日本耳鼻咽喉科学会会報
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96 巻, 8 号
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  • 浅井 真紀
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1227-1234,1387
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    顔面神経は茎乳突孔より中枢側で神経束の形成が始まり, 側頭骨外に出ると頸枝分岐部までの間で神経束は複雑に分岐・吻合を繰り返し, 下口唇枝分岐部より末梢ではほぼ一定の方向に走行する. この神経束構造が神経線維の局在と関係があるかどうかを選択的神経束切断による末梢分枝内のWaller変性の観察により検討した. 頸枝分岐部より中枢で切断した場合には11例中6例で局在が認められ, 残り5例では複数の末梢分枝に変性線維が認められ, 非局在であった. したがって, このレベルでは十分な局在は完成していないと考えられた. 一方, 下口唇枝分岐部より末梢で切断した場合には全例1つの末梢分枝のみに変性線維が認められ, 局在性があった.
  • 起源と細胞分化に関する考察
    村上 匡孝, 牧野 市郎, 任 書熹, 西山 康之, 斎藤 裕子, 村上 泰
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1235-1245,1387
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    腫瘍細胞が発生母細胞の性格を引き継ぎ細胞分化と関連するサイトケラチン (CK) を中心とした免疫組織学的検討から, 耳下腺多形腺腫の起源や細胞分化を考察した. 扁平上皮化生部にのみCK-1が発現したが, 充実部には多形腺腫の中で最も多くのCKサブクラスが発現し, 他の部位に発現するCKはすべてそれらの一部分であることから充実部から他部位への分化が示唆された. 正常耳下腺に発現するすべてのCKサブクラスが発現するサテライト細胞と多形腺腫充実部のCK発現パターンが同様であることから, reserve cellをサテライト細胞と置き換えることによって, bi-cellular theoryによって起源や分化を説明することが可能と考える.
  • 暁 清文, 平田 義成, 有友 宏
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1246-1251,1387
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    圧電セラミック素子を利用した内耳インピーダンス測定装置を試作し, これを3匹の成犬から採取した6個の側頭骨に応用し, 内耳インピーダンス値を測定した. その結果, これら側頭骨における内耳インピーダンスの平均値は2kHzで2.3Mohm, 4kHzで6.3Mohm, 6kHzで17.8Mohmであった. さらにデンタルセメントを用いて蝸牛窓を閉鎖し, 内耳インピーダンスへの影響を検討した. その結果, 3耳ではインピーダンス値は主に4kHz以下の帯域で増加したが, 他の3耳ではあまり変化がみられなかった. これは前者では蝸牛窓の閉鎖が完全であったが, 後者では不完全であったためと考えられた.
  • ランゲルハンス細胞について
    吉見 龍一郎, 高村 博光, 高崎 賢治, 隈上 秀伯
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1252-1257_1,138
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    口腔粘膜, 鼻粘膜, 鼻茸組織におけるランゲルハンス細胞の局在について, ランゲルハンス細胞に対するモノクロナール抗体CD1を用い免疫組織学的に検討した. 重層扁平上皮で被われた口腔粘膜, 鼻前庭部や扁平上皮化生した鼻茸の粘膜上皮には樹枝状のCD1陽性細胞が認められたのに対し, 線毛上皮で被われた鼻下甲介粘膜や鼻茸組織にはCD1陽性細胞は認められなかった. 以上からランゲルハンス細胞の存在は部位によって決まるのではなく, 上皮の組織型つまり扁平上皮との関係が重要であることがわかった. 扁平上皮を構成するケラチノサイトからのサイトカインがランゲルハンス細胞の発現とかかわっていると考察した.
  • 緒方 洋一, 関谷 透, 遠藤 史郎, 原 浩貴, 田原 哲也, 池田 卓生
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1258-1263,1389
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    鶏平衡斑より前庭有毛細胞を単離した上で, K+を負荷し, その形態変化を観察し, 以下の結果を得た. 1) I型細胞 (6細胞中4細胞) では蓋板下部から頸にかけて短縮, 傾斜が認められた. 蓋板の狭小化も認められたが, 軽微であった. 短縮, 傾斜の方向に一定の傾向は認められなかった. 2) II型細胞 (5細胞中3細胞) では蓋板および蓋板下部の幅が狭小化した. 3) I型, II型細胞とも主に蓋板及び蓋板下部に形態変化を認め, 可逆性であった. さらに, 非単離状態にある感覚毛の動的変化についての文献的考察を加え, 前庭有毛細胞の運動性とは, 蓋板の収縮が感覚毛のstiffnessを上げ, その動きを制限しようとするものであろうと推知した.
