日本消化器内視鏡学会雑誌
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65 巻, 8 号
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総説
  • 河合 隆, 小山 洋平, 杉本 光繁
    2023 年 65 巻 8 号 p. 1299-1310
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/21
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    近年内視鏡機器メーカーの創意工夫にて,極細径経鼻内視鏡は進化し,ハイビジョン化している.通常径経口内視鏡と同等な画像が得られ,さらに各種強調併用観察も可能になっている.検査中の苦痛も少なく患者の満足度は高く,心肺機能に及ぼす影響も少なく,高齢化社会において胃癌スクリーニング検査の良い適応となっている.胃癌は現在Helicobacter pylori除菌後胃癌がその多くを占め,内視鏡的特徴として陥凹型,発赤調を呈し,さらに粘膜表層には異型の少ない癌細胞を有するため,内視鏡的に診断することが難しくなっている.除菌後長期胃癌症例において未分化型胃癌の発生リスクが増加するとも報告されている.一方で胃癌リスク関連内視鏡所見として,内視鏡的胃粘膜萎縮から内視鏡的腸上皮化生に変化が生じている.細径経鼻内視鏡が,胃癌内視鏡検診に貢献することを期待している.

  • 奥薗 徹, 伊藤 聡司, 中堀 昌人
    2023 年 65 巻 8 号 p. 1311-1315
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/21
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    EUSなどの発展により微小病変の局在診断や膵切除時に外科医から正確な切離ラインを求められることがある.膵の切離ライン決定や術中超音波検査で探す時のメルクマールのために,消化管のように膵臓表面に点墨する超音波内視鏡ガイド下点墨法が行われるようになってきた.同手技の報告は多くはなく,また様々な方法が行われているが,使用薬剤,穿刺針,手技の方法,偶発症,有効性などについてまとめた上で,現状の課題について概説する.

症例
新しい手技・処置具・機器
手技の解説
資料
  • 阿部 清一郎, 牧口 茉衣, 野中 哲, 鈴木 晴久, 吉永 繁高, 斎藤 豊
    2023 年 65 巻 8 号 p. 1364-1371
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/21
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    スクリーニング内視鏡検査は,胃癌の発見と予後の改善に有効である.しかし,熟練した内視鏡医であっても,通常の白色光観察では早期胃癌を見落とすことがある.Texture and Color Enhancement Imaging(TXI)は,明るさ,表面の凹凸(隆起や陥凹),わずかな色調の変化を強調する画像強調内視鏡技術である.これまでの内視鏡画像を用いた研究では,白色光とTXIにおける胃癌の病変部と周囲の背景胃粘膜との色差が検討されている.これらの研究では,白色光と比してTXIでは色差が有意に高いことが示されただけでなく,早期胃癌の視認性においても白色光と比してTXIモード1が優れていることが報告されている.

    これまでの報告からは,TXIが早期胃癌の発見に貢献することが期待される.しかし,実際の臨床におけるTXIの有効性は明らかとはなっておらず,今後スクリーニング内視鏡検査を受ける患者を対象とした大規模な前向き研究が必要である.

内視鏡室の紹介
最新文献紹介
  • 貝瀬 満
    2023 年 65 巻 8 号 p. 1380
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/21
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    【目的】多施設共同前向きコホート研究で,早期胃癌(EGC)に対する内視鏡的切除術(ER)の長期的アウトカムを明らかにする.

    【方法】2010年7月~2012年6月にERを受けたEGC10,021病変を持つ9,054人の長期転帰を分析した.主要評価項目は,5年全生存率(OS).全死亡のハザード比はCox比例ハザードモデルで算出.5年OSを,外科切除EGC患者で計算された予想OSと比較.5年OSの95%信頼区間(CI)下限値が,予想OSから5%を引いた値(閾値5年OS)を超えた場合,ERは有効と判断.一括切除・断端陰性・脈管侵襲陰性の病変はカテゴリーA1(分化型・pT1a・潰瘍陰性・≤2cm),A2(分化型・pT1a・潰瘍陰性・>2cmまたは分化型・潰瘍陽性・≤3cm),A3(未分化型・pT1a・潰瘍陰性・≤2cm),B(分化型・pT1b(SM1)・≤3cm)に4分類し(Table 1),上記以外は非治癒切除(カテゴリーC)とした.

    【結果】全体の5年OSは89.0%(95%CI,88.3%-89.6%).多変量解析で,カテゴリーA2,A3,Bのハザード比はA1のハザード比と有意差はなかった.カテゴリーCを除くすべてのカテゴリーの5年OSは閾値5年OSを超えた.

    【結論】ERは,カテゴリーA1,A2,A3,Bを満たすEGC患者の標準治療として推奨できる.

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