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田村 智, 大西 知子, 大西 三朗
2006 年 48 巻 7 号 p.
1415-1424
発行日: 2006/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
拡大電子スコープを用いたpit pattern診断が,大腸病変の質的診断に有用であることが,幾多の変遷を経て認められるようになってきた.拡大電子スコープも第三世代となり,操作性も向上してルーチン検査で問題なく使用できるようになった.多くのcolonoscopistにその有用性を体験していただき,"森を見て木を見て,もう一度森を見る"という,通常観察との組み合わせでpit pattern観察を行う内視鏡診断学を,日常の検査に応用していただきたい. 消化管におけるファイバースコープを用いた拡大内視鏡観察は,1970年代から始まったが,本格的に臨床応用されだしたのは1990年以降である.先達の研究が基本になって,Kudoらによるpit pattern分類ができあがり病理組織学的裏付けも得られた. Pit pattern分類を,1~V型という名称で用いるようになり,癌で認められるV型pit patternの亜分類も"箱根合意によるV型pit patternの亜分類"として統一された. このpit pattern分類により,腫瘍径や形態によって若干の例外を認めるものの,拡大電子スコープを用いて95.2%という予想病理組織正診率が得られることから,pit pattern診断は病理組織診断を良く反映した,有用な客観的内視鏡診断学であることがわかる.
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綾田 穣, 中野 達徳, 堀田 直樹, 中江 治道, 國井 伸, 吉田 香果, 奥村 明彦, 石川 哲也, 福沢 嘉孝, 各務 伸一
2006 年 48 巻 7 号 p.
1425-1430
発行日: 2006/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
今回われわれは細径内視鏡を用い,対象症例を内視鏡の経鼻挿入によりPEGを行う群(経鼻群)と,経口挿入により行う群(経口群)に無作為に振り分け,施行時間やバイタルサインなどを比較検討した.PEGはpull法を用いた.経鼻群の胃瘻造設中の嘔吐反射回数,検査中の血圧,脈拍数の上昇率はいずれも経口群より低く(p<0.05),経鼻群は苦痛とストレスの緩和に有用で,安全性は経口群と同等である可能性が示された.
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笹川 哲, 肱岡 泰三, 中村 佳子, 重川 稔, 巽 理, 疋田 隼人, 児玉 隆之, 井上 祐子, 石井 修二, 小瀬 嗣子, 津田 南 ...
2006 年 48 巻 7 号 p.
1431-1436
発行日: 2006/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は71歳の女性.主訴は心窩部痛.入院時の血液検査では軽度炎症所見を認めたが,胸腹部単純X線像では腹腔内遊離ガス像などの異常所見を認めなかった.上部消化管内視鏡検査にて胃幽門前庭部小彎に爪楊枝の刺入を認め,爪楊枝による胃穿孔と診断した.腹部超音波,腹部CTでは,刺入部周囲の限局性腹膜炎を認めたが,周囲臓器損傷はなく,内視鏡的に爪楊枝を抜去し,絶食,経鼻胃管留置,抗生剤投与の保存的治療により軽快した.
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森川 充洋, 林 裕之, 細川 治, 海崎 泰治, 道傳 研司, 服部 昌和, 武田 孝之, 谷川 裕, 渡辺 国重
2006 年 48 巻 7 号 p.
1437-1441
発行日: 2006/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例はVon Recklinghausen病の75歳女性.直腸カルチノイド,甲状腺癌,肝内胆管癌の手術歴があり,今回,腹部CTにて十二指腸乳頭部の腫瘍を認めた.十二指腸乳頭部癌の診断にて膵頭十二指腸切除術を施行し,組織学的には腺癌とカルチノイドの乳頭部衝突癌であった.本例はVon Recklinghausen病に,今回の乳頭部衝突癌の罹病で5重癌の合併を認めた極めて稀な症例と思われ報告した.
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中嶋 隆彦, 平井 聡, 國谷 等, 中村 暁, 杉山 敏郎, 田中 三千雄
2006 年 48 巻 7 号 p.
1442-1446
発行日: 2006/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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直腸S状部周囲膿瘍に対し内視鏡的切開排膿術を施行し治癒し得た症例を経験した.症例は41歳の男性で主訴は発熱と下痢.血液検査で高度の炎症反応を認め,MRIでは直腸S状部に接して仙骨前方に周囲結合織と明瞭な隔壁で境界される腫瘤を認めた.超音波内視鏡検査では第3層から外側に低エコー腫瘤が描出され,直腸粘膜下膿瘍と診断した.内視鏡的切開排膿術を施行後,症状は改善した.膿汁の培養ではTorulopsis glabrataが検出された.この様な治療法によって治癒せしめた直腸周囲膿瘍の報告は極めて少ない.
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毛利 貴, 羽田 丈紀, 安江 英晴, 後町 武志, 篠田 知太朗, 田中 知行, 増渕 正隆, 千葉 諭, 矢永 勝彦
2006 年 48 巻 7 号 p.
