胃癌52例(進行癌43例,早期癌9例),胃肉腫8例(平滑筋肉腫6例,悪性リンパ腫2例)および空腸平滑筋肉腫2例の計62例に対し腹腔鏡検査を実施した. 胃癌52例中病変部が照診域に存在した症例は44例(進行癌36例,早期癌8例)であった.このうち胃切除可能であった33例について漿膜所見と切除標本での深達度を対比すると,早期癌7例の漿膜面には異常なく,早期癌1例・pm癌3例,ss癌3例では漿膜上に血管増生を認め,ss癌3例およびs(+)の16例では露出した腫瘍が観察された. 胃癌52例中手術を施行した41例について,術中所見と腹腔鏡所見を対比すると,小網・大網・腹膜・肝における癌の浸潤や転移は腹腔鏡にて良く観察されたが,膵・リンパ節の検索は不充分であった.一方,手術不能例では,高度の周辺浸潤や転移が観察され,手術適応の決定に有用であった. 肉腫10例中腫瘍を観察しえた例は,管外性発育を示した平滑筋肉腫7例と,壁内性発育を示した悪性リンパ腫の1例であった.平滑筋肉腫7例中6例に特徴のある腫瘍像が観察され,うち3例では生検併用にて確定診断を得た.管外性発育を示す上部消化管肉腫では,腹腔鏡検査は診断に有用と思われた.
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