  • 特に腎病理組織と扁摘の時期の検討
    小市 健一, 山地 誠一, 木村 孝, 吉澤 朝弘, 辻榮 仁志
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1264-1269,1389
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    扁摘を施行し1年以上経過観察を行ったIgA腎症31例に対し術前の腎の病理組織をその重症度により3群に分類し尿所見, 血清Cr値, IgA値, ASLO値の推移とともに扁摘の効果について検討をした. 扁摘による尿所見の改善率は77%であり, 腎機能を含めた総合判定での有効率は71%であった. 扁摘有効群には腎機能正常例が多く, 血清Cr値において無効群との間に有意差を認めた. 腎の病理組織学的分類ではI, II群の有効率が96%で病変が高度なIII群に有効例はなかった. 扁摘の時期は腎機能が正常で腎の組織学的にIII群に至る以前の早期に行うことが望ましいと思われた.
  • 一点固視と正弦波追跡と二点交互視
    後藤 昭信
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1270-1278,1389
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    smooth pursuitとsaccadeが身体動揺に及ぼす影響の違いを明らかにし, さらに高齢者の身体動揺の特徴を知るために若年者の結果と比較, 検討した. 視標追跡の条件として0.1Hzの速度の遅い正弦波追跡によりsmooth pursuitを, 同速度の二点交互視によりsaccadeを誘発した. 重心と頭部の動揺の両面から, 眼球運動負荷時の身体動揺を一点固視時の身体動揺と比べ, 以下の結果を得た. 1) 高齢者も対照群と同じような眼球運動からの影響があることが明らかになった. 2) 高齢者は対照群に比べ相対的に頭部の動揺が大きいことがわかった. 3) 高齢者では重心動揺の前後方向に加齢変化を認めた.
  • 第1報 覚醒時反応の検討
    梅垣 油里
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1279-1287,1389
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    正弦波的振幅変調音 (SAM音) により誘発されるauditory steady state response (聴性定常反応SSR) が, 他覚的聴力検査法として有用か否かを明らかにする目的で検討を行っている. 今回は本反応の覚醒時の基本的性状を明らかにする目的で実験を行った.
    搬送周波数500Hzにて, 変調周波数, 変調深度を変化させた場合の反応振幅を比較検討した. またDiamond法を用いて本反応の平均反応潜時を求めた. 搬送周波数500, 1000, 2000, 4000Hzにて刺激音強度を変化させた場合の反応振幅の変化を比較するとともに, visual inspectionにより, 本反応の反応閾値を搬送周波数別に検討した.
  • ANCA陽性9症例の検討
    間口 四郎, 滝沢 昌彦, 劉 沢周, 折館 伸彦, 福田 諭, 犬山 征夫
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1288-1296,1391
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    WGの予後はcyclophosphamideとステロイドの治療により改善されつつあるが, その早期診断はしばしば困難である. ANCAはすでにWGに対して高い感度と特異性があることが報告されている. 我々はこの抗体価を間接蛍光抗体法によって測定し, すでにANCA陽性の9名の患者を経験している. この9名のうち6名は全身性の症状を引き起こす前の限局型のWG患者であり, また3名しか生検標本よりWGの病理学的確定診断が得られなかった. ANCAの測定により, 臨床所見と生検標本のみでは確定診断が難しい患者のWGの診断も容易になると考えられた. WGを疑う患者に遭遇した場合, ANCA測定は必須の検査と考えられた.
  • 津田 哲也
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1297-1302_1,139
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ストレプトゾトシン投与により人工的に惹起された糖尿病ラットの気管粘膜を形態学的に観察し, 興味深い所見を得たので報告する.