1447-1451
発行日: 2006/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は80歳,女性.右下腹部痛を主訴に近医受診し,精査目的で当院婦人科紹介され,腹部CTで右下腹部に一部膀胱に接する嚢胞性病変認め当科紹介となった.下部消化管内視鏡検査施行したところ,虫垂開口部の開大と同部の粘液貯留所見を認めた.膀胱鏡では潰瘍を伴う浮腫状の粘膜が観察された.以上より膀胱浸潤を伴う虫垂粘液嚢胞腺癌を強く疑い,回盲部切除術および膀胱部分切除術を施行した.切除標本では虫垂壁は肥厚しており,虫垂内腔にはゼリー状の粘液が充満していた.虫垂の粘液嚢胞腺癌の内視鏡検査では粘膜下腫瘍を思わせる隆起性病変の報告はあるが,実際に虫垂開口部の粘液の貯留を確認できた症例は稀と考え報告した.
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大島 敏裕, 糸井 隆夫, 祖父尼 淳, 栗原 俊夫, 土屋 貴愛, 青木 貴哉, 宮田 祐樹, 篠原 靖, 芹澤 博美, 森安 史典
2006 年 48 巻 7 号 p.
1452-1459
発行日: 2006/07/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
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症例は67歳,女性.主訴は黄疸.各種検査により,胆嚢癌,胆管浸潤と診断.経皮経肝胆管ドレナージを施行し,2本のCovered Self-Expandable Metallic Stentを両葉に留置した.半年後下部胆管末端に新たな乳頭状腫瘍を認め,YAG laser焼灼術を行った.しかし6カ月後,多量の不正出血がみられ,その後全身状態は増悪し永眠された.剖検では胆嚢癌,下部胆管癌,子宮頸癌の三重複癌の診断であった.
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和田 将弥, 岡部 純弘, 山本 修司, 木本 直哉, 岡田 明彦, 河南 智晴, 滝本 行延, 織野 彬雄, 今井 幸弘, 千葉 勉
2006 年 48 巻 7 号 p.
1460-1467
発行日: 2006/07/20
公開日: 2011/05/09
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症例は66歳男性.体重減少,黄疸を主訴に当科を受診した.CTにて膵頭部に8cm大の膨張性に発育する充実性腫瘤が認められた.内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)では膵頭部主膵管内に鋳型状の陰影欠損像が描出された.超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(EUS-FNAB)にて膵腺房細胞癌と組織診断され,全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が施行された.病理組織学的検索では主膵管,副膵管内に腫瘍栓の充満を認め,著明な主膵管内発育を伴っていた.
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田岡 伸朗, 稲葉 知己, 和唐 正樹
2006 年 48 巻 7 号 p.
1468-1469
発行日: 2006/07/20
公開日: 2011/05/09
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藤崎 順子, 齋藤 充生, 山本 頼正, 帯刀 誠, 石山 晃世志, 土田 知宏, 高橋 寛, 星野 惠津夫, 五十嵐 正広, 藤田 力也, ...
2006 年 48 巻 7 号 p.
1470-1479
発行日: 2006/07/20
公開日: 2011/05/09
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現状の上部拡大内視鏡では電子拡大内視鏡先端に透明フードを装着し,ピントを合わせることにより最大倍率80倍で観察可能である.早期胃癌における,Narrow Band Imaging(NBI)を併用した拡大内視鏡による表面毛細血管パターン,表面微細構造には特徴的な所見があった.表面毛細血管パターンでは,高分化型腺癌では網目型,中分化腺癌では楕円型,低分化型腺癌では不規則,と特徴的な血管パターンを呈した.このパターンを基本に微小胃癌の内視鏡的な組織診断をすることが可能である.現状では生検なしに早期胃癌の内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection:EMR)をすることは不可能であるが,通常内視鏡検査時にNBI併用拡大内視鏡を使用することで,良性びらんと微小胃癌との鑑別がある程度可能であり,無用な生検数を減らすことができる可能性がある.
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乾 和郎, 芳野 純治, 三好 広尚, 若林 貴夫, 奥嶋 一武, 中村 雄太, 服部 外志之, 中澤 三郎
2006 年 48 巻 7 号 p.
1480-1484
発行日: 2006/07/20
公開日: 2011/05/09
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【背景】われわれは胆道癌の診断に経皮経肝胆道鏡(PTCS)を行ってきた.悪性を示唆する内視鏡所見で最も重要なのは粘膜の血管増生である.デジタル画像処理の進歩により粘膜のhemoglobin量(血管増生)をhemoglobin index (IHb)として評価することができるようになった.そこで,われわれは胆道狭窄の良悪性の鑑別診断におけるIHbの臨床的有用性を検討した.【方法】2000~2002年に,PTCSを行った22例の胆道狭窄(胆管癌8例,十二指腸癌1例,膵癌5例,良性胆道狭窄8例)を対象とした.8例は切除標本,他は生検による組織片で病理診断を行った.各疾患の胆道鏡像から解析したIHbを正常部と狭窄部粘膜の比で検討した.【結果】各疾患におけるIHb比は,胆管癌1.83,十二指腸癌1.98,膵癌1.35に対し,良性胆道狭窄では1.09であった.すなわち,悪性例においてIHbは有意に高かった(p< 0.05,t検定).【結論】IHbによる胆道狭窄の鑑別診断は有用である.
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責任者:河合 隆
山岸 哲也, 片岡 幹統
2006 年 48 巻 7 号 p.
1485-1488
発行日: 2006年
公開日: 2024/01/29
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