消化管内視鏡はファイバー7,コープ.からビデオスコープ(電子内視鏡)へ不多行し,診断・治療に大きな進歩をもたらした.一方,膵管内視鏡については,現在もファイバースコープが用いられているが,画像の解像度の低さなど問題点も多い.膵管内に挿人可能な,超小型の電子内視鏡は,その開発が切望されながらも,技術的困難さからこれまで実現しなかったが,近年の電子映像技術の目覚ましい進歩を受け,われわれは1997年に世界最小の電子膵管内視鏡の開発に成功し.臨床応用を行ってきた.電子膵管内視鏡は高解像度の主膵管像が描出可能で,各種膵疾患の診断に有用であり,特にこれまで困難であった膵癌の早期発見に現実性が持てるようになった.他方,同時に挿人性の向上やチャンネル機構の設置といった改善すべき課題も存在した.これらの課題に対し,現在チャンネル機構を備えた次世代電子膵管内視鏡を開発し,臨床応用を開始したところである.将来電子膵管内視鏡検査の普及により,膵疾患の画像診断が大系化され,慢性膵炎や早期膵癌の内卒見鏡診断が確立されていくものと期待される.
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