集団発生した細菌性赤痢の3症例を経験し,大腸内視鏡検査を施行したのでその所見を中心に報告する.(症例1):症状は高熱と腹痛,頻回の水様下痢.発症2病日目の内視鏡検査ではS状結腸から盲腸に,びまん性の発赤,浮腫,びらん,浅い潰瘍,膿苔の付着を認めた.Bauhin弁や虫垂入口部も浮腫状に腫大していたが,直腸は軽度の発赤のみであった.(症例2):症状は高熱と腹痛,数回の泥状便であったが,発症2病日目の内視鏡所見ではS状結腸に軽度の浮腫がみられるだけであった.(症例3):症状は38℃の発熱と腹痛.入院時の内視鏡検査では,ほぼ正常な大腸粘膜であった.3例とも男子大学生で,赤痢菌種はShigella Sonneiが同定されたが,(症例1)が他の2例に比べ内視鏡所見が顕著であり多様性を示していた.
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