【背景・目的】内視鏡的に摘除された大腸sm癌の追加的腸切除の必要性を論じる上では追加的腸切除を行わなかった症例のその後の転帰も重要である.そこで今回われわれは,内視鏡的摘除後大腸sm massive癌で追加的腸切除を行わなかった症例を検討した.【方法】1980年から1997年までの大腸sm massive癌の中で追加的腸切除を行わなかった33例を対象とし,腫瘍,摘除方法,経過観察となった理由および再発・死亡例に対して検討した.【結果】占居部位はS状結腸が24例と最も多く,直腸が8例,上行結腸が1例で,肉眼形態はIspが13例と最も多く,Is,Ipがそれぞれ7例,IIaが3例,IIa+IIc,IIc,結節集簇様病変が1例であった.内視鏡的摘除方法は一括摘除が29例,分割摘除が4例で,組織型は高分化腺癌が32例,中分化腺癌が1例,脈管侵襲は陽性例が3例,陰性例が30例であった.経過観察理由は,本人拒否が16例と最も多く,他疾患併存が14例などであった.再発は2例(6%)に認めたが,いずれも治癒的切除を行い得,他の31例には大腸癌再発はなかった.【結論】内視鏡的摘除後大腸sm massive癌を経過観察する際には厳重に行い,治癒的切除を行い得る早期の再発診断が重要である.
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