日本消化器内視鏡学会雑誌
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40 巻, 9 号
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  • 川野 淳
    1998 年 40 巻 9 号 p. 1243-1247
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     機能内視鏡の開発は古くから努力がなされ,すでにその一部は臨床に広く応用されている.本稿ではわれわれが行ってきた消化管血行動態解析とその可視化について述べた.臓器反射スペクトル解析法による内視鏡下粘膜血行動態を解析し,その成績をコンピュータを用いてカラー画像表示することにより点(一次元)から面(二次元)情報を得ることが出来,血流機能の画像化を可能にした.さらに電子内視鏡に臓器反射スペクトル解析の原理を応用し非接触でリアルタイムに血流画像を得るシステムを完成した.また光源に近赤外光を利用することにより粘膜下血行動態の可視化を行い粘膜・粘膜下血行動態同時解析システムを紹介した.これらの一連の方法は消化管血行動態解析というneedsに従ってseedsを求めてなされたものであり,内視鏡を用いたその他の消化器機能の解析(機能内視鏡の開発)が期待される.
  • 渡辺 千之, 隅岡 正昭, 永田 信二, 佐藤 理, 宮本 真樹, 山田 博康, 平田 研, 今川 勝
    1998 年 40 巻 9 号 p. 1248-1258
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     上部消化管内視鏡検査時の循環動態の変動を知る目的で,リアルタイムに血圧,脈拍数,動脈血酸素飽和度を測定できるBP-508type Sを用いて,210例の検査中の循環動態変化を検討した.測定は観察の順に,検査前,食道入口部,食道胃接合部,幽門輪通過時,十二指腸下行脚挿入時,穹窿部反転観察時,体部見おろし観察時,検査終了時の各部位で行った.測定値と,その測定値と検査前値との差を検査前値で除した変化率は血圧では幽門輪通過時で,脈拍数は食道胃接合部で最高となり,以後漸減した.動脈血酸素飽和度は全経過で大きな変動はなかった.検査中の嘔吐反射と苦痛の程度で分けた場合,血圧は嘔吐反射が強いほど,脈拍数は苦痛度,嘔吐反射が強いほど変化率が高かった.検査前値が高血圧群あるいは頻脈群と正常群で分けた場合,いずれも正常群の方が変化率が高く,検査前値が正常であっても注意深いスコープ操作と循環動態モニターが重要と思われた.
  • 永田 信二, 隅岡 正昭, 石丸 正平, 佐藤 理, 宮本 真樹, 渡辺 千之, 山田 博康, 平田 研, 今川 勝, 春間 賢, 梶山 梧 ...
    1998 年 40 巻 9 号 p. 1259-1266
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年,潰瘍性大腸炎において主病変と離れて虫垂開口部に非連続性病変が見られたとする報告が散見され,病型分類の再考の必要性が指摘されている.われわれも内視鏡的に虫垂開口部に非連続性病変の見られた潰瘍性大腸炎について検討した.内視鏡的に虫垂開口部に非連続性病変の見られた潰瘍性大腸炎(全大腸炎型,区域性大腸炎型を除く)は33例中9例(27%)で,男性,左側大腸炎型に多く,Mattsの内視鏡分類では重症であるほど多く見られる傾向にあった.虫垂開口部病変は主病変と同時に内視鏡的,病理組織学的に正常部を介して発生したと考えられ,主病変の軽快とともに虫垂開口部の病変も軽快した.今後は内視鏡的に正常粘膜が見られた場合でも積極的に全大腸内視鏡検査(Total colonoscopy)を施行することが重要と考えられた.
