医療を行う上で医療従事者に過失がある医療過誤は防げても, 医療事故を避けては通れない. 医療行為の内容とその頻度, 例えば手術治療とその頻度によっては, 医療事故の確率は高まる.
診療所における耳鼻咽喉科手術のリスク管理, すなわち医療事故を最小限にするためには, 以下の取り組みが大切である.
1. 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学を常に継続して研鑽する耳鼻咽喉科専門医としての姿勢.
2. 医療従事者 (スタッフ) の研鑽.
3. 周術期の呼吸循環器動態の管理など, 緊急時に対応する基本的なトレーニング.
4. 医療施設・医療器械などの管理システム.
5. 手術治療に対する患者へのインフォームド・コンセント.
6. 良好なコミュニケーションによる患者と医師の人間関係・信頼関係の構築.
7. 患者が医師と診療所を信頼し, 医療従事者 (スタッフ) も安心して医療を提供できるシステムの構築.
8. 基幹病院の耳鼻咽喉科・頭頸部外科, あるいは関連した他診療科の信頼できる医師との連携.
「起こる可能性があることは, 可能性が低くても必ず起こる」, このことは医療過誤を含む医療事故に関しても当てはまる. 手術に伴う医療事故を最小限にするためのリスク管理は, 診療所においても大切である.
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