化が複雑に影響した結果であると推察した.
  • 滲出性中耳炎 (CT. MRI, 耳管機能検査, ティンパノグラム)
    本庄 巖
    1996 年 99 巻 6 号 p. 954-957
    発行日: 1996/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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