患者が実際に自覚しためまいの強さとその苦痛度をvlsual analogue scale(VAS)を用いて数値化することで客観化するとともに,どのような要因がそれらに関与するのかを調べるため,受診のきっかけとなるめまいの問診事項,検査成績,心理状態などを選び重回帰分析を用いて検討した.
平成12年6月から平成13年5月までの1年間に日生病院耳鼻咽喉科を受診しためまい患者197例(男性74例,女性123例,平均年齢52.5歳)を対象として,VASを用いてめまいの強さ,苦痛度の数値化を行った.さらに数値化しためまいの強さや苦痛度を目的変数とし,説明変数として年齢,性別,初診までの日数,めまいの起こり方,めまいの性状,持続時間,既往の有無,反復の有無,随伴症状,平衡機能検査,CMI (Cornell Medical Index), SDS (Self-rating depression scale)を選びステップワイズ重回婦分析を行った.
めまいの強さに影響を与える要因として嘔気/嘔吐の随伴,既往の有無,持続時間が選択された.めまいの苦痛度に影響を与える要因としてめまいの強さ,SDS値,性別が選択された.
めまいの苦痛度を軽減させるためにはめまいの発作の持続および嘔気 嘔吐などの自律神経症状を抑制すること,初発発作のめまいについては特に患者の訴えを傾聴したり,病状や予後についての説明をできる限り十分に行うこと,うつ傾向など心理面に配慮し必要に応じて心理療法を適切に行うこと,これらを特に女性に対して念入りに行うことが大切であると考えられる.
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