日本消化器内視鏡学会雑誌
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25 巻, 1 号
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  • 加藤 修, 服部 和彦, 鈴木 孝, 館野 文美雄, 湯浅 友代, 重松 忠, 山近 仁
    1983 年 25 巻 1 号 p. 3-6_1
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     長径20mm以上の8症例8病巣の胃の異型上皮に対して,経内視鏡的にNd:YAGレーザー治療を試み,良好な結果を得た.対象とした隆起型異型上皮は,全例,広基性で内視鏡的ポリペクトミー適応外と考えられたもので,5例5病巣は幽門前庭部に,3例3病巣が体下部に存在した.大きさは,最小のもので25×11mm,最大のもので65×60mmであった.内視鏡的レーザー治療後,重篤な偶発症は,全例に認められなかった.術後潰瘍は7例7病巣で3乃至4週で治癒し,当該部位の生検でも異型上皮は認められなかった.大きさ65×60mmの異型上皮の1例は,現在なおレーザー治療中である. 胃切除術による異型上皮巣の詳細な病理組織学的検索をする術はないが,従来,胃切除の対象と考えられて来た長径20mm以上の広基性の隆起型上皮に対する処置は,今後,内視鏡的レーザー治療法に委ねても可能であると考えた.
  • 戸倉 康之, 神谷 隆, 大石 俊明, 鈴木 敏生, 中井 勝彦, 馬場 正三, 阪口 周吉, 金子 栄蔵
    1983 年 25 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     十二指腸潰瘍の外科治療に対し,広範囲胃切,幹迷切兼幽門形成術などに加えて,選択的近位迷切神経切断術(以下,選近迷切と略す)が,わが国でも徐々に普及されてきた.選近迷切は,幹迷切にくらべ,好ましくない副作用も少なく,より合理的な術式と考えられるが,再発などの問題も含め,その術後病態生理的な面は意外と解明されていないように思われる.その1つに,選近迷切と胃血流量の問題がある.本研究では,宮本らによって導入された経内視鏡的水素ガスクリアランス法を用い,実験的に犬を用い,選近迷切の胃粘膜下血流量におよぼす影響を麻酔下で経時的に1カ月間観察した.選近迷切直後,胃血流量とくに,体部の血流量は34%減少するが,術後7日目にはすでに術前値に回復し,術後14日目,21日目では,逆に,前庭部,体部とも一過性に増加した.しかし,術後28日目には,再び各血流量はいずれも術前値にもどった.接合部では,この一過性の上昇は認められなかった.以上の結果より,選近迷切の胃血流量におよぼす影響は軽度で,短期間に消失するものと考えられた.
  • 丸山 雅一, 杉山 憲義, 佐々木 喬敏, 大橋 計彦, 竹腰 隆男, 藤井 彰, 村上 義史, 高木 国夫, 高橋 孝
    1983 年 25 巻 1 号 p. 17-28
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     消化管のX線診断および内視鏡診断情報をコンピュータ処理するためにAmerican College of Radiology (ACR)によるIRD(Index for Roentgen Diagnoses)コードの修正・追加を行なった.IRDは解剖コード, 病理コードから成るが,われわれは前者を部位コード,後者を診断コードとして分離し,二つのコード体系をX 線診断および内視鏡診断の両方に使用可能なように修正した. 部位コードでは,食道・胃・十二指腸において高さの表示だけでなく,壁在性の表示ができるようにし,診断コードでは,潰瘍および腫瘍の部分にわが国の診断学の実状に沿う形で修正を加えた. このような診断情報をコード化する作業はコンピュータを実際に利用するための第一段階としてもっとも重要なものである.
  • 丸山 雅一, 杉山 憲義, 佐々木 喬敏, 大橋 計彦, 竹腰 隆男, 藤井 彰, 村上 義史, 高木 国夫, 高橋 孝
    1983 年 25 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     前論文で発表した修正IRDコードを基に,消化管の内視鏡検査情報をコンピュータに入力するための入力画面設計の概要を述べるとともに,X線,内視鏡を中心とした検査情報システムの試作について述べた.使用したコンピュータはIBMシステム/34(オフィスコンピュータ)である. 入力画面には,患者ID(カルテNO.),氏名,生年,および性別(以上マスターファイル)からはじめて検査年月日,科別,使用機種,前投薬の種類などを入力項目とし,実際の診断信報の入力では,修正IRDを中心に,生検,ポリペクトミーの有無,採取標本の数,生検病理診断などをワンステップで記載するようにした. 検査情報のシステム設計では,X線精密検査,内視鏡検査などの追加検査未受診者のリストを作成してfollow upに利用できるようにするとともに,診断別,部位別の例数件数表,個人別検査歴,X線一内視鏡対応表などの自在リストを適次,あるいは月次,年次の形で出力するようにした. コンピュータの導入計画からシステム設計の過程においては医師とシステムエンジニアおよびプログラマーとの積極的な討論が必要であることを強調した.
