細径直視式ファイバースコープ(GIF-P
2,オリンパス光学)を使用したERCPについて検討を加えた. 対象として上腹部愁訴を有する症例で,GIF-P2による食道,胃,十二指腸球部の内視鏡検査が適応とされた例である.これらの症例では上部消化管のスクリーニング内視鏡検査ののち,ひきつづいてERCPが施行された.15症例にERCPを試み12例(80%)の造影に成功した.胆管像のみ(ERC)は8例,胆管像および膵管像(ERCP)は4例に得られた.3例では乳頭へのcannulationに失敗した.cannulationの可能であった12例全例に胆管像が得られた.なお,3症例において,検査前には疑われていなかった膵,胆道病変が本法により発見された.本法では胆管像がきわめて高率に得られるため,側視式ファイバースコープで胆管像の得にくい症例に対しては有効と考えられる. 近年,内視鏡検査において,食道,胃および十二指腸球部を連続して観察するpanendoscopeの意義は大であり,その報告も増加している。筆者らの今回の試みは,上部消化管の内視鏡検査に加えて,十二指腸乳頭部,胆道,膵を検索し,一本の内視鏡による1回の検査で,より広範な情報を得ようとするものであり,upper GI endoscopeの適応をさらにERCPにまで拡大したものとして意義があると考えられる.
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