日本消化器内視鏡学会雑誌
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30 巻, 4 号
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  • 鳥谷 裕, 真栄城 兼清, 吉村 茂昭, 有馬 純孝, 志村 秀彦, 小山 洋一, 中岡 幸一, 古川 浩, 徳光 秀出夫, 坂口 正剛
    1988 年 30 巻 4 号 p. 667-677
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌を合併した食道または胃静脈瘤50症例に対し内視鏡的硬化療法,経回盲静脈的塞栓術を施行し,治療効果を中心に検討を加えた.静脈瘤非出血例では,出血例に比し生存期間が長く,肝細胞癌の予後向上のためには出血防止対策が必要と思われた.また,門脈内腫瘍塞栓陽性例では,予防・待期治療後出血例及び緊急治療例を含めた出血症例の頻度は62%で,腫瘍塞栓陰性例の出血率29%に比し有意に高頻度であった.さらに緊急治療後の再出血例の頻度も,腫瘍塞栓陽性例で38%と高頻度であった.この様な症例に対する緊急治療の止血率は,硬化療法単独では50%に過ぎず,経回盲静脈的塞栓術などの併用が必要と思われた.さらに,肝細胞癌そのものの長期予後が期待できる症例で,F3・LS静脈瘤や著しい噴門静脈瘤を合併しだ症例においては,硬化療法単独では十分満足できる治療効果が得にくいと思われ,Hassab手術などの併用も試みるべきであると考えられた.
  • 須川 暢一, 今 陽一, Charles E. LUCAS, Anna M. LEDGERWOOD
    1988 年 30 巻 4 号 p. 678-682
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    抗生剤および抗菌剤の膵液中への移行性を,内視鏡的に採取した純粋膵液中と,血清中の薬剤濃度の比較により検討した. 検討した薬剤はAmpicillin, Mezlocillin, Cefamandol, Gentamicin, Amikacin, Clindamycin, Chloram-phenicol,Metronidazole,及びTrimethoprim-sulfamethoxazoleである.その結果,血清濃度と比較して,膵液中への良好な薬物移行性が得られたのはChloramphenico1, Metronidazole,及びTrimethoprimのみであった.これに対して, Ampicillin, Mezlocillin, Cefamandol, Gentamicin, Amikacinにおいてはいずれも膵液中の濃度は極めて低く,これ等の薬剤の膵への臓器移行性は低いと考えられた.
  • ―86例の治療前後の内視鏡所見と発生病変の内視鏡的分類―
    池田 健次, 熊田 博光, 荒瀬 康司, 茶山 一彰, 郡司 俊秋, 吉場 朗, 福地 創太郎, 煎本 正博
    1988 年 30 巻 4 号 p. 683-690_1
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌86例について,肝動脈塞栓術(TAE)の前後に上部消化管内視鏡検査を行い,TAEの胃十二指腸に及ぼす影響を検討した. TAE後に新たに出現した胃病変は,血管分布に一致する限局性の虚血性と推定される病変19例と非特異的な急性胃粘膜病変3例で,前者は内視鏡的に,地図状の限局性粘膜発赤5例,びらん10例,潰瘍4例に分けられた.十二指腸に出現した病変は,びらん1例,潰瘍2例で,いずれも虚血によるものと考えられ,潰瘍は長軸に縦長の大型潰瘍であった.TAEの際に,固有肝動脈以外の右胃動脈や胃十二指腸動脈等を意図的に塞栓したり,固有肝動脈の塞栓に伴い偶然に胃十二指腸への血管へ塞栓物質の流入を確認した15例のうち,11例(73.3%)に病変が発生した. 胃,十二指腸共に,出血や穿孔などの重大な合併症はなかったが,潰瘍は難治性で,治癒に3ないし4カ月を要した例があった.
  • 五十嵐 正広, 勝又 伴栄, 瀬川 謙一, 岡田 豊次, 山本 佳正, 本間 二郎, 三富 弘之, 三橋 利温, 岡部 治弥
    1988 年 30 巻 4 号 p. 693-699_1
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎(全大腸炎型と左側大腸炎型)再燃時罹患部位の推移について検討した.対象は,全大腸炎型23例,左側大腸炎型25例である.再燃罹患部位の推移は,下部再燃型(62%),同部位再燃型(18%),区域再燃型(12%),拡大再燃型(8%)の4型に分類された.区域再燃型は全大腸炎型にのみみられ,上行結腸に限局するものもあった.したがって,再燃時の病期診断には直腸,S状結腸のみの観察では不十分であり全大腸の観察が必要である.全大腸炎型では前回と同様の再燃を呈するものは30%のみであり,再燃ごとに異なった型がみられ再燃型を予想することはできなかった.再燃時の内視鏡所見をビラン型と潰瘍型とに分類すると潰瘍型に区域再燃型,拡大再燃型が多く,外科的治療を要したものも潰瘍型に多かった.