  • 山口 昌之, 飯田 洋三, 佐高 万理夫, 竹内 憲, 斉藤 満, 原田 元, 多田 正弘, 宮崎 誠司, 五嶋 武, 平田 牧三, 榊 信 ...
    1983 年 25 巻 1 号 p. 39-47
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     消化性潰瘍の大きさを内視鏡的に計測する方法は,これまで鉗子口からメジャーを挿入する方法が主に用いられていた.しかし,Sonnenbergらがこの方法の信頼度について批判的見解を発表して以来,いくつかの新しい内視鏡的計測法が試みられるようになった. 著者らは町田製作所が開発した計測用内視鏡を試用する機会を得た.この装置の病変計測の原理は内視鏡の対物レンズから病変までの距離を実測し,そのときの撮影された病変の拡大率を計算するものである. 本装置による計測では,病変の描写能を損わない範囲で画面の中心部分に病変を写しこめば,光学系の歪曲収差による測定誤差は無視しうることがわかった. この方法による測定精度は,胃外での検討での誤差率は,直径10mmの病変モデルの直径測定で3.2±2.6%,25mmの病変モデルで1.8±1.7%であった。 一方,胃内での病変モデルの計測の誤差率は5.0±5.7%~8.8±2.0%,さらに実際の胃潰瘍20病変の測定における全体の誤差率は7.8±6.8%であった. すなわち,本法は胃潰瘍の経時的縮小率を測定するのに充分な精度を持っていると評価できた. 一方,従来の内視鏡的計測法はその精度がin vitroで評価されているが,実際の臨床的応用に際しては,それのみでは不充分で,胃内での精度検定が心要であることがわれわれの検討であきらかになった.
  • 伊藤 克昭, 杉浦 弘, 小林 世美, 春日井 達造
    1983 年 25 巻 1 号 p. 48-55_1
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     生検診断GroupIIIの隆起型病変131例のうちから経過を追跡し得た63例について,形態学的及び組織学的診断の変化を検討した成績を報告し,臨床的取扱いに関して考察を加えた. 63例中15例(24%)が最終的に癌と診断されたが,8例は初回生検後1年未満(生検回数1~3回)の時機に手術され癌の確診を得た.他の7例は長期間経過観察の後に最終的に癌と診断された症例でこのうち2例は経過中当該病変が段階的に増大し,9年と10年後に広範な白色調隆起となった.最終生検はなおGroupIII であったが,病巣内にfocal carcinomaが発見された.更に,残る5例においても癌との関連が強く示唆され,定期的な経過観察が重要であることを改めて痛感した.3年以上経過観察の20例中9例が形態的著変を示し,そのうちの7例が癌であるか,もしくは病巣内に癌を併存していた結果から従来癌化を否定する報告が多いが,この病変に対する臨床的取扱い,殊に長期間観察例に対しては厳格なfollow-upの重要性を改めて強調したい.
  • 江崎 昌俊, 平塚 秀雄, 西坂 剛, 米川 元樹, 葛西 洋一, 黒田 寛人, 竹本 忠良
    1983 年 25 巻 1 号 p. 56-62_1
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃癌,大腸癌における新鮮切除標本のレーザー光励起蛍光スペクトル分析と病理組織学的関連性について検討を行なった.この結果,スペクトルは大きく2つの型に分類された.一方は約560,600,660nmのピークを有し,標本の部位や良・悪性にかかわらず共通に認められるものである.他方はこれらのピークに加えてさらに約630,690nmのピークを伴ない,非癌部には認められず,ボールマンII,III 型の大腸癌に比較的特有であった.この630,690nmのピークは腫瘍に自然に集積したポルフィリンの蛍光と推測される.蛍光強度の病理組織学的対比については,蛍光強度は組織学的部位によって差異がみられるが,良・悪性や癌の組織学的分類との関係は認めなかった.蛍光像の肉眼的観察のみでは蛍光強度の差を色情報と混同したり,不均一照明によって人為的な蛍光強度の差を生じたり,フィルターによる蛍光発生やフィルム特性など各種の問題があり,蛍光スペクトル分析を行なうことの必要性を考察した.
