-
田中 智彦, 内田 善仁, 渡辺 精四郎, 西岡 幹夫
1995 年 37 巻 6 号 p.
1123-1135
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
陥凹型早期胃癌のHE染色病理組織標本を用いて立体モデルを作成し,三次元的検討を行った.癌部及び周辺のHE染色組織を写真撮影し,癌部と線維化部を重点的にトレースした.そして,三次元構築システム「TRI」(ラトック社)を使用して立体再構築を行い,癌部体積,線維化体積などを算出した.―方,内視鏡検査時に癌部及び癌周辺部の粘膜面の可動性すなわち柔軟性(以下「動き」)を観察し,grade化して点数化した.そして,癌および線維化組織の深達度や立体モデルによる癌体積,線維化体積や線維化組織の局在・密度などと「動き」について対比した.結果,m癌はsm癌に比べて,癌体積,線維化体積が小さいが,有意差はなく,また癌体積や線維化体積と「動き」の間には関連はなかった.工一方,癌の深達度や線維化組織の深達度が大きくなるにつれ,また線維化組織が広範囲で厚く,密度の高い病変や病変部総体積に占める線維化体積の比が高いほど「動き」は有意(p<0.05)に悪くなっていた.
抄録全体を表示
-
堀池 典生, 舛本 俊一, 道堯 浩二郎, 中西 公王, 黒瀬 清隆, 恩地 森一
1995 年 37 巻 6 号 p.
1136-1141
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
50例のC型慢性肝炎 (II,III,II+III型がそれぞれ30例, 14例,6例) において, 腹腔鏡所見とHCV-RNA genotype(岡本の方法)及びHCV-RNA量 (CRT-PCR法) との関連性について検討した・島田の100番地台, 赤色紋理, 斑紋の頻度は, 各HCV genotype間で差を認めなかった.赤色紋理/斑紋が+/+, -/+, +/-, -/-は, それぞれ4, 8, 8, 30例であった. -/-に比し他の3群は, 有意にHCV-RNA量は高値であった上亜小葉性肝壊死を伴う慢性肝炎 (SN) 例は非SN例に比べ, HCV-RNA量が有意に高値であった. 赤色紋理あるいは斑紋陽性のSN例は, 赤色紋理, 斑紋いずれも陰性のSN例に比し, HCV-RNA量が有意に高値であった. 更に, 前者では,インターフェロン治療の著効率は18%と, 赤色紋理, 斑紋いずれも陰性の非SN例での52%に比し, 有意に低率であった. 以上により, C型慢性肝炎において, 赤色紋理,斑紋陽1生例ではHCV-RNA量は高値であり, 同所見は, IFN治療効果の予測に有用と思われた.
抄録全体を表示
-
濱田 薫, 徳山 猛, 成田 亘啓, 佐々木 義明, 錦織 ルミ子, 大石 元, 斉藤 圭一, 東口 隆一, 大貫 雅弘
1995 年 37 巻 6 号 p.
1142-1147
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胃十二指腸潰瘍の手術標本を用い,活性化好酸球の指標となるEosinophil cationic proteinに対するモノクロナール抗体で免疫染色を行ない,組織内活性化好酸球の浸潤を検討した.多くの症例で潰瘍底および潰瘍周堤部に活性化好酸球の浸潤を認めた.内視鏡的に経過観察した胃潰瘍生検標本では,活性化好酸球の浸潤を認めたが,治癒例と難治例とに差を認めなかった.症例による程度の差があり,その意義については不明であるが,好酸球の有する組織傷害性から見てその浸潤像にも注目を要するものと考えた.
抄録全体を表示
-
小倉 敏裕, 小泉 浩一, 甲斐 俊吉, 丸山 雅一
1995 年 37 巻 6 号 p.
