日本消化器内視鏡学会雑誌
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42 巻, 11 号
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  • 木村 義人, 大原 秀一, 杉山 幸一, 関根 仁, 及川 圭介, 中山 裕一, 下瀬 川徹
    2000 年 42 巻 11 号 p. 2103-2110
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    超音波内視鏡(EUS)画像上の胃壁5層構造における粘膜筋板の存在部位を音響学的に検討した.EUSで,粘膜筋板が描出された症例と,描出されなかった症例で,超音波顕微鏡を用いて筋板とそれに接する部位の音速を測定したところ,以下の3通りのパターンがみられた.(1)筋板と粘膜固有層との音速の差がほとんどないもの.(2)筋板と粘膜固有層との音速の差が大きいもの.(3)筋板と粘膜固有層との音速の差が小さいもの.以上の結果から(1)ではEUSでは筋板と粘膜固有層の区別ができず,筋板はEUSの5層構造のうち第2層深層に存在.(2)では筋板は粘膜固有層と筋板の間に発生した輝度の高い境界エコーによってかき消され,EUSの5層構造のうち第3層浅層に存在.(3)では筋板は第2層と第3層の間に一条の低エコー帯として描出されると考えられた.すなわち音響学的には,EUSの5層構造ではそれぞれの音響特性に依存し2通りの筋板の存在部位が考えられた.
  • 古川 慎哉, 沖田 俊司, 佐野 正浩, 宮岡 弘明, 岡田 武志, 田中 昭, 恩地 森一
    2000 年 42 巻 11 号 p. 2111-2116
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は87歳女性で,30年前より高血圧にてCa拮抗薬を内服中.1年前より近医で気管支喘息と診断され,気管支拡張剤,抗アレルギー剤を内服.老健施設の入所をきっかけに胸痛,食欲不振が出現しさらに増悪したため当院紹介.上部消化管内視鏡検査で逆流性食道炎と診断し,プロトンポンプインヒビターを投与.以後劇的に喘鳴が消失した.気管支拡張剤,抗アレルギー剤を中止したが喘鳴は再発していない.亀背や高度の便秘などの因子も加わり,胃食道逆流症が増悪し,気管支喘息の発作や増悪の誘因となった可能性が高いと考えられた.
  • 中屋 孝清, 細川 治, 津田 昇志, 渡辺 国重, 武田 孝之, 白崎 信二, 道傳 研司, 林 裕之, 中村 伸一
    2000 年 42 巻 11 号 p. 2117-2122
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は72歳の男性.1993年当院にて直腸癌のために低位前方切除術を施行し,その後毎年大腸内視鏡検査を行ってきた.1997年7月2日にも大腸内視鏡検査を行い,検査中は特に異常を訴えることはなかった.同日深夜より発熱を認めたが,腹部症状の自覚はなかった.末梢血中の白血球数の増加,血小板数の減少,CRPの上昇がみられ,入院治療とした.なお,腹部に圧痛はなく,平坦軟であった.腹部造影CTにて上腸間膜静脈内の血栓の存在が疑われ,腹部血管造影により同静脈の不完全閉塞を確認した.以上の所見より上腸間膜静脈血栓症(SMVT)と診断し,末梢静脈からの血栓溶解療法を開始したところ,血栓の縮小と症状の改善が得られた.SMVTは稀な疾患であり,これまで大腸内視鏡検査に伴う偶発症として報告されたものは見当たらない.腹部手術の既往のある症例で,大腸内視鏡検査後に発熱や腹部症状を呈した場合には,本症も鑑別疾患の1つに挙げて対処する必要がある.
  • 田端 晃博, 清水 泰夫, 畑山 充, 田中 勲, 松本 誉之, 北野 厚生
    2000 年 42 巻 11 号 p. 2123-2128
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.左側腹部違和感と便潜血陽性で当科を受診した.注腸透視と大腸内視鏡検査で下部直腸に立ち上がりが緩やかで表面凹凸状の不整隆起を認め,粘膜下腫瘍と診断して超音波内視鏡検査(EUS)を施行した.病変は粘膜下層に限局した径約1cmの境界明瞭で,ほぼ均一な低エコー領域として描出された.内視鏡的粘膜切除術を施行して病変を完全に切除した.免疫染色を含めた病理組織学的検査と免疫グロブリン重鎖遺伝子再構成解析を施行し,直腸の良性リンパ濾胞性ポリープ(BLP)と診断した.術後2年経過した現在まで再発の徴候はないが,本邦では稀ながら予後良好とされてきた本疾患について,今後mucosa-associated lymphoid tissue(以下MALT)リンパ腫との異同・鑑別が重要になると考えられた.