  • 山崎 日出雄, 樋渡 信夫, 熊谷 裕司, 三浦 正明, 安海 清, 中嶋 和幸, 鈴木 邦彦, 山下 和良, 佐々木 高志, 川原田 博章 ...
    1988 年 30 巻 4 号 p. 700-704
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎(以下UC)における,緩解維持療法の効果および再燃に影響をおよぼす諸因子を明らかにする目的で,再燃緩解型のUC患者45例,延べ161回の緩解維持療法を対象に,罹患範囲,緩解導入前の重症度,年齢,発症後経過年数,再燃前の治療,再燃の誘因についてretrospectiveに検討した.平均緩解維持期間は,罹患範囲別,緩解導入前の重症度別,緩解導入時の年齢別,経過年数別のいずれでも有意差を認めなかった.薬物療法別では,sulfasalazine(以下SASP)経口単独群と無治療群で,緩解維持期間の平均値および中央値に有意差を認めず,SASPの緩解維持効果を確認できなかった.再燃161回のうち,誘因ありと考えられたものは67回で,その内訳は,上気道感染28回,肉体的疲労11回,治療薬物変更9回,精神的ストレス7回,鎮痛剤服用4回,妊娠・分娩3回などであった.
  • 熊谷 一秀, 安井 昭, 西田 佳昭, 増尾 光樹, 泉 嗣彦, 栗原 稔
    1988 年 30 巻 4 号 p. 705-711_1
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胃癌化学療法の効果判定は肉眼形態の変化および病理組織学的には癌細胞の変性,脱落所見として表現されている.一方,胃癌の自然史においても癌細胞の変性,壊死は稀れならず認められる.本研究は術前短期化学療法を施行し切除した症例(化療群)と化学療法を受けず切除された症例(非化療群)を病理組織学的に対比し,胃癌化学療法の効果判定の問題点を検討した.対象は化療群陥凹性早期胃癌14例,非化療群陥凹性早期胃癌10例で,病理組織学的効果判定は胃癌取扱い規約に準じ,粘膜内の病巣内の非癌上皮部の量の多寡で表現した.その結果,化療群はGrade 1aが14例中11例(79%)を占めた.非化療群は10例中6例に癌巣内非癌上皮部を認め,1例は癌巣の1/3以上2/3未満と広範な非癌上皮部を認めた.さらに化療群では肉眼形態の変化と病理組織学的効果判定に解離を認めるものも多く,陥凹性早期胃癌の化学療法効果判定は胃癌の自然史との関係からも多くの問題点を有すると思われた.
  • 嶋倉 勝秀, 滋野 俊, 山口 孝太郎, 長谷部 修, 宮田 和信, 古田 精市, 松田 至晃
    1988 年 30 巻 4 号 p. 712-719
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ERCPを施行したBillroth II法胃切除後症例(B.II症例)83例の成績を,1984年5月以降の最近とそれ以前の2期に分け検討した.ERCPの造影成績は最近ではERP72.3%,ERC70.2%であり,手技の向上とともに改善がみられた.最近の症例のうち8例にはEPT,ERBD等の治療手技を施行した.総胆管結石の2例はENBDを施行した後,ENBDカテーテルをガイドとしてニードルナイフを用いてEPTを施行し結石を除去しえた.また胃癌の転移による閉塞性黄疸の1例も同様の方法によりEPTを行いERBDを施行しえた.B.II症例のEPTは比較的困難と考えられているが,胆管への選択的挿管が可能な場合には,以上のような方法によりEPTが安全かつ容易に施行できるものと思われる.B.II症例のERCPの造影成績は手技の向上とともに改善されており,非胃切除例と同様にERCPが必要な場合には積極的に試みる意義は大きいと考えられた.
  • ―大腸内視鏡検査を至適基準として―
    中元 和也, 光島 徹, 大城 宏之, 鶴田 修, 横内 敬二, 永谷 京平, 阿部 陽介, 前谷 容, 坂谷 新, 有馬 信之, 横田 敏 ...