1148-1156
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
ヘリカルスキャンCTを利用し,空気を造影剤として直腸癌の内腔三次元画像表示を試みた.内視鏡画像と比較し,直腸病変の診断や,スクリーニングの可能性について考察した.ヘリカルスキャンCTの撮影はスライス厚5mm,テーブル移動速度5mm/secで行い,約30秒で終了する.腸管を膨らませるために造影剤として空気を肛門より注入し,三次元画像構築のためのデータは直腸の腫瘍周辺の約70-80スライスのaxial像を使用した。本法は非侵襲的で,患者の負担が少なく,画質の優劣が検査技術に依存することが少ないという利点があり,腸壁や腫瘍の構造を理解するうえで有用であった.したがって,ヘリカルスキャンCTを用いた三次元CT画像は,将来,画像処理専用のコンピュータを装備することが可能になれば,大腸癌のスクリーニングに応用可能であることが示唆された。
抄録全体を表示
-
佐藤 勉, 潘 紀良, 小林 大介, 馬原 克夫, 土居 忠, 藤井 重之, 勝木 伸一, 堀本 正禎, 乾 典明, 藤岡 保範, 荒谷 英 ...
1995 年 37 巻 6 号 p.
1157-1161_1
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は59歳男性.主訴は心窩部不快感.胃内視鏡検査における生検組織診および超音波内視鏡所見により食道原発腺様嚢胞癌と診断し,胸部食道亜全摘を施行した.病理学的進行度はstage0であった.本疾患はこれまで国内外で81例の報告があり,そのほとんどが進行した段階で発見され,術前診断は困難な場合が多い.本症例は早期に発見され根治手術が可能であったこと,生検組織診および特徴ある超音波内視鏡所見により術前診断が可能であったことなど大変興味深いと考え報告する.
抄録全体を表示
-
大橋 信治, 岡村 正造, 三竹 正弘, 中川 浩, 藤井 康彰, 宮田 敬博, 神谷 健司, 瀬川 昂生, 前多 松喜
1995 年 37 巻 6 号 p.
1162-1166_1
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は53歳,女性.主訴はっかえ感.胸部下部食道に約2cm大の表面結節状の隆起性病変を認め,この周囲の約6cmの範囲にたけの低い大小の顆粒状の隆起部と浅い陥凹部を認めた.隆起部の超音波内視鏡像は第二層から第三層上層に境界明瞭な低エコー領域を呈し,粘膜筋板由来の平滑筋腫様であった。病理学的に平坦な部分は粘膜内に中分化型扁平上皮癌を認め,隆起部はいわゆるspindle cell carcinomaの像を呈し粘膜下層まで少量浸潤していた.
抄録全体を表示
-
金武 康文, 八木 信明, 川瀬 光八郎, 藤井 貴章, 小島 孝雄, 加藤 隆弘, 奥田 順一, 井田 和徳
1995 年 37 巻 6 号 p.
1169-1174_1
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は68歳の女性,貧血で受診.多発性肝転移を伴う,前庭部から胃角上部にBorrmann2型の胃癌を認めた.MMCとエタノールの原発巣の内視鏡的局注療法とFAMによる間歇的動注化学療法を施行.動注療法は偶然にも原発巣にも流入する経路となった.1年間は外来通院可能であり良好なQOLが得られた.手術不能進行胃癌に対してとくに原発巣と転移巣に対する薬剤の直接流入の有用性を示す症例であり今後の治療法に示唆を与えると思われた.
抄録全体を表示
-
益崎 隆雄, 荒川 正博, 白井 善太郎, 鳥谷 裕, 古川 浩, 秋吉 信男, 原田 直明, 紙谷 孝則, 友尻 茂樹, 久原 克彦, 田 ...
1995 年 37 巻 6 号 p.
1175-1181
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
一剖検例において,胃穹窿部静脈瘤(Fundic varix)にゼラチン添加バリウムを注入し,微細血管構築を臨床病理学的に検討した. (1)Fundic varixの主座は粘膜下層であった. (2)流入路,静脈瘤,排出路はほぼ同径の連続する一本の血管で構成されており,流入路と排出路との間に胃壁外での短絡は認められなかった. (3)Fundic varix直上および胃体上部の粘膜固有層において,粘膜筋板から表層へ向かう細静脈を多数認め,この細静脈とFundic varixとの間には明らかな交通は見いだせなかった。これらの所見はFundic varix出血の有効な治療手段を選択する上で重要であろうと考えられた.