  • 中川 浩, 高野 健市, 磯部 和男, 丹羽 克司, 石川 英樹, 志津 裕子
    1998 年 40 巻 9 号 p. 1267-1271
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     総胆管結石に対して内視鏡的乳頭バルーン拡張術 (以下,EPD) を行った.方法は,EPD単独 (加圧:8気圧2分×2回) で治療を行った25例を1群,硝酸イソソルビド併用下EPD (加圧:2気圧30秒,4気圧30秒,6気圧2分) を行った38例を2群とした.副乳頭機能良好例では血清アミラーゼ値は正常例が多く,副乳頭非機能例では血清アミラーゼ値上昇例が多く,血清アミラーゼ値と副乳頭機能は相関した.急性膵炎は1群で2例,2群では1例も認めなかった.急性膵炎例は,2例とも副乳頭非機能例であった.副乳頭機能はEPD後の急性膵炎の予知に役立つ可能性がある.
  • 小沢 俊文, 奥山 裕子, 奥村 浩二, 土屋 豊一, 丹治 伸夫, 安斎 幸夫
    1998 年 40 巻 9 号 p. 1272-1277
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は18歳の男性.平成7年11月初旬より胸骨後痛出現.その後吐血し当院に入院.食道内視鏡では切歯縁より35cmの後壁から左壁にかけて,境界明瞭な浅い潰瘍を3つ認めた.潰瘍は横軸方向に配列し陥凹底は薄い白苔に覆われていた.前壁の潰瘍底から湧出性に出血していたため,クリップにて止血した.平成8年1月には,潰瘍瘢痕を残し治癒した.口腔内アフタ以外に異常所見がなくアフタ性食道炎(潰瘍)と診断した.
  • 冨永 幸治, 一柳 明弘, 竹田 武彦, 井原 元, 石川 英明, 山川 眞, 佐野 馨
    1998 年 40 巻 9 号 p. 1278-1282
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は,66歳.男性.主訴はタール便および吐血.緊急内視鏡検査の結果,食道Dieulafoy様潰瘍からの出血と診断.EVLを用いて内視鏡的結紮止血法を施行.その結果,一回の結紮にて永久止血効果が得られ,合併症も現在まで認められていない.本止血法は,線維化の少ない直径数ミリのDieulafoy潰瘍のような出血巣に対し,確実な止血効果があると考えられた.
  • 森山 友章, 星加 和徳, 井上 滋夫, 天野 角哉, 榮本 忠俊, 吉田 謙治, 水野 充, 黒木 文敏, 松本 主之, 藤村 宜憲, 飯 ...
    1998 年 40 巻 9 号 p. 1283-1288
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は62歳の女性.膠原病の治療中に下腿潰瘍が併発したため入院した.貧血進行時の胃内視鏡検査では,胃前庭部に全周性の開放性潰瘍が認められた.その後,潰瘍の修復に伴う瘢痕性収縮により高度の狭窄が生じた.手術のリスクが高いと予想されたため,バルーン拡張術による治療を開始したところ,良好な結果が得られ,食餌摂取可能になった.本法は,簡便で有効率が高く,繰り返し施行できることから,基礎疾患を有する患者や高齢者の良性狭窄に対しては第一選択の治療法になると思われた.また本症例では,prednisoloneで加療中に非ステロイド系抗炎症薬が投与されたことが誘因になり,全周性潰瘍が発生したものと推測された.
  • 秋山 昌希, 葛西 雅治, 須藤 智行, 太田 昌徳, 中嶋 均, 西田 淳, 棟方 昭博
    1998 年 40 巻 9 号 p. 1289-1294
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は54歳男性.胃集検精査希望にて当科を受診し上部消化管内視鏡検査にて胃体下部大彎側に長径10mm大の有茎性ポリープを認め,生検で過形成性ポリープと診断された.1年後,経過観察の目的で上部消化管内視鏡検査を施行したところ同部位に12mm大の類円形扁平隆起性病変を認め生検にて高分化型腺癌と診断された(IIa型早期胃癌).深達度mと判断し内視鏡的粘膜切除術を施行した.切除病変は病理組織学的に大部分が癌巣で占められていたが,部分的に過形成性ポリープの特徴所見を有していた.1)病変の部位が一致すること,2)他の部位に隆起性病変を認めないこと,および3)癌巣に接して部分的に過形成性ポリープの組織所見がみられることより,有茎過形成性ポリープから派生したIIa型早期胃癌と考えられた.
