日本消化器内視鏡学会雑誌
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53 巻, 10 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
総説
  • 丹羽 寛文
    2011 年53 巻10 号 p. 3241-3260
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/30
    ジャーナル フリー
    二重造影法は日本で開発されたと思われているが,二重造影法を最初に開発し報告したのは日本では無い.二重造影法はドイツのFischerが薄いバリウムを使って大正12(1923)年に発表したのが最初で,濃厚なバリウムを使っての大腸の二重造影法は,スエーデンのWelinが昭和28(1953)年に発表している.何れも大腸が対象で大腸ポリープの診断を目的としていた.筆者は若干変更した変法を昭和45年に報告し,その後かなりの症例を経験した.以下Fischer法とWelin法について詳述した.
    なお筆者は昭和45(1970)年7月にWelin教授をマルモに尋ねたが,すでに彼は定年で退官しており,後任のProf. Boijsenに共同研究者のAndren講師を紹介され,詳細を教わった.
    Fischer法は薄いバリウムを使っての二重造影法で,バリウムの付着が悪く諸施設で実施されてはいたものの評価は低く,その後忘れ去られた.一方濃厚バリウムを使うWelin法は,良好な二重造影像が得られた.原法ならびに筆者の変法による当時行った実例を提示し,Welin法並びにその変法の特徴,利点を詳述した.筆者が行ったのは,大腸ファイバースコープの開発とほぼ同時期で,両方法の開発発展に相互に良い影響があったと思っている.
  • 金井 隆典, 緒方 晴彦, 細江 直樹, 岩男 泰, 日比 紀文
    2011 年53 巻10 号 p. 3261-3271
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/30
    ジャーナル フリー
    炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease;IBD)には潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis;UC)とクローン病(Crohn's disease;CD)があり,およそ40年前までは欧米にのみに存在する腸管難病と考えられていた.近年,本邦においても罹患数,累積患者数は急激に増加し,現在ではUCは12万人,CDは3万人を超し,いまなおさらなる増加が予想されている.両疾患とも,進学,就職,結婚,出産と人生にとって最も未来に輝く10-20代の若者に,主に下痢,血便,腹痛,発熱などの症状で襲う原因不明の慢性免疫異常の疾患であり,いまでも根治が難しいのが現状である1).これまでは,5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA),ステロイド剤,免疫調整薬,栄養療法といった限られた製剤等が治療の主体であったが,最近10年で疾患に関わる特異的分子に対する抗体(生物学的製剤;Biologics)を用いた治療が両疾患に応用されるようになり,治療体系が一変している2).一方,治療法の選択決定にはUC,CDいずれにおいても病型,臨床活動度とともにさまざまな画像診断モダリティーによる活動度評価もきわめて重要である.また,UC合併大腸腫瘍の内視鏡スクリーニングについても現在,活発に議論されている.本稿では,日進月歩の画像診断モダリティーがいかにUCの治療法決定に用いられてきたか,その変遷も含め解説する.膨大な過去の文献の中からできるかぎり多くの代表的なものを抽出するよう努めたが,より詳細な解説は他稿を参照されたい.
症例
経験
  • 東納 重隆, 森田 靖, 三浦 美貴, 中村 暢和, 古田 良司, 深山 泰永, 山中 昭良, 北條 裕
    2011 年53 巻10 号 p. 3317-3325
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/30
    ジャーナル フリー
    人口の高齢化に伴い,抗血栓薬内服中の症例が増加している.病態によっては抗血栓薬の中止が大きな合併症を伴う危険性があるため,必要最小限の抗血栓薬を継続し合併症に注意しながら内視鏡処置を実施する必要がある.今回,抗血小板薬継続下で内視鏡下生検を実施した上部140症例375生検,下部37例75生検について合併症の有無を検討した.ほとんどの症例では低用量アスピリンのみの継続で,少数例では複数の抗血小板薬を継続して生検を実施したが,生検後の顕出血や輸血を実施した症例は認めなかった.低用量アスピリンを含んだ抗血小板薬の継続中でも,内視鏡下生検を注意深く行うことで,生検に伴う出血が増加することはなかった.
  • 東納 重隆, 森田 靖
    2011 年53 巻10 号 p. 3326-3335
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/30
    ジャーナル フリー
    人口の高齢化に伴い,さまざまな抗血栓薬を内服中の症例が増加している.本邦のガイドラインでは高危険度の内視鏡処置の際には抗血栓薬を休薬することが推奨されているが,患者の病態によっては抗血栓薬の中止が大きな合併症を引き起こす可能性がある.今回,早期胃癌などに対するESDを実施した219症例232病変について合併症の有無を検討した.もともと抗血栓薬を内服していない群に比較すると,抗血栓薬単剤の内服をしていた群では抗血栓薬を休薬した場合も継続した場合(すべて低用量アスピリン)も出血の危険性は大きく増加しなかったが,複数の抗血栓薬を服用していた群では薬剤再開後に出血をきたす危険性が非常に高かった.アスピリンのみの内服であれば内視鏡治療の危険性は比較的少なく,ESDなどの内視鏡治療も実施可能であると思われたが,複数の抗血栓薬を再開する場合には危険性が高く,厳重な注意が必要であると思われる.
注目の画像
新しい手技・処置具・機器
手技の解説
  • 岡 志郎, 田中 信治, 高田 さやか, 金尾 浩幸, 茶山 一彰
    2011 年53 巻10 号 p. 3340-3348
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/30
    ジャーナル フリー
    本邦において大腸ESDは保険収載されておらず,先進医療として施行されているが,手技の工夫,処置具,周辺機器の改良・進歩により徐々に安全性や簡便性が確立されつつある.現在,日本消化器内視鏡学会で大腸ESDの有効性と安全性確認のための多施設共同前向きコホートスタディーが進行中である.本稿では,大腸ESDの適応病変と実際の方法についてわれわれの手技を中心に解説した.
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