日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
42 巻, 2 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 北村 和哉, 竹森 康弘, 野田 八嗣
    2000 年 42 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Helicobacter pylori(HP)除菌に成功しかつ潰瘍治癒が確認されたHP陽性消化性潰瘍159例において,その後の潰瘍再発を検討した.維持療法は原則として施行せず,胃食道逆流症(GERD)を発症した10例(6.3%)にのみH2、受容体拮抗薬を投ページした.平均観察期間は39.1±39.7週(10-197週)で,潰り昜再発は経過中HP再陽転した1例と早期胃癌を発症した1例を除いた157例116例(3.8%)にみられた.疾患別の再発率は,胃十二指腸潰瘍29例中2例(6.9%),胃潰瘍85例中3例(3.5%),に指腸潰瘍43例中1例(2.3%)と胃十二指腸潰瘍の方が十二指腸潰瘍より高い傾向がみられた.潰瘍治癒までの期間と再発との関連性については,潰瘍治癒が遅い群で再発率が高かった.再発部位は,6例中4例(67%)が除菌前と同部位にみられた.6例全例NSAIDsの使用は認めず,また再発時全例HP陰性であった.
  • 田中 祥介, 上村 志伸, 児玉 俊, 露久保 辰夫, 田邊 友紀男, 清水 利夫, 那須 道世, 小堀 〓一郎
    2000 年 42 巻 2 号 p. 148-151
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は48歳女性.検診目的の上部消化管検査にて異常を指摘され当科入院.上部消化管造影及び胃内視鏡検査にて体中部小彎側に粘膜下腫瘍様病変を確認したか,生検の結果低分化胃癌と診断されたことから胃全摘術を施行した.腫瘍は約25mm大て病理組織学的には粘膜下層までの浸潤に留まるリンバ球浸潤性髄様癌であった.リンバ球浸潤性髄様癌は通常型の胃癌に比べ粘膜下腫瘍様形態を呈することが多く,確定診断に難か渋することがあり,治療に遅延を来たす場合がある.一見脳膜下腫瘍様病変に観察された場合でも,本症状の存頭におき慎重な対応が必要である.
  • 吉田 行哉, 松岡 正記, 中山 聡, 早川 和雄, 福地 創太郎, 桑原 紀之
    2000 年 42 巻 2 号 p. 152-158
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     中村II型ボリーブに対LIIp除菌療法を施行し成功した.最入の10mm強のホりーブは1年3カ月後,5mm前後の3個のボリーブは4-10カ月後に消失した.ボリーブから採取した生検組織に対しKi67標織率は除菌後に半減し除菌後に細胞増殖能の低下が起このた.ボリーブ消失の機序として炎症性細胞浸潤の軽減による浮腫や鬱血の低下以外に,細胞増殖能の低下による腺窩上皮の過形成の消退が示唆された.
  • 北澤 利幸, 森村 昌史, 松為 裕二, 福井 博
    2000 年 42 巻 2 号 p. 159-163
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は66歳,女性.吐下血を主訴に来院.緊急上部消化管内視鏡検査を施行したところ,食道および胃には出血源となる病変はなく,十二指腸下行脚の憩室内からoozingを認めた.憩室内を洗浄観察したが露出血管は明らかでなく,憩室内粘膜の一部から出血が持続するため出血点に対して5%HSEを0.5ml局注して止血を試みた.局注後には止血され,憩室内に出血源と思われるびらんが観察された.十二指腸憩室びらんからの出血に対する緊急止血としてHSE局注療法は有用であった.また,HSE局注後に膵炎を合併したが,内科的治療により速やかに改善した.膵炎の原因は明らかではないが,傍乳頭憩室の場合,憩室が膵臓に近接しているため,局注後に膵炎を合併した可能性が考えられる,十二指腸憩室出血に対して局注療法を施行するにあたっては,穿孔以外に膵炎の合併にも注意が必要である.
  • 嘉村 正徳, 松居 和美, 小久保 佳明, 赤井 昭文, 村井 敏博, 山北 宜由, 池田 庸子
    2000 年 42 巻 2 号 p. 164-168
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は50歳女性,上部内視鏡検査で十二指腸球部に白色調隆起病変を認め,生検組織でmucosaa-associatedd lymphoid tissueりツパ腫(MALToma)と診断胃粘膜生検組織の病理と培養でHelicobacter pylori(Hp)陽性,血清Hp抗体も陽.プロトンポンプインヒビターとクラリスロマイシシ,アモキシシリンによる三剤併用療法を施行し,2カ月半後には十二指腸球部の隆起病変は消失.Hp除菌療法が著効した十二指腸球部MALTcamaの1例を報告した.
  • 田中 裕滋, 木村 光政, 小林 由直, 牧田 慶久, 吉田 康史, 山口 道彦, 越山 肇, 足立 幸彦
    2000 年 42 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は53歳の男性.貧血症状を主訴に来院し,精査目的にて入院となった.胸部CTscanでは右上葉に腫瘤陰影とリンパ節腫脹を認め,気管支鏡検査にて肺癌と診断された.著明な貧血と便潜血反応陽性より消化管出血を疑うも,上部消化管および大腸に出血源は認めず.小腸造影にて粘膜像の不整と欠損を認めた.小腸内視鏡検査を施行したところ中心潰瘍を伴う隆起性病変を認め,生検により肺癌よりの転移性小腸腫瘍と術前診断した.貧血進行の防止目的で,小腸部分切除術を施行した.肺癌の小腸転移は,腸閉塞や穿孔性腹膜炎などの緊急開腹術後や剖検の病理組織所見にて診断されることが多いのに対し,本症例では高度貧血と便潜血反応陽性を契機に小腸造影および小腸内視鏡検査にて腹部症状発現前に診断し得た.