  • 浅田 康行, 笠原 善郎, 平山 一久, 呉 哲彦, 土田 敬, 齊藤 英夫, 宗本 義則, 藤沢 克憲, 三井 毅, 飯田 善郎, 三浦 ...
    1998 年 40 巻 9 号 p. 1295-1300
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は58歳男性.当院ドックの胃X線検査で異常を認めた.内視鏡検査にて幽門前庭部の不整潰瘍と十二指腸球部に顆粒状の変化を認め,進行胃癌の診断で手術を行った.肉眼的には同部位にIIa+IIc様病変を認め,これに連続して十二指腸球部粘膜表層の広範囲に及ぶ顆粒状の変化を認めた.組織学的には乳頭腺癌が優勢で,ssに及ぶ高度のリンパ管侵襲を認めた.十二指腸粘膜の変化もリンパ管侵襲によるもので興味ある症例であった.
  • 小沢 俊文, 奥山 裕子, 奥村 浩二, 土屋 豊一, 丹治 伸夫, 安斎 幸夫, 遠藤 剛, 海上 雅光
    1998 年 40 巻 9 号 p. 1301-1306
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は57歳,男性.X線ではS状結腸に太い茎を有するIp型ポリープを認めた.内視鏡では頭部は亀頭状で,緊満感と白苔の付着を認め,全体にペニス様形態を呈していた.内視鏡的に切除し,病理学的には低分化型腺癌がsm2まで浸潤し,脈管侵襲陽性であった.腸管切除を追加したが癌の遺残やリンパ節転移は見られなかった.ペニス様形態を呈したポリープの組織発生や治療方針について若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 武田 一弥, 篠原 靖, 武井 和夫, 糸井 隆夫, 中村 和人, 真田 淳, 堀部 俊哉, 福田 定男, 吉益 均, 斎藤 利彦
    1998 年 40 巻 9 号 p. 1307-1313
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は61歳,男性.多発性嚢胞腎による慢性腎不全で当院腎臓内科通院中,腹部USで多発性肝腫瘍を疑われ当科に入院した.ERCで,肝内胆管は嚢腫状に拡張し,内部に透亮像を認め,腫瘍性病変を否定し得ずPTCDおよび経皮経肝胆道鏡(PTCS)を施行した. PTCSでは,拡張した胆管内に多数の索状構造物を認め,胆管内腔には暗緑色の毬藻様物質を多量を認め,また胆管壁には多彩な内視鏡像を呈する嚢胞性病変を認めた.肝生検像と併せ,肝線維症を伴ったCaroli病と診断した.
  • 宮田 佳典, 小山 恒男, 山田 繁, 中村 陽子, 岡庭 信司, 高松 正人, 都甲 昭彦, 大井 悦弥, 加藤 剛, 夏川 周介
    1998 年 40 巻 9 号 p. 1314-1318
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     根治不能な悪性腫瘍による胸部食道の狭窄症例を対象に,金属ステントを挿入し,摂食障害の改善度,偶発症について検討した.使用したステントは,カバー付き(以下C)とカバーなし(以下UC)UltraflexとWallstentである. 原疾患は原発性食道癌9例,転移性食道癌1例,リンパ節による圧排1例で,摂食の改善をUltraflexの7例中C2/2例,UC2/5例,Wallstentの5例中C1/2例,UC1/3例に認めた.Wallstent4/5例で食道潰瘍を認め,うち1例が食道穿孔で死亡した.また左主気管支の閉塞をWallstentの1例で認めた.有効例は11例中6例で,カバー付きUlraflexのみが満足できる効果が得られた. Wallstentは重篤な偶発症が多く,現在,当施設では使用していない.
  • 1998 年 40 巻 9 号 p. 1319-1323
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 40 巻 9 号 p. 1324-1329
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 40 巻 9 号 p. 1330-1332
    発行日: 1998/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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