  • 矢島 佐江子, 今村 真紀子, 高須 政夫, 浅葉 宣之, 佐藤 悦久, 仲吉 健, 川村 直弘, 齋藤 光浩, 徳植 秀樹, 横山 孝典, ...
    2000 年 42 巻 11 号 p. 2129-2134
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は61歳女性.主訴は全身倦怠感と黄疸.肝胆道系酵素の上昇と免疫グロブリンの高値を認めたため腹腔鏡下肝生検を施行したところ,肝表面は起伏性変化を呈し,白色紋理の増生を認めた.組織像は門脈域の拡大およびリンパ球と形質細胞の浸潤を認め,自己免疫性肝炎と診断した.入院中に下血したため精査したところ,大腸内視鏡所見および生検組織像より潰瘍性大腸炎と診断された.両疾患の合併の報告は本邦では稀であり貴重な症例と考えられた.
  • 枝 幸基, 渋谷 大助, 矢島 義昭, 高橋 信孝, 宮崎 敦史, 大平 誠一, 長沼 廣
    2000 年 42 巻 11 号 p. 2135-2141
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は47歳女性.肝硬変で加療中であったが突然多量に下血し,緊急大腸内視鏡検査を施行した.上行結腸にフィブリン栓を伴う屈曲蛇行した粘膜下腫瘍様で直径約1cmの血管病変を認めた.結腸静脈瘤からの出血と診断し,α-cyanoacrylate monomer(CA)を用いた硬化療法により止血した.その後再出血もなく経過良好であったが,5カ月後に局注部位の狭窄をきたし,上行結腸切除術を施行した.組織学的検討では虚血性変化ではなく,組織内にとどまったCAにともなう炎症に起因する瘢痕狭窄であった.門脈圧亢進症に合併した大腸静脈瘤の報告は少なく,これまでCAを用いた報告はない.その有効陛と問題点について考察し,報告する.
  • 曽我部 正弘, 中園 雅彦, 福野 天, 里見 建裕, 林 広茂, 伊東 進
    2000 年 42 巻 11 号 p. 2142-2147
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.71歳時にStageD2の前立腺癌のため,去勢術を施行された,その後ホルモン療法,化学療法を受けていたが,便通異常が出現した.注腸X線検査および大腸内視鏡検査にて直腸S状部から下部直腸に全周性の狭窄と直腸内に突出する腫瘤を認め,骨盤CTにて前立腺腫瘍の直腸浸潤と診断した.インフォームドコンセントにより排便障害の改善と腸閉塞を回避するために食道用Expandable Metallic Stentを留置した.ステント留置後は数回の漏便を認めたものの再閉塞症状を認めず,ステント留置5カ月後に呼吸不全で死亡するまで経過良好であった.手術不能症例における直腸狭窄に対し,ステント留置は人工肛門造設よりも低侵襲であり,患者の精神的負担を軽減しQOLを改善できる有効な治療法と考える.
  • 猪熊 哲朗, 北村 浩, 松枝 重樹, 馬場 伸介, 神崎 剛志, 本田 豊彦
    2000 年 42 巻 11 号 p. 2148-2154
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は76歳女性.嘔吐・下痢にて入院した.大腸内視鏡検査にて,結腸全域及び終末回腸に打ち抜き様・不整地図状・縦走潰瘍など,多彩な潰瘍病変を認めた.末梢血・大腸粘膜よりcytomegalovirus(CMV)が証明された.入院時より,播種性血管内凝固症候群(DIC)と汎血球減少症をきたし,骨髄穿刺にて種々の血球を貪食したマクロファージを認め,ウイルス関連血球貪食症候群(Virus-associated hemophagocytic syndrome:VAHS)と診断した.健常者に発症したVAHSを合併したCMV腸炎の本邦初報告例であり,文献的考察を加えて報告した.
  • 日本消化器内視鏡学会
    2000 年 42 巻 11 号 p. 2158-2171
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 42 巻 11 号 p. 2237a
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 42 巻 11 号 p. 2237b
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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