    1988 年 30 巻 4 号 p. 720-724_1
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    全大腸内視鏡検査を至適基準として,グアヤック法便潜血反応の大腸癌スクリーニングにおける精度を検討した.当院一泊人間ドック受診者延べ3,704例を対象としたが,大腸癌に関し作為のない集団であることならびに便潜血反応陰性例に対しても全例回盲部まで検査を施行していることから,精度を議論する上で適当な対象であると考えられた.大腸癌は17例(0.46%)発見されたが,便潜血反応陽性率は47.1%と半数以下であり,非癌症例群との間に有意差を認めなかった.腺腫は283例(7.6%)発見され,便潜血反応陽性率は39.6%とこれも低率であった.グアヤック法便潜血反応は,少なくとも一日法では大腸癌スクリーニング法としては不適当であると考えられた.
  • 吉川 信夫, 笠貫 順二, 渡辺 東也, 岸 幹夫, 今泉 照恵, 吉田 尚, 小関 秀旭, 板谷 喬起
    1988 年 30 巻 4 号 p. 725-729
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    昭和52年から58年の7年間に千葉大学第2内科にて加療した潰瘍性大腸炎25例の臨床像の検討を行い,またその病態を形態学的検査によらず客観的に表現する潰瘍性大腸炎活動指数(UCAI)を考按,内視鏡所見と比較し,UCAIは病勢の評価に有用であった.
  • 木山 輝郎, 笹島 耕二, 林 久太佳, 鄭 淳, 山下 精彦, 恩田 昌彦
    1988 年 30 巻 4 号 p. 730-733_1
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は59歳男性.数日来飲酒後嘔吐を繰り返していたが,吐血,下血,背部痛があり,突然ショック状態となり,緊急入院となった.15年前に胃穿孔にて胃切除術の既往がある. 入院時内視鏡所見では下部食道左後側壁の深い裂創と食道胃接合部直下にも浅い裂創を認めた.さらに,食道造影検査にて下部食道より造影剤の漏出を認め,特発性食道破裂とMallory-Weiss症候群の合併と診断した.症状軽減し胸水の貯留も認めなかったので,絶食,抗生剤投与,中心静脈栄養による保存的治療を行った.第22病日の食道造影検査では造影剤の漏出は認めず,内視鏡所見でも下部食道に瘢痕を残すのみであった.発症後24病日より経口摂取を開始し,第30病日に治癒退院した. 内視鏡検査により治癒過程を観察しえた特発性食道破裂にMalloryT-Weiss症候群を合併した症例を報告した.
  • ―自験例2例の検討―
    澁谷 誠一郎, 今井 寛途, 真鍋 良二, 浜津 和雄, 重見 公平, 寺坂 隆
    1988 年 30 巻 4 号 p. 734-741_1
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    脾機能亢進を伴った肝硬変患者の食道静脈瘤硬化療法(以下,硬化療法と略す)の前処置として部分的脾動脈塞栓術(以下,PSEと略す)を行うとともに,その後,18カ月間の経過観察を行った.症例はRCサイン陽性,F2以上の食道静脈瘤を有する肝硬変症例2例(女性1例,男性1例)で血小板数の減少あり,腹部CT,腹腔鏡検査にて著明な脾腫をみた.透視下に脾の約2の塞栓を行い血小板数の安定をまち硬化療法を行った.PSE後の影響についてみると血液生化学的肝機能所見では血清総コレステロール値,血清コリンエステラーゼ活性値の改善が認められた.また硬化療法後の食道静脈瘤は改善を示し,腹部CT像では脾の縮小を示した.また末梢血液像では血小板数の良好な値の持続が18カ月間にわたり認められた.以上よりPSE及びPSE併用による硬化療法は食道静脈瘤に流入する側副血行路の血流低下,及び肝を中心とする血行動態の変化が長期にわたり持続するものと考えられた.
  • 酒井 昌博, 萩原 優, 佐藤 泰治, 栗原 肇, 猪狩 次郎, 得平 卓彦, 丸山 雄二, Hiromu WATANABE, 柳川 忠二, ...