    気管腺腺細胞を透過型電子顕微鏡にて観察したところ, 糖尿病ラットの漿液細胞において, 低電子密度の基質内に高電子密度の不規則な形状の凝集物を含む顆粒が認められた. 低電子密度の基質は粘液細胞の分泌顆粒に類似しており, 顆粒内の糖の増加を示唆するものと考えられる. このような気管腺漿液細胞の粘液化を示す変化は, 粘液線毛クリアランスの変化や, 感染防御物質の産生にも影響を与えると考えられ, 糖尿病における呼吸器疾患の発症および増悪の原因の一つになることが推測された.
  • 野中 玲子
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1303-1310,1391
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    頸部入力の身体平衡維持に対する関与とその年齢変化について検討した. 6歳から73歳までの健常者計83人を5つの年齢群に分け, 頸部振動刺激時により身体動揺に生じる変化を各年齢群間で比較した. 変化の大きさは15-44歳が最も小さく, これらの年齢に比べて, 14歳以下では重心の前方への偏位量において, 60歳以上では単位軌跡長, 動揺前後径, 重心の前方への偏位において刺激による増大が有意に大きかった. また, 加齢とともに前後方向の身体の揺れに関係したパラメータでの変化が顕著になった. 平衡維持への頸部入力の関与は, 他の入力との相互関係の年齢変化に関連して, 量的にも質的にも変化するものと考えられた.
  • 免疫電顕による研究
    田中 康政, 吉田 義一, 平野 実, 久野 節二, 大黒 成夫
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1311-1319,1391
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ネコ喉頭腺に分布するvasoactive intestinal polypeptide (VIP), neuropeptide Y (NPY), tyrosine hydroxylase (TH) 陽性線維について電顕免疫組織化学法を用いて検討した. その結果, VIP陽性線維とNPY, TH陽性線維では喉頭腺への分布様式が異なることが分かった.
    VIP陽性線維は, 筋上皮細胞, 腺細胞基底膜に接して終止し, 基底膜を貫く線維も認められた. NPY, TH陽性線維は, 筋上皮細胞, 腺細胞基底膜に近接して終止し, 基底膜は貫かなかった. 分泌調節に交感神経も直接的に関与していることが示唆されたが, VIP陽性線維が最も多いことから, 副交感神経が中心を成すものと考えられた.
  • 顔面神経の血管透過性からみた造影効果発現機序の実験的検討
    柳田 昌宏
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1320-1328,1393
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ラット及び家兎を用いた顔面神経麻痺モデルを作成し, 正常及び障害顔面神経の血管透過性をEvans blue albuminをトレーサーとして検討した. そして, 家兎の麻痺モデルに対しGd-DTPAを静注し正常及び障害顔面神経のGd含有量を測定した. 正常顔面神経の神経内膜は極めて低い血管透過性を示したが, 神経上膜及び膝神経節は高い血管透過性を示した. 一方, 障害神経では神経内膜でも血管透過性の亢進を示し, それは障害部位の末梢側で強かった. 障害側の顔面神経は正常に比べ有意に高いGd含有量を示した. 以上の結果より, 顔面神経麻痺患者のMRIにおける造影効果は血管透過性が亢進し血管からGd-DTPAが漏出することによると考えられた.
  • 顔面神経麻痺患者の造影効果部位の検討
    柳田 昌宏
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1329-1339,1393
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    顔面神経麻痺患者に造影MRIを施行し造影効果部位について検討した. Bell麻痺やHunt症候群の多くの症例で内耳道部から垂直部まで広範に造影効果を認め, 一部の症例で経過をおって撮像すると末梢側で造影効果の増強が認められた. Hunt症候群のうち内耳症状を伴った一部の症例では造影効果は内耳道部の広範な部位に認められ前庭神経や蝸牛神経にも認められた. 両疾患の病変は内耳道部から垂直部まで広範に起こっていることが考えられた. そして, 内耳症状を伴うHunt症候群のうち一部の症例では内耳道部で内耳神経に炎症が波及していることが推察された.
  • 1993 年 96 巻 8 号 p. 1340-1348
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 96 巻 8 号 p. 1348-1360
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 96 巻 8 号 p. 1360-1373
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 先天性頸瘻・頸嚢胞
    清田 隆二, 古田 茂
    1993 年 96 巻 8 号 p. 1374-1377
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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