日本消化器内視鏡学会雑誌
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38 巻, 5 号
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  • ―特に線状潰瘍のridgeについて―
    足立 洋祐
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1127-1139
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    十二指腸潰瘍65例に対して超音波内視鏡検査 (EUS) を実施し,潰瘍のEUS像を検討した.単発潰瘍,接吻潰瘍に比較し,線状潰瘍では有意に潰瘍が深い傾向を示した.胃潰瘍の治癒過程において認められる第2層と第4層の収束所見を,十二指腸潰瘍において認めた例は,活動期52.2%,治癒期82.6%,瘢痕期において84.2%であった.また胃潰瘍で再燃再発との関連が問題にされている潰瘍エコーについて,十二指腸潰瘍での描出率は,活動期87.0%,治癒期87.0%,瘢痕期84.2%であった.接吻潰瘍のridgeは,EUS像においては平坦となり同定できなかった.一方線状潰瘍のridgeは明らかな突出として認められ,この部においては十二指腸壁の正常5層構造は破壊され,高低エコーの混入像として描出された.また経過を追って再検しても変化は認められなかった.以上より,十二指腸潰瘍に再燃再発が多いこと,接吻潰瘍と線状潰瘍のridgeは成因が異なること,線状潰瘍のridgeは組織学的に瘢痕を主体としておりridge上に再燃再発が多く認められることを,EUS像の観点からも実証できたものと考えられた.
  • 小野 剛, 小松 眞史, 星野 孝男, 石井 透, 船岡 正人, 加藤 純司, 倉光 智之, 藤井 公生, 大嶋 重敏, 三上 健一郎, 正 ...
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1141-1147_1
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    インターフェロン(IFN)治療前後で腹腔鏡下肝生検を施行した27例(著効12例,無効15例)について腹腔鏡所見と生検組織所見の変化,血中肝線維化マーカー(PIIIP,IV7s,TIMP)の変動を治療効果別に検討した.その結果,IFN著効例では治療後に,多くの症例で肝表面の白色調変化の増強がみられたが,これは,HAI scoreのひとつ,fibrosis scoreが改善したことや,PIIIP,IV7s,TIMPなど線維化マーカーが治療前に比し,IFN治療終了時,終了6カ月後に有意に低下していたことから,肝線維化よりもむしろ炎症の消退を意味しているものと推測された.
  • 古川 剛, 大橋 計彦, 内藤 靖夫, 廣岡 芳樹, 大島 陽一, 金森 信一, 黒岩 正憲, 伊藤 彰浩, 瀧 智行, 後藤 秀実, 早川 ...
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1148-1154_1
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎11例に対して内視鏡的に膵管ステント(以下,ステント)を留置し,その臨床的有用性を検討した.対象は全例,膵頭部主膵管に狭窄を認め,腹痛ないし背部痛を伴っていた.ステントの挿入経路は主乳頭7例,副乳頭4例で,ステント径は7,8.5,11.5F,留置後の平均観察期間は11.7カ月である.結果はステント挿入後,全例に疼痛の改善を認めた.膵外分泌能(BT-PABA test)は,膵体部主膵管径が4mm以上の減少を認めた2例において著明な改善がみられ,膵内分泌能(75gO-GTT)は全例,不変であった.ステントは全例で開存し,合併症はステント挿入時,経過観察期間中を含め全例に認めなかった.以上より,膵管ステント術は膵管狭窄を有する慢性膵炎で疼痛の改善が期待できる安