日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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53 巻, 3 号
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総説
  • 八尾 建史, 長浜 孝, 松井 敏幸, 岩下 明徳
    2011 年 53 巻 3 号 p. 1063-1075
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/14
    ジャーナル フリー
    光学的拡大機能を有する上部消化管電子内視鏡が早期胃癌診断に応用できるようになった.さらに狭帯域光観察narrow-band imaging(NBI)を胃拡大内視鏡観察に併用すると,さまざまな解剖学的構造が視覚化される.これらの新しい方法について内視鏡医が知っておく必要がある基本的な原理は,拡大倍率と分解能の違い,NBIの原理,胃における観察法・観察条件である.また,NBI併用拡大内視鏡を胃粘膜に応用した場合,何がどのように視覚化されるかを正確に理解しておく必要がある.具体的に視覚化される解剖学的構造は,微小血管構築像(V)については,上皮下の毛細血管・集合細静脈・病的な微小血管であり,表面微細構造(S)については,腺窩辺縁上皮・粘膜白色不透明物質である.筆者らは,NBI併用拡大内視鏡による早期胃癌の診断体系として,VとSの解剖学的構造を指標に用い,それぞれをregular/irregular/absentと分類し,一定の診断規準に当てはめて診断するVS classification systemを開発した.現在,さまざまな臨床応用が報告されているが,白色光拡大に加えNBI併用拡大内視鏡の有用性は充分に検討されているとは言い難く,現在進行中の研究結果を待ち再度評価する必要がある.
症例
経験
  • 小林 良充, 大西 俊介, 大西 礼造, 竹村 龍, 鈴木 美櫻, 佐々木 尚英, 太宰 昌佳, 幡 有, 山本 純司, 小田 寿, 宮城島 ...
    2011 年 53 巻 3 号 p. 1117-1121
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/14
    ジャーナル フリー
    背景・目的:下部消化管内視鏡検査による術者の感染例はこれまでにほとんど報告がなく,消化器内視鏡ガイドライン上にも具体的な対策が定められていない.そこで,下部消化管内視鏡検査における内視鏡医の汚染リスクを明らかにし,感染防御のありかたを見直す目的で臨床研究を行った.方法:フェースガードを着用して検査を行い,水滴付着の有無から汚染リスクを検討した.結果:水滴付着は鉗子口の操作回数に伴い増加し,フェースガード左側に多く認めた.鉗子口からの水滴の飛散が汚染リスクになると考えられた.また,下部消化管内視鏡経験年数が短いほど水滴付着陽性例が多い傾向にあり,未熟な術者では鉗子口操作に不慣れなために汚染リスクが上昇すると考えられた.結論:術者および介助者は検査に際し個人防護用具を着用すること,鉗子口から処置具を抜く際には介助者が鉗子口をガーゼで覆いながら抜く等の工夫を行うことが望ましいと考えられた.
注目の画像
手技の解説
  • 前谷 容
    2011 年 53 巻 3 号 p. 1124-1133
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/14
    ジャーナル フリー
    悪性胃・十二指腸狭窄は経口摂取を不能にするだけでなく,様々な閉塞症状により著しく患者のQOLを損なう病態である.切除不能例において,従来の胃空腸吻合術に代わり最近ではステント留置が広く行われるようになった.留置法にはover-the-wire法とthrough-the-scope(TTS)法とに大別される.後者の場合,ガイドワイヤーの狭窄部通過からステント展開まですべて内視鏡的に行うことができ,容易かつ短時間で施行することが可能で患者の負担も小さい.TTS法で留置するためには専用のステントシステムが必要となるが,手技の簡便性から胃・十二指腸ステント留置法は今後TTS法に集約されるものと思われる.しかし,手技は容易となっても,その効果を最大限発揮させ,偶発症発生を防ぐためには,使用するステントの特性を十分理解し,その特性に合った留置法を行うことが極めて重要である.
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最新文献紹介
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