  • 奥田 順一, 山本 実, 今岡 渉, 武知 桂史, 井田 和徳
    1983 年 25 巻 1 号 p. 63-71
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡全般の診断精度向上のために,斜視型(GIF-K2M,最高倍率10倍)と直視型(GIF-HM-20,最高倍率20倍)の2種の拡大内視鏡を試作し,色素法下に試作拡大内視鏡と従来の拡大内視鏡の観察能を種々の胃・十二指腸疾患に用いて,初回検査使用への可能性について検討した. GIF-K2Mはやや低倍だが,直視型に比して操作性は容易で,通常観察から拡大観察までできる内視鏡として,初回検査に十分使用可能であった.GIF-HM-20は視野を広角にし,倍率を20倍とやや低くし,ルーチン検査にも応用しやすいようにしたが,挿入困難例が少数あり,焦点合せも幾分難しく,初回検査にはやや不適当であった.今後ルーチン検査に応用するには15倍前後の拡大率をもつ斜視型の内視鏡の開発が望まれる. 胃癌,胃潰瘍,胃びらんなどの性状診断,十二指腸絨毛の観察には10倍前後の拡大率で観察可能であったが,微細な拡大模様像の観察には20倍以上の拡大率が必要であった.また,色素法の併用は病変の拾い上げ能を高め,拡大観察時の焦点合せが容易となり,診断精度向上のために有用な方法であった.
  • 井戸 健一, 堀口 正彦, 川本 智章, 上野 規男, 長沢 貞夫, 吉田 行雄, 木村 健, 広田 紀男
    1983 年 25 巻 1 号 p. 72-76_3
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     アルゴンレーザ光励起によるヒト肝癌固有蛍光の腹腔鏡による観察を行った.肝細胞癌5例のうち3例に,腫瘍に一致して周辺より強い固有蛍光を認めた.蛍光は腫瘍の一部にみられ,全体にみられるわけではなかった.肝硬変4例の結節には1例を除いて固有蛍光を認めなかった.固有蛍光を有する再生結節は,調べ得た範囲では肝癌ではなかった. 一方,剖検肝癌標本の割面のレーザによる観察を行った3例は,全例に腫瘍に一致した境界明瞭な強い固有蛍光が認められた.また癌以外に,肝被膜,肝の線維,脈管壁ににも蛍光が認められた. 腫瘍のどのような物質が蛍光を発するのか,癌と他組織の蛍光が同じ波長か否か不明であるなどの制約はあるものの,レーザ腹腔鏡は肝表面の微小な癌の診断に有用な補助手段となりうるものと思われた.
  • 河村 奨, 竹本 忠良, 富士 匡, 太田 安英, 常岡 健二, 前田 宏, 小越 和栄, 丹羽 正之, 関谷 千尋, 並木 正義, 原田 ...
    1983 年 25 巻 1 号 p. 81-94
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     今回,消化器内視鏡検査のなかでも,とかく被検者への負担を長い時間強要しやすいERCP検査に,鎮静鎮痛を目的として,30%N20-premixedgasを使用し,従来法と比較検討を行った.吸入は鼻マスク非再呼吸式で,持続81/minの量を検査終了まで吸入させた.検討対象は吸入群52例,未吸入群41例で,吸入群において不利な背景因子が多かった.それにもかかわらず,吸入群では検査中落ちついて痛みが少なく,検査を受けることができたものが多く,それも検査前不安の強いものほど効果が大であった.また,ERCP2回以上受検例での検討や所要時間短縮感,術者の総合評価からみて,その吸入効果が実証された.ERCP検査自身による随伴症状の軽減には,あまり期待はできなかったが,重大な副作用や合併症は経験されなかった.それからまた検査中の被検者との意思疎通はよく保たれ,吸入効果もほぼ理想的であったので,この笑気吸入鎮静法はERCP検査時に有効であると判断した.
