日本耳鼻咽喉科学会会報
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108 巻, 6 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 岩井 大, 山下 敏夫
    2005 年 108 巻 6 号 p. 679-683
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    耳下腺ワルチン腫瘍の手術方針を, 当科の最近10年間の60症例の経験を基に検討した. 手術法として, 浅葉腫瘍には部分切除術が, 深葉腫瘍には核出術がなされた. 浅葉腫瘍でも顔面神経との接着面では, 被膜面での剥離がなされた. 術前自潰例や術中被膜損傷例を含めて再発は認められなかったことから, 腫瘍切除法として, 顔面神経の同定は必要であるものの, 部分切除術と同時に核出術も選択されうると考えた. ただし, ワルチン腫瘍の多発傾向の点で, 術前MRIによる十分な腫瘍の存在診断が必要と考えた. 術後顔面神経麻痺発生率は多発腫瘍例や深葉腫瘍例で高く, 層の愛護的な顔面神経処理操作が必要と考えた. また, 両側にこうした腫瘍がある場合は, さらに慎重を期す必要があり, 一側ずつの手術も考慮に入れる必要があると考えた.
  • 田口 大藏, 硲田 猛真, 竹内 英二, 長谷川 賢作, 片岡 英幸, 竹内 裕美, 北野 博也
    2005 年 108 巻 6 号 p. 684-688
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ヘリカルCTの導入により従来のコンベンショナルCTでは発見されなかった胸部の微小な陰影が見つかるようになり, 頭頸部悪性腫瘍の領域でも治療方針を決定する上で問題となっている. そこで今回われわれは, ヘリカルCTで発見された頭頸部悪性腫瘍における肺微小陰影の取り扱いについて検討した. 2003年1月より2004年3月までの間に頭頸部悪性腫瘍にて当科に入院し加療を行ったかあるいは外来にて放射線治療を行った108例を対象とした. 加療中に胸部ヘリカルCT撮影を行ったのは92例 (85%) であった. そのうち肺微小陰影が認められたのは14例 (15%), 明らかな肺転移が認められたのは18例 (20%), 肺所見が正常だったのは60例 (65%) であった. 肺微小陰影が認められた14例中, 微小陰影の増大を認めた例が5例あり, その後の経過観察でそれらはすべて肺転移であることが判明した. その結果, ヘリカルCTで肺微小陰影が見つかった場合, その陰影が悪性である確率は少なくとも36%以上あると考えられるので, 頭頸部悪性腫瘍患者においてヘリカルCTで肺微小陰影が発見された場合は十分注意して経過観察を行う必要があると考える.
  • 遠藤 壮平, 鈴木 伸, 辻 賢三, 丹羽 秀夫, 野口 雄五, 吉田 憲司, 木田 亮紀, 田中 良明, 氷見 和久, 竹本 明子
    2005 年 108 巻 6 号 p. 689-693
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1996年から2002年の間に舌癌20例に対して施行された超選択的動注併用照射療法について検討した. stageはstage IIが10例, stage IIIが4例, stage IV Aが6例であった. 動注PF療法併用照射療法 (n=14) での局所制御率はT2で50%, T3で67%, T4で0%であった. 動注TPF変法併用照射療法 (n=6) では全例局所が制御された. 全体での5年死因特異的生存率, 粗生存率は, おのおの75%, 69%であった. 副作用は, 7割でgrade 3の放射性粘膜炎を来し, 毎週動注された1例でgrade 3の骨髄抑制を来した以外は, 比較的軽度で制御可能であった.
  • 早坂 修, 宮島 宏美, 佐藤 克郎, 関 聡, 高橋 姿
    2005 年 108 巻 6 号 p. 694-697
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    顎下腺主管が皮膚に開口して生じた非常にまれで, 国内外いずれにても報告がない先天性頸部瘻孔症例を経験した. 症例は14歳男性, 生下時よりの前頸部皮膚瘻孔と摂食時の水様性分泌を主訴に受診した. MRI・瘻孔造影で舌骨上の嚢胞とそれが顎下腺方向へ広がる所見がみられた. 非典型的ではあるが正中頸瘻孔を最も疑い摘出術を施行し, 顎下腺・嚢胞・瘻孔を一塊に摘出した. 病理組織所見は瘻管の顎下腺側は多列円柱上皮, 皮膚側は皮膚の附属器を伴う重層扁平上皮であり, 表皮開口部付近にも大小の唾液腺腺房組織がみられた. 以上より瘻孔は顎下腺主管が前頸部皮膚に開口したもので. 嚢胞は唾液の貯留嚢胞であったと考えられ, 極めて特異な発生で生じたと考えられた.
  • 嚢胞性頸部転移癌における扁桃精査の重要性
    木村 百合香, 矢野 一彦, 神山 亮介, 岸本 誠司
    2005 年 108 巻 6 号 p. 698-701
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    当初鰓原性嚢胞の診断を得た, 舌根原発扁平上皮癌の1症例を経験したので報告した. 病理組織所見上, 鰓原性嚢胞とした場合, 上皮の乳頭状増殖が強いため悪性化が疑われた. そこで, 舌扁桃, 口蓋扁桃のblind biopsyを行い, 舌扁桃に原発性扁平上皮癌を認めた. 原発不明嚢胞性頸部扁平上皮癌において, 明らかな鰓性組織の遺残を示す所見がない場合には, 口蓋扁桃, 舌扁桃の陰窩上皮より生じた扁平上皮癌の可能性を念頭に置き, 入念な生検を行うことが重要であると考えられた.
  • 喉頭・下咽頭の生検・小手術
    児嶋 久剛
    2005 年 108 巻 6 号 p. 702-705
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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