    1988 年 30 巻 4 号 p. 742-746_1
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性,食道離断術後再発した食道静脈瘤に対し,血管周囲注入法による食道静脈瘤硬化療法を硬化剤パオスクレー(5%フェノール,アーモンドオイル)を用いて施行した.その際,約1.5mlの硬化剤が食道静脈瘤内へ注入された. 約4時間後全身性間代性痙攣を伴う意識障害が発症した.約24時間後の頭部CTで右頭頂葉に低吸収域を認めた.パオスクレーによる脳塞栓が考えられた. 患者は,後遺症を残さず退院することができたが,約4年6カ月後肝不全にて死亡した. 門脈圧亢進がある場合には,さまざまな側副血行路が形成されることが確認されており,門脈系から肺動脈へ至る側副血行路の報告もある. 本症例では,門脈系から肺静脈への側副血行路の存在は確認できず,また,脳組織所見で右頭頂葉に,梗塞巣と思われる小嚢胞性病変を認めたが,同部にパオスクレーを証明できなかった.しかし,発症様式・臨床経過から,硬化剤が側副血行路を経て動脈系へ入り,内頸動脈へ流入した結果,脳塞栓を発症したと思われる症例と考えられた.
  • 藤嶋 浩, 三澤 正, 丸岡 彰, 豊田 隆敏, 原田 直彦, 壁村 哲平, 今薗 靖博, 田中 晃, 千々岩 芳春
    1988 年 30 巻 4 号 p. 749-752_1
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は74歳男性,上腹部腫瘤を主訴に来院し,胃X線,内視鏡検査及び直視下擦過細胞診にて胃悪性リンパ腫と診断した.超音波内視鏡検査(Endoscopic Ultrasonography,以下EUSと略)では胃壁の5層構造が消失した均一な低エコー像を認めた.白血化を認めたため化学療法を施行し,治療後のEUSで第2層の軽度腫大,均一な低エコー化とともに第3層及び第4層の再明瞭化が認められ,胃悪性リンパ腫の治療効果判定に対するEUSの有用性が示唆された.
  • 針金 三弥, 柴崎 洋一, 河村 攻, 大原 裕康, 佐藤 博文, 源 利成, 渡辺 秀人
    1988 年 30 巻 4 号 p. 755-759_1
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    気管支喘息,慢性蕁麻疹に罹患している60歳の男性が,頑固な水様性下痢便を主訴に受診した.末梢血で好酸球が31%と上昇し,IgEの増加を認めた.上部消化管内視鏡検査にて,胃,十二指腸に浮腫状粘膜,多発性小潰瘍,斑状びらんが認められた.生検では,好酸球の著明な浸潤を粘膜固有層に認めた.食道,直腸はX線,内視鏡検査では特記すべき所見を認めなかったが,生検を行ったところ.粘膜固有層内に好酸球浸潤を認めた.これらの所見より,Eosinophilic Gastroenteritisと診断した. プレドニゾロンの経口投与で,下痢,好酸球増多は軽快したが,中止後短期間で下痢は再燃した.再投与後,プレドニゾロン7.5~10mg/日の少量投与で約6年間経過しているが,下痢の再燃は認めていない.しかし,H2受容体拮抗薬にも抵抗する難治性潰瘍の合併を認めている.
  • 秋山 哲司, 富士 匡, 近藤 哲, 足立 佳世子, 田中 慎也, 播磨 健三, 佐々木 敏行, 大村 良介, 中田 和孝, 野口 隆義, ...
    1988 年 30 巻 4 号 p. 760-765_1
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    薬剤性膵炎と考えられる症例を2例経験した.1例はメチルドパによるもので,あとの1例はメフェナム酸によるものであった.前者は高アミラーゼ血症を伴う心窩部痛で発症し,再投与によるchallenge testで原因薬剤を決定した.後者は十二指腸下行脚の狭窄による食後の嘔吐で発症し,メフェナム酸によるリンパ球幼若化試験で原因薬剤を決定した.膵炎を惹起する薬剤は数多く報告されているが,メチルドパによる膵炎は本報告が10例めであり,メフェナム酸によるものは本報告が最初である.
  • 奥村 信義, 武山 直治, 神間 修, 早川 哲夫, 酒井 雄三
    1988 年 30 巻 4 号 p. 766-770
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ERCPにより副膵管の分枝にのみ膵石が存在した慢性膵炎の1例を報告した.症例は57歳の男性で昭和61年11月の検診にて上部消化管造影に異常を指摘され,当院にて再検した.この時十二指腸の内方に石灰化を指摘された.腹部CTにて膵鈎部に石灰化がみられ,ERCPでは副膵管の狭窄とその狭窄部より膵鈎部へ向かう分枝に膵石が認められた,本例は先天的あるいは後天的な副膵管の狭窄により,その部に連なる膵管分枝に膵液のうっ滞が生じた結果膵石が形成されたと思われる.膵石形成機序を考える上で示唆に富む症例であった.
