日本消化器内視鏡学会雑誌
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46 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 前谷 容, 酒井 義浩
    2004 年 46 巻 2 号 p. 135-144
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道に始まった消化管stentingはSelf-expandable metallic stentの開発により胃,十二指腸,大腸へと適用されるようになった.これらはほとんどが切除不能の悪性腫瘍に対しての姑息的治療として行われるが,大腸では待期的手術の術前減圧手段として用いることがある.治療時間が短く低侵襲な治療であり,比較的良好な成績が報告されている.しかも他の姑息的治療と比較して,迅速な効果発現や短い在院期間が期待でき,患者のQOLの向上には特に有効である.偶発症として閉塞や逸脱などがあり,多くは十4治療により対処が可能であるが,なかには穿孔などの致命的な偶発症の報告もある.適切な手技に加え,より理想的な特性を有したステントが開発されることが望ましい.それと同時に,ステント留置の適応基準の設定,および姑息的手術や組織凝固などの他の治療との無作為化比較試験など,将来検討すべき課題も多い.
  • 横山 航也, 小田 健司, 幸田 圭史, 清家 和裕, 森廣 雅人, 唐木 洋一, 土屋 博, 吉田 行男, 清水 公雄, 高見 洋司, 宮 ...
    2004 年 46 巻 2 号 p. 145-150
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は65歳男性.全身の黒褐色皮疹と疣贅を主訴として来院,黒色表皮腫と診断された.内視鏡で胃体中部の3型進行胃癌と食道粘膜のび漫性乳頭状増殖を認めた.食道生検所見では扁平上皮の乳頭状増生を認めた.頸部リンパ節転移を認めたため外科的切除は行わず,外来にて化学療法を施行したところ胃病変と食道,皮膚病変の改善傾向を認めた.悪性黒色表皮腫に食道粘膜病変を併発することは比較的稀で,本邦報告11例と合わせて考察した.
  • 佐々木 美穂, 薬師神 芳洋, 羽藤 高明, 串田 吉生, 白石 天三, 白石 三思郎
    2004 年 46 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は65歳男性.心窩部痛,腹満感を主訴に当院外来を受診.上部消化管内視鏡検査にて,十二指腸second portionからthird portion移行部に白色乳頭様の粘膜の肥厚を認めた.生検組織の免疫染色よりfollicular lymphoma(grade I,stage IE)と診断し,抗CD20抗体(Rituximab)療法を施行した.2カ月後病変は著明に縮小し,非侵襲的治療として抗CD20抗体療法は有効であると考えられた.
  • 礒垣 淳, 小林 利彦, 川村 統勇
    2004 年 46 巻 2 号 p. 158-162
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は20歳男性.生後7日目に輪状膵に対する十二指腸十二指腸吻合術を施行されている.吐血を主訴に川村病院を紹介受診,入院となった.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸十二指腸吻合部の狭窄,出血性潰瘍を認め,また拡張した十二指腸内に結石を認めた.内視鏡下に止血術を行った後,レーザーを用いた砕石術を施行し結石を摘出し得た.結石成分分析の結果はデオキシコール酸98%以上であり,十二指腸内に形成された真性腸石と診断した.真性腸石の報告は少なく,また本邦での輪状膵術後の十二指腸内真性結石形成の報告は無く,極めてまれであると考えられた.
  • 横山 潔, 宇野 昭毅, 山口 俊一, 上原 毅, 大谷 豪, 荻原 章史, 中島 典子, 小橋 恵津, 岩崎 有良, 荒川 泰行
    2004 年 46 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は79歳の女性.高血圧で外来通院中に心窩部痛,下血が出現し入院.出血部位が特定できず,繰り返し上部消化管内視鏡検査を施行したところ,Vater乳頭より肛門側に憩室を認め,憩室内に漏出性出血を伴っていた.そこで,透明フードを内視鏡に装着し憩室内の出血に対しクリッピング法にて止血した.本例では透明フードが十二指腸憩室出血の診断に有用であり,出血部位が明らかとなった憩室内出血にはクリッピング法が有効であった.
  • 佐藤 康史, 千葉 大樹, 高山 哲治, 瀧本 理修, 岡本 哲郎, 信岡 純, 佐川 保, 佐藤 勉, 新津 洋司郎, 木村 幸子
    2004 年 46 巻 2 号 p. 169-173
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は57歳男性.腹部不快感を主訴として近医を受診し,下部消化管内視鏡検査で,盲腸に多発する有茎性ポリープを指摘され精査目的で入院となった.注腸造影,内視鏡検査で盲腸の潰瘍瘢痕と最長で約7cmの山田IV型ポリープと多発小ポリープを認めたためポリープの一部を内視鏡的に切除した.病理組織所見では正常粘膜と粘膜下層からなり,いわゆるcolonic mucosubmucosal elongated polyp(CMSEP)と診断した.これまで,炎症性と考えられる多発ポリープを伴ったCMSEPの報告はなくその成因を考える上で興味深い症例と考えられる.
  • 熊本 光孝, 中江 遵義, 杉森 聖司, 生馬 和樹, 中路 幸之助, 加藤 寛正, 谷口 友志, 廣岡 紀之, 堀川 浩司, 櫨原 由雄, ...
    2004 年 46 巻 2 号 p. 174-179
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は62歳女性,便秘のため大腸内視鏡検査を施行.肌門管歯状線直上に約10mm大の扁平灰白色隆起を認めた.近接観察では表面に長短種々の赤色線状模様を認めた.ルゴール液散布にて病巣と歯状線の位置関係が明瞭となった.注腸X線検査で直腸下端に扁平隆起を指摘できた.生検にて扁平上皮癌と診断.括約筋温存肛門管部分切除を施行.病理学的検索で肛門管扁平上皮内癌と最終診断した.本邦第6例目の症例である.
  • 仲田 文造, 西野 裕二, 小坂 錦司, 川崎 史寛, 小川 佳成, 横松 秀明, 和田 朋子, 須藤 玲子, 門谷 愛, 坂手 洋二, 小 ...
    2004 年 46 巻 2 号 p. 180-186
    発行日: 2004/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     当教室で経験した2例の非機能性膵島細胞癌のEUS像を,通常型膵管癌87例のEUS像と比較検討した.EUSによる内部echoの性状,正常膵との境界の明瞭さ,ductal structureなし,penetrating duct signなし,の所見については,非機能性膵島細胞癌と通常型膵管癌で鑑別の要点になるような所見はなかった.しかし非機能性膵島細胞癌では辺縁エコーが整であることと形態が類円形という特徴があると考えられた.
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