抄録全体を表示
-
伊井 徹, 安居 利晃, 森 和弘, 鎌田 徹, 秋本 龍一, 神野 正博
1995 年 37 巻 6 号 p.
1182-1185_1
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胃出血に対してStiegmannらによって開発されたEVLを内視鏡的結紮止血法として応用した.症例1は79歳の女性,症例2は82歳の男性で共に主訴は大量の吐下血でありDieulafoy潰瘍からの出血と診断し本止血法を試みた.その結果,2症例共に1回の操作で永久止血効果が得られ,合併症は認めなかった.本止血法は,Dieulafoy潰瘍の様な小さく線維化の少ない胃出血巣に対し確実な止血効果があり,胃出血に対する新しい内視鏡的止血法になり得ると考えられた.
抄録全体を表示
-
村松 茂, 鄭 義弘, 左近允 智啓, 原澤 茂, 三輪 剛, 宮治 正雄, 生越 喬二, 安田 政実
1995 年 37 巻 6 号 p.
1186-1192_1
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は39歳,女性.主訴は上腹部痛.繰り返す胃角部潰瘍のため当科紹介受診.胃内視鏡検査上,胃角から体下部小弯に不整形潰瘍を認め,生検組織所見より形質細胞腫と診断.諸検査にても他部位に病変を認めず,胃原発性形質細胞腫と考え,胃全摘術を施行.術後病理学的所見では,腫瘍細胞の浸潤は粘膜下層までにとどまり,免疫染色ではIgM-λ型であった.
抄録全体を表示
-
板野 聡, 寺田 紀彦, 橋本 修, 松川 啓義, 森多 克行
1995 年 37 巻 6 号 p.
1193-1198_1
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
S状結腸軸捻転症と診断し, 内視鏡的整復術を行った後, 外科的処置を行い, megacolonと診断された興味ある2例を経験したので報告する. 症例1は,55歳の女性で, 主訴は便秘,腹部膨満感と腹痛.症例2は, 62歳の男性で, 主訴は便秘と腹痛. 症例1は, 整復後数時間で再発し緊急手術を行い,megacolonと診断された. 症例2は,整復後の注腸レントゲン検査で, rnegacolonと診断されたため,後日手術を行った. 開腹手術の結果からmegacolonに起因したS状結腸軸捻転症と診断された症例の報告は,今回の症例を含めても7例にすぎない. S状結腸軸捻転症に対する内視鏡整復に際しては, 常にmegacolonの存在を念頭に置くべきである.
抄録全体を表示
-
石黒 淳, 加藤 俊幸, 斎藤 征史, 丹羽 正之, 小越 和栄
1995 年 37 巻 6 号 p.
1201-1209
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例1は36歳の男性. 激しい心窩部痛と貧血で入院した. 十二指腸球後部の壁外性圧迫狭窄と下行脚の巨大な腫瘤を認めるも生検で確診がつかず, 腹部CTで短期間に増大傾向を認め,悪性リンパ腫が疑われ化学療法後に手術を施行した. 腫瘤は12×11cmで過去の文献上最大であり, 腸捻転により激しい腹痛を引き起こした稀なBrunneriomaであった. 症例2は39歳の男性で, 十二指腸下行脚に頂部に凝血塊の付着した有茎性ポリープを認めた. 本例は頻回の下血を繰り返した稀な症例で, 内視鏡的切除を施行し組織学的には血管増生に富むBrunneriomaであった.
抄録全体を表示
-
浜本 順博, 多田 秀樹, 本合 泰, 高島 哲哉, 東野 健, 安達 岳似, 福本 信介, 松本 太一三, 野村 俊之, 安住 治彦, 戸 ...
