日本消化器内視鏡学会雑誌
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45 巻, 7 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 大川 清孝, 青木 哲哉
    2003 年 45 巻 7 号 p. 1123-1129
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     潰瘍性大腸炎における虫垂病変の存在は最近のトピックスの1つとなっている.多くの疫学的検討から虫垂切除が潰瘍性大腸炎の発症を抑えるのは確実であり,動物実験でも生後早期の虫垂切除で腸炎の発症が抑制されることが示された.このことより,潰瘍性大腸炎では虫垂が病因,病態に大きく関わっている可能性が大きく虫垂切除が治療に応用される可能性もある.一方,内視鏡において虫垂の非連続性病変が多くみつかるようになってきた.内視鏡的な虫垂の非連続性病変は遠位型活動性潰瘍性大腸炎の30%程度にみられ,直腸炎型に多く,発症時にも経過中にも現れ,主病変と虫垂の活動性は多くは平行する.虫垂病変の存在は,虫垂病変を含めた非連続性病変が稀でないこと,必ずしも直腸から連続性に上行して進展しないこと,虫垂を含めたリンパ濾胞の豊富な部位が初発部位である可能性などを示した.
  • 細川 友佳子, 菊山 成博, 米山 公康, 戸枝 弘之, 今津 嘉宏, 大山 廉平, 塚田 信廣, 折笠 英紀, 山崎 一人
    2003 年 45 巻 7 号 p. 1130-1134
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     比較的稀な十二指腸上行部癌の1例を経験した.症例は74歳男性.糖尿病,慢性腎不全にて透析を導入されていた.6年前より十二指腸上行部に径20mmの山田III型ポリープを指摘され,生検にてadenomaであったため,経過観察となった.平成12年12月貧血を指摘され,十二指腸上行部に径50mmの隆起性病変を認め,生検にてadenocarcinomaと診断され,十二指腸部分切除術を施行した.
  • 森脇 義弘, 荒田 慎寿, 北村 剛彦, Goro MATSUDA, 長谷川 聡, 山本 俊郎, 杉山 貢, 長田 俊一, 亀田 久仁郎, ...
    2003 年 45 巻 7 号 p. 1135-1139
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     還納不能の十二指腸嵌頓胃腫瘤は腫瘍の精査ができず,治療戦略がたてにくい.最近,69歳男性の噴門部直下の有茎性ポリープ(4cm大の平滑筋腫)の十二指腸への嵌頓例で,管腔臓器内で両端を固定された棒状異物の摘出法を応用し,内視鏡(GF)的に還納した.GF観察下に経腸栄養用チューブをポリープ茎の裏へ通し,GF鉗子でチューブ先端を牽引,口腔外へ誘導し,ポリープ茎をまわる形とし,チューブ両端を牽引し嵌頓を解除した.
  • 松永 久幸, 原口 増穂, 谷岡 一, 高森 謙一, 塩澤 純一, 磯本 一, 水田 陽平, 村瀬 邦彦, 河野 茂, 村田 育夫
    2003 年 45 巻 7 号 p. 1140-1143
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は61歳,男性.1996年に十二指腸潰瘍を認め,以後3度の再発を繰り返したので,2001年にH.pylori除菌を施行した.その後,H2プロッカーを継続していたが,突然の上腹部痛が出現し汎発性腹膜炎で緊急手術となった.その結果,球部に穿孔部を確認し,大網充填術を施行した.再発を繰り返す十二指腸潰瘍は,除菌成功後,維持療法を続けながらも穿孔を来す症例もまれにはあり,注意を要すると考えられた.
  • 関根 忠一, 松井 茂, 岩松 宏, 名越 淳人, 小柳 佳成, 原澤 茂
    2003 年 45 巻 7 号 p. 1144-1149
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は63歳,女性.主訴は動悸.平成14年1月11日高度の貧血(Hb3.2g/dl)にて当科初診.大腸内視鏡検査(CF)にて横行結腸に動静脈奇形(Arteriovenous malformation, AVM)を疑い,これが貧血の原因と考えた.3月11日上腸間膜動脈造影にて中結腸動脈の分枝にAVMを認めたので動脈塞栓術を行った.その後は止血され5月8日のCFではAVMはほとんど消失しており順調に経過した.以上,動脈塞栓術が奏効したAVMの1例を文献的考察を加え報告する.