  • 磯本 一, 井上 健一郎, 西山 高志, 梅根 良彦, 森川 卓, 竹島 史直, 水田 陽平, 村瀬 邦彦, 大曲 勝久, 村田 育夫, 河 ...
    2000 年 42 巻 2 号 p. 175-179
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     集団発生した細菌性赤痢の3症例を経験し,大腸内視鏡検査を施行したのでその所見を中心に報告する.(症例1):症状は高熱と腹痛,頻回の水様下痢.発症2病日目の内視鏡検査ではS状結腸から盲腸に,びまん性の発赤,浮腫,びらん,浅い潰瘍,膿苔の付着を認めた.Bauhin弁や虫垂入口部も浮腫状に腫大していたが,直腸は軽度の発赤のみであった.(症例2):症状は高熱と腹痛,数回の泥状便であったが,発症2病日目の内視鏡所見ではS状結腸に軽度の浮腫がみられるだけであった.(症例3):症状は38℃の発熱と腹痛.入院時の内視鏡検査では,ほぼ正常な大腸粘膜であった.3例とも男子大学生で,赤痢菌種はShigella Sonneiが同定されたが,(症例1)が他の2例に比べ内視鏡所見が顕著であり多様性を示していた.
  • 鍛治 武和, 足立 経一, 森山 修行, 末次 浩, 勝部 知子, 数森 秀章, 天野 和寿, 石原 俊治, 平川 和也, 渡辺 誠, 木下 ...
    2000 年 42 巻 2 号 p. 180-184
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は66歳,女性.以前よ抗凝固剤を内服中であったが,突然の下血を主訴に当院受診,緊急下部消化管内視鏡検査を施行し,S状結腸に赤色の粘膜下腫瘍様病変を認めた.同部位を出血源と判断し,入院の上保存的治療を開始したが,下血を繰り返し,内視鏡検査,注腸X線検査にて病変の増大,管腔の狭小化を認めたため手術を施行した.病理組織学的にS状結腸壁内血腫と診断した.抗凝固剤が起因の腸壁内血腫は極めて稀であり,貴重な症例と考え報告した.
  • 松本 力雄
    2000 年 42 巻 2 号 p. 185-191
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は76歳,男性.右季肋部痛,腹部膨満感を主訴に来院し,発熱,黄疸を認めた.腹部US,CTにて肝内胆管の拡張,総胆管結石,肝外側区域左側の嚢胞性病変を認めた.ERCにて嚢胞性病変は肝内胆管と交通があり, spontaneous bilomaと診断した.ESTにて結石除去後,黄疸の軽快と共にbilomaも消失した.内視鏡的な胆道ドレナージ術により治癒したbilomaは極めて稀であり報告した.
  • 瀬古 修二, 谷口 孝夫, 西川 浩史, 東 克己, 浅越 健助, 大谷 由利子, 三宅 直樹, 井上 文彦, 西田 修, 水本 孝, 古川 ...
    2000 年 42 巻 2 号 p. 192-197
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は66歳,男性.膵腫大,下部総胆管から胆嚢の壁肥厚を認め,ERCPでは同部主膵管の狭細化,膵内肌管狭窄を認めた。血清学的には抗核抗体陽性,高ガンマグロブリン血症など免疫異常を認め自己免疫性慢性膵炎と診断した.経過中,抗血小板抗体,補体の消費を伴う重度の免疫性血小板減少を合併した.ステロイド治療にて血小板滅少,膵腫大,膵・胆管狭窄など一連の病態に著効を認めた.以上,免疫性血小板減少など多彩な自己免疫異常を伴ったいわゆる自己免疫性膵炎の1例を経験したので報告する.
  • 鈴木 岳, 國枝 保幸, 中川 宗一, 依田 有生, 大泉 弘子, 斉藤 雅雄, 加藤 元嗣, 浅香 正博
    2000 年 42 巻 2 号 p. 198-203
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     水切り穴(小窓)をあけた塩化ビニル製斜型透明フードを自作し,大腸内視鏡検査における有用性について検討した.対象は1993年1月から1996年12月までに施行された大腸内視鏡検査3,913例で,自作フード使川群と非使用群に分け,大腸内視鏡歴1年.4年,8年,15年の医師により行われた.回盲部圭での到達率および到達時間を検討すると,フード使川群の到1皇率が高い傾向にあった.到達時間は経験年数の要因が大きかった.肖作フードの使用により挿入能および観察能,処置能,安全性の向ヒがみられ,フード内残渣による視野障害の改尹宰も得られた.自作フードの使川は既製フードの問題点を改善し,通常検査,内視鏡卜論療および初心者教育に非常に有用であった.
feedback
Top