  • 滝内 比呂也, 芦田 潔, 白木 正裕, 三好 博文, 浅田 修二, 折野 真哉, 鄭 鳳鉉, 林 勝吉, 奥村 泰啓, 大坂 直文, 平田 ...
    1988 年 30 巻 4 号 p. 771-776_1
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例:54歳,男性.既往歴:昭和59年に急性膵炎の手術.昭和61年3月上腹部痛を主訴に某病院を受診しERCPが施行された.その際,十二指腸球部前壁に隆起性病変を指摘され精査目的にて当科入院した.上部消化管造影で十二指腸球部前壁に中心陥凹を有する亜有茎性の隆起性病変がみられた.内視鏡で直視下生検が行われ,病理組織学的にカルチノイドと診断された.患者が外科手術を拒否したため内視鏡的ポリペクトミーが行われ,12×9×6mmのカルチノイド腫瘍が摘出された.腫瘍は主に粘膜下層に限局しており,結合線維により被包化され,切除断端には腫瘍細胞はみられなかった.したがって,内視鏡的ポリペクトミーにより局所の完全切除が得られたものと考えられた.十二指腸カルチノイドは決して稀ではないが,内視鏡的ポリペクトミーを行った症例は極めて稀であり,文献的考察を加えて報告し.
  • 星加 和徳, 大谷 公彦, 鴨井 隆一, 加藤 智弘, 萱嶋 英三, 小塚 一史, 長崎 貞臣, 藤村 宜憲, 宮島 宣夫, 島居 忠良, ...
    1988 年 30 巻 4 号 p. 777-782_1
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    直腸に発生した良性リンパ濾胞性ポリープの1例を経験した.症例は,62歳女性で主訴は下血であった.直腸指診にて隆起性病変を触知し,注腸造影では,直腸に隆起性病変を認めた.内視鏡検査では,亜有茎性の発赤した隆起性病変を認め,その表面は結節状で頂上部にはびらんを認めた.生検では,粘膜下にリンパ球浸潤があり,リンパ濾胞や胚中心の形成が認められた.リンパ濾胞性ポリープと考え外科的ポリペクトミーが施行された.摘出標本では,3.2×2.7×1.2cm大の病変で,組織所見では,病変の頂上部の粘膜は欠損し,粘膜下にリンパ球浸潤,リンパ濾胞の増生,胚中心の形成が著明で良性リンパ濾胞性ポリープと診断された.良性リンパ濾胞性ポリープは本邦においては稀な疾患で,自験例も含め11例の報告があるに過ぎない.
  • 高升 正彦, 川本 克久, 辰巳 嘉英, 時田 和彦, 藤野 博也, 古谷 慎一, 辻 治秀, 光藤 章二, 福田 新一郎, 布施 好信, ...
    1988 年 30 巻 4 号 p. 785-787_1
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    電子内視鏡(東芝一町田社製EES-50A,TGS-50D,TGI-50D)を用いて13例20病変の胃ポリペクトミーを施行した.対象症例は男性5例,女性8例,平均年齢65.2歳.対象病変の肉眼型は山田分類のII型(YII)6病変,YIII8病変,YIV6病変,組織型はadenocarcinoma2病変,adenoma(ATP)3病変,hyperplasticpolyp15病変であった.全例において合併症を認めず,安全にかつスムーズにポリペクトミーが施行でき,全病変が回収可能であった.通電中は画面に網目模様が現れるが特に支障はなかった.電子内視鏡を用いる利点として,1)鮮明な画面を術者と介助者が同時に観察でき,よりスムーズな共同作業が可能である,2)ポリープを回収後,電子内視鏡で近接観察することにより,VTRおよび35mmスチール写真に切除標本の鮮明な像を記録できる,3)初心者も操作に支障なく見学でき,VTRに記録しておけば何度でも動的画面を見て手技を体得することが可能で,教育的効果が大きい,などの点が考えられた.
  • 1988 年 30 巻 4 号 p. 788
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 30 巻 4 号 p. 789-802
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 30 巻 4 号 p. 802-816
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 30 巻 4 号 p. 816-827
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 30 巻 4 号 p. 827-840
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 30 巻 4 号 p. 840-849
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 30 巻 4 号 p. 849-861
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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