電子スコープは,その開発以来,次々と改良が加えられ,各種の画像解析,画像処理,通信機能,ファイリング機能など従来の内視鏡には無い機能が実用化され,消化管内視鏡は完全に電子スコープの時代となった. 当然ながら電子スコープは放送用のテレビジョンの発展があって,初めて実用になったものである.まず始めに放送用テレビジョンの発展を概説した.内視鏡へのテレビジョンの導入は,ファイバースコープ接眼部に撮像管を取り付け,その画像をテレビモニターに映すことに始まったが,テレビカメラを胃の中に直接挿入出来る様になったのは,固体撮像素子(電荷結合素子CCD)が開発され,その小型化をまって初めて行われたことである.最初の電子スコープは,1983年(昭和58年)にアメリカで発表されたが,その後国内各社でも開発が始まり,現在では多種多様の電子スコープが市販されている. 電子スコープの原理,理論を概説し,各種機能の内で最も期待されている画像処理,画像解析について述べてみた.さらに赤外線電子スコープの臨床面への応用,最近話題となっているNarrow Band Imaging(NBD),AIF(Auto-fluorescence Imaging)についても,その理論,臨床的意義を説明した.またこれに関連して特殊光という用語が不適切に拡大解釈されていることを指摘し,新たに内視鏡観察法の目的別分類(丹羽,田尻)を提案した.またIDTV, EDTV(クリアビジョン),ハイビジョン等についても触れ,CRTに代わる液晶ディスプレイ,投射型テレビについても述べてみた。
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