  • 香津 美知子, 五嶋 武, 加藤 展康, 尾中 良久, 河村 奨, 岡崎 幸紀, 竹本 忠良
    1983 年 25 巻 1 号 p. 95-100_1
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     63歳男性,タール便,嗄声で来院した.内視鏡で胃角部の浅くて広い潰瘍と,胃体下部の多発性潰瘍を認めた.血液ガス分析では,PCO259mmHg,PO255mmHgとhypercapnia,hypoxiaを示した.喉頭鏡では,声帯の偏位をともなった喉頭癌が認められ,放射線照射後,喉頭全摘術を施行し,術後経過は良好で,現在,潰瘍の再発を認めていない.本論文では,hypercapnia,hypoxiaという点で共通点のある慢性閉塞性肺疾患における胃十二指腸潰瘍発症の機序について若干の検討を試み,最近関心がうすれている慢性肺疾患と潰瘍との関連を考慮することの必要性を強調した.
  • 森瀬 公友, 加藤 肇, 加藤 義昭, 西川 久和, 林 伸行, 大館 俊二, 林 靖, 吉田 均, 長谷川 義夫, 桑原 敏真, 楠神 和 ...
    1983 年 25 巻 1 号 p. 101-107
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     一部に癌化を伴い大量出血をきたした胃多発過形成性ポリープの1例を経験したので報告する.患者は69歳の女性で,吐血を主訴として入院した.1年3か月前に,患者は胃多発ポリープと診断されていた.緊急内視鏡検査で胃角部前壁のポリープが出血源と診断された.再出血のため,緊急手術が施行された.切除標本では,胃角部に3個の有茎性ポリープを認めた.前壁のポリープの大きさは45×40mmで,中央部に8×5mmの潰瘍を認めた.ポリープの組織型はすべて過形成性ポリープであったが,詳細に病理標本を検討した結果,前壁ポリープの表層に7mmの範囲で癌化が認められた.過去7年間に経験した胃ポリープ221例の検討では,大きさが20mm以上のものの出血率,癌化率は20mm未満のものに比して有意に高率であった.本症例は,胃巨大ポリープは経過中に大量出血,癌化等の危険性が生ずることを示唆するものであり,胃巨大ポリープは発見された時点で内視鏡的ポリペクトミー,手術等の適切な処置が必要であると考えられる.
  • 中西 徹, 大森 美和, 坂田 泰昭
    1983 年 25 巻 1 号 p. 108-111_1
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃幽門前庭部の急性対称性潰瘍は特異な像を呈しIIc型早期癌との鑑別を要する.更に稀であるが潰瘍瘢痕が隆起を呈することがありこの場合IIa型早期癌との鑑別診断も必要となってくる.われわれは今回急性胃幽門前庭部対称性潰瘍の経過中に隆起型潰瘍瘢痕を呈し長期残存した症例を経験したので報告する. 患者は35歳の男性で腹痛,悪心,嘔吐を訴え当科受診し,上部消化管透視で胃前庭部に不整形潰瘍と著明な粘膜ヒダ集中を認めた.内視鏡検査では幽門前庭部の前後壁に対称性に潰瘍を認め生検施行したが悪性所見はなかった.1カ月加療後内視鏡再検すると前後壁の潰瘍はともに著明な粘膜ヒダ集中とその中央部にIIa様隆起を認めた.その後の経過で後壁病変は通常の瘢痕となったが前壁病変はIIa様隆起が残存し,発症後約8カ月後も不変という極めて稀な経過を示した.この前後壁の病変の経過の差異の原因は不明である.
  • 山本 和秀, 石川 哲, 迫田 秀治, 朝倉 康景, 須藤 淳一, 小林 和司, 篠原 昭博, 小林 敏成, 吉岡 一由, 佐藤 博道
    1983 年 25 巻 1 号 p. 112-115_1
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胆のうadenomyomatosis(segmental type)の1例とその腹腔鏡所見を報告した.症例は46歳,女性で,上腹部痛,微熱を主訴に入院した.一般検査では特に異常を認めなかった.経静脈性胆のう造影と内視鏡的逆行性膵胆管造影で,砂時計形の胆のう変形を認めた.胆のう切除術を施行し,組織学的に胆のうadenomyomatosis (segmental type)であった. 胆のうadenomyomatosisの腹腔鏡所見は未だ報告されていない.本症例の胆のうは腫大し,乳白色,一部淡紅色の色調変化,多数の細血管と漿膜下出血を認めた.胆のうと周囲臓器との癒着は観察されなかった. 今後更に多数の症例の所見を検討する必要があると思われる.
  • 児玉 隆浩, 沼 義則, 小西 知己, 半田 哲朗, 小田 正隆, 江崎 隆朗, 香津 美知子, 坪田 和歌子, 安藤 啓次郎, 福本 陽平 ...
    1983 年 25 巻 1 号 p. 116-122_1
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     21歳,女性の結核性腹膜炎患者に対し,病状の極期より治癒までにわたって3回の腹腔鏡検査を行い,病変の推移を経過観察した.極期では壁側,臓側腹膜に黄白色,米粒大の多発群生する結節がみられ,同部より鉗子生検を行い結核結節と確診された.化学療法により病状は急速に軽快し,3カ月後に第2回目の同検査を行ったが,腹腔内の結節は著明に縮小,消褪し,あとには強い発赤がみられた.肝表面にはZuckerguβleberが出現し,また腹壁との癒着が前回に比べ著明であった.さらに4カ月後第3回の検査を施行したところ,結核結節は全く消失し,発赤所見も軽微となっていた.肝表面のZuckerguβleberはさらに著明となり,腹壁との癒着はレース状に認められ,その程度も増強していた.この時点で内視鏡的に結核性腹膜炎の治癒が確認され,患者は社会復帰した.このように同症に対する経時的腹腔鏡検査は治療効果の判定,病期の判定を行う上で非常に有意義である.
  • 小野 美貴子, 相馬 智
    1983 年 25 巻 1 号 p. 125-128
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     太径の新型パピロトーム(旭光学,ID-1819,2019)を用いて10例の内視鏡的乳頭括約筋切開術を施行した.このパピロトームは刃の形状が"ふかのヒレ"型をしており,歪力に強く,変形しにくい.刃の出る部分は,パピロトーム先端から15mmにあり,ここから30mmまでの部分が切わたり"である.先端部のカニューレは,口側縦ヒダを強調させるのみならず,嵌屯結石の突き上げや,切開前後のカニュレーションに適している. "ひれ"の背の部分は切開に使用され,小切開(minicutting)にも使用できる。また,手元側はテフロンで被覆され,スコープへの漏電を防止している.パピロトームは1.8mmφ(ID-1819)では右に向いてしまい方向是正が困難であったが,2.0mmφ(ID-2019)では解消された. 10例全例に満足すべき切開口が得られ,従来の機種より有用である事が証明された.
  • 井戸 健一, 川本 智章, 上野 規男, 堀口 正彦, 吉田 行雄, 長沢 貞夫, 酒井 秀朗, 木村 健
    1983 年 25 巻 1 号 p. 129-135
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     アルゴンレーザ光を光路切替え装置と光ファイバーケーブルによって,遠隔の複数の内視鏡検査室に分配するシステム(LAPODシステム)が町田製作所ならびに古河電気工業によって開発され,われわれの施設ではじめて実用化した. 遠隔の検査室とは,160m離れたレントゲン室,135m離れた外来手術室,55m離れた内視鏡室である.レーザ発振器設置個所で波長と回路の選択を行うと,あとは各検査室の信号端末装置にて遠隔装作が行える.ヒトに対する安全性,光ファイバー切断時の火災等を考慮して,二重三重の安全装置が組み込まれた. 各種レーザ内視鏡検査は,本システムによって最も適切な検査室で自由に行えるようになり,利用範囲の拡大,検査の効率化に有用であった.
  • 多田 正大, 田中 義憲, 川井 啓市
    1983 年 25 巻 1 号 p. 136-140
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     小腸内視鏡検査が普遍化できない理由の1つとして,高価なfiberscopeを目的に応じて何本も用意せねばならない点にあった.そこでロープウェイ式とプッシュ式の両方の挿入方法で検査を行うことのできる,いわば多目的な使用が可能な小腸fiberscope(SIF-RP)を開発し臨床に応用してみた.その臨床成績は従来のロープウェイ式専用鏡SIF-2C,プッシュ式専用鏡SIF-Bと比較して,挿入率,操作性ともに十分に満足のゆくものであった.そこで本器種の開発によって,スコープの経済性の面からも小腸内視鏡検査法は普遍化しやすくなるものと期待された.
  • 1983 年 25 巻 1 号 p. 141-145
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 25 巻 1 号 p. 146-170
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 崎田 隆夫
    1983 年 25 巻 1 号 p. Preface1-Preface2
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 城所 仂
    1983 年 25 巻 1 号 p. Preface3
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2011/05/09
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