【目的】われわれは悪性中下部胆管閉塞に対するcovered Wallstentの閉塞率が低い一方で,stent関連偶発症が多いことを報告した.今回ステントの特徴に基づいたcovered Wallstentの新しい挿入法の導入によりステント関連偶発症を減少することができるかを検討した.
【方法】悪性中下部胆管閉塞に対して2001年10月から2003年10月までに留置した69例と,その後,2003年12月から2007年1月までに新しい挿入法で留置した69例の計138例を対象とした.新しいステント挿入法として,主膵管への癌浸潤がない症例では乳頭切開を行うことにより膵炎を予防し,胆管のキンクとステント逸脱を防ぐ目的で,長いステントを,狭窄中央部にステント中央部が位置するように留置する方法を用いた.前向きに集積されたデータを後ろ向きに比較検討した.
【結果】Tumor ingrowthはいずれの群でも認めず,ステント閉塞率はGroup1で18.8%,Group2で23.2%であった.ステント関連偶発症の発症率は,Group1で39.1%,Group2で30.4%と有意差を認めなかったが,3カ月以内のステント関連偶発症は,Group1の22回から,Group2の13回に減少した.また,生存期間とステント開存期間については,2群で差を認めなかったが,Event free survivalの中央値は,Group1の125日からGroup2の268日へ延長を認めた(P=0.020).
【結論】われわれのcovered Wallstentの新しい留置法により,event free survivalの延長を認めた.
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