  • 山田 敦, 名田 高幸, 中村 武史, 高 忠之, 桐谷 景一, 魚瀬 優, 川口 清隆, 光野 重根
    2003 年 45 巻 7 号 p. 1150-1156
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     患者は82歳女性,吐下血を主訴に来院し,内視鏡検査で胃体中部小彎に,潰瘍底に露出血管を伴う巨大な潰瘍を認めた.内視鏡的に止血困難であり,腹部血管造影を行った.脾動脈が出血源であると診断し,金属コイルを用いて,脾動脈塞栓術を施行した.施行後の内視鏡では,潰瘍底から胃内腔への金属コイルの露頭を認めたが,潰瘍からの再出血や脾膿瘍などの重篤な合併症を認めず,脾動脈塞栓術が有効であった.
  • 結城 豊彦, 佐藤 匡, 石田 一彦, 妹尾 重晴, 鈴木 敬, 洞口 淳, 宇野 要, 野田 裕, 小林 剛, 木村 克巳, 松永 厚生, ...
    2003 年 45 巻 7 号 p. 1157-1163
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】上部消化管緊急内視鏡検査に,胃内の凝血塊や食物残渣などの吸引が可能な口径6mmの鉗子チャンネルを有するオリンパス社製ファイバースコープGIF XT-30を使用する機会を得たので,その有用性を明らかにすることを目的に検討した.【方法】1.基礎的検討:GIF XT-30と,パンエンドスコープであるオリンパス社製ビデオスコープGIF Q240(鉗子口径2.8mm)が,蒸留水500mlと,撹拌したプレーンヨーグルト100mlを吸引するのに要した時間を比較検討した.GIF XT-30は付属のT字型アダプタにより,2つの吸引源が利用可能であり,single/double双方の吸引を施行した.2.臨床的検討:GIF XT-30使用開始からの6カ月間における使用頻度と,胃内容吸引における有効性と問題点につき検討した.【成績】1.蒸留水5001nlとヨーグルト100mlのいずれの吸引においても,single/doubleともに,GIF XT-30はGIF Q240に比較して吸引所要時間が有意に短かかった.2.GIF XT-30使用開始からの6カ月間の上部消化管緊急内視鏡検査194例中,GIF XT-30を要したものは22例11.3%で,疾患の内訳は出血性胃潰瘍14例,出血性胃癌3例,食道・胃静脈瘤2例,Mallory Weiss症候群,出血性食道潰瘍,胃内異物各1例であった.凝血塊・食物残渣の吸引の有効性を良/可/不良の3段階に分けると,22例の吸引状況は17/2/3で,全体の86.4%でGIF XT-30の使用が臨床的に有用であった.凝血塊が巨大化したものはGIF XT-30でも吸引不能であった.【結論】GIF XT-30は,胃内の大量の凝血塊や食残の吸引に優れ,緊急内視鏡検査時間の短縮が可能となる。緊急内視鏡検査を施行する多くの救急医療の現場において備えておきたいスコープと考えられた.
  • 多田 知子, 藤田 直孝, 小林 剛, 野田 裕, 木村 克巳, 伊藤 啓
    2003 年 45 巻 7 号 p. 1164-1169
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    【目的】膵仮性嚢胞に対する内視鏡治療の有用性と限界を検討する.【方法】膵仮性嚢胞8例に対し,内視鏡的に経乳頭的または経消化管的ドレナージを行った.主膵管と交通を有する例では前者を,交通のない例では後者を第一選択とした.嚢胞の感染,出血合併例では外瘻術を選択した.治療の内訳と成績,隅発症について検討した.【結果】経乳頭的ドレナージは6例中5例,経胃的ドレナージは3例すべてに成功した.5例,63%で外瘻術が施行された.全例で症状と血清アミラーゼ値の改善,嚢胞の消失ないし縮小が得られた.【結論】膵仮性嚢胞に対する内視鏡的ドレナージは,内瘻術,外瘻術が施行可能であり,外科治療の前に試みてよい有用な治療と考えられた.
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