1995 年 37 巻 6 号 p.
1210-1215
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は55歳,女性.主訴は心窩部痛.腹部超音波検査で膣体尾部に低エコー腫瘤を認めた.ERCPにて膵体尾部の主膵管は狭窄し,その尾側膵管は拡張しておりRecanalization法にて病巣部の造影を行った.画像上,膵管癌を考え膵体尾部・脾合併切除術が施行された.病理組織学的に紡錘形の腫瘍細胞が密に束状に交錯し核分裂像がみられ,平滑筋アクチン染色陽性で平滑筋肉腫と診断した.腫瘍は膵に限局しており膵原発の平滑筋肉腫と診断した.
抄録全体を表示
-
―術前診断が容易および困難であった症例を対比して―
小出 直彦, 町田 恵美, 久米田 茂喜, 岩浅 武彦, 下平 和久, 大和 理務
1995 年 37 巻 6 号 p.
1216-1221_1
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
直腸悪性リンパ腫の診断, 治療法にはいまだ問題点が多く見られる. 症例1は不整な陥凹を伴う粘膜下腫瘍の形態をとり, 悪性リンパ腫の診断にて腹会陰式直腸切断術を施行した. 症例2はI型直腸癌が疑われ, 経仙骨的直腸部分切除術を施行後,悪性リンパ腫の診断を得たためVEPA療法を追加した. 術前診断が容易, 困難であった2例を比較した結果, 本疾患の診断には注意深い観察が必要であり, 症例によっては局所切除と化学療法により過大な外科切除が避けられると考えられた.
抄録全体を表示
-
北川 真一, 久保田 佳嗣, 高橋 好朗, 宇佐美 健治, 戸澤 孝太郎, 田中 俊夫, 備仲 健之, 村上 隼夫
1995 年 37 巻 6 号 p.
1222-1228_1
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
肝門部胆管癌2例に対し,PTCSを補助として2本のWallstentを用いた一側経皮経肝ルートからの肝両葉ドレナージを試みた.一方の狭窄部に留置したWallstentのメッシュを介し第二のWa11stentを他方の狭窄部に挿入し,二本のステントが一部overlapするように留置することにより肝両葉内瘻化が得られた.ステントのメッシュを通じての第二の狭窄部へのアクセスはPTCS直視下操作が有用であり,容易に成功した.
抄録全体を表示
-
―ポリウレタンcovered Strecker stentを使用した2例の経験―
川瀬 芳人, 本山 新, 川西 正敏, 川 浩子, 井垣 直哉, 北村 英雄, 山崎 富生, 福田 昌弘, 杉本 裕, 原 賢太
1995 年 37 巻 6 号 p.
1229-1235
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
ポリウレタン膜をStrecker stent(Baston Scientific)に被覆し,日常的に汎用されている経口十二指腸鏡を用い,2例の悪性胆道狭窄に挿入し好成績が認められた.2例とも約2カ月が経過しているが,閉塞の所見,症状は全く認められていない.このうち,1例に対し胆道鏡を使用しstmtの内部および近傍を観察したが,腫瘍浸潤はもちろん,胆泥形成も認められなかった.ポリウレタンは柔軟性,抗胆泥形成に優れるため,これをさらにStrecker stentに応用する事により,悪性胆道狭窄における経乳頭的内瘻化において,さらなる好成績が期待される.
抄録全体を表示
-
1995 年 37 巻 6 号 p.
1236-1251
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
-
1995 年 37 巻 6 号 p.
1252-1265
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
-
1995 年 37 巻 6 号 p.
1266-1282
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
-
1995 年 37 巻 6 号 p.
1283-1298
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
-
1995 年 37 巻 6 号 p.
1299-1310
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
-
1995 年 37 巻 6 号 p.
1311-1324
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
-
1995 年 37 巻 6 号 p.
1325-1332
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
-
1995 年 37 巻 6 号 p.
1333-1356
発行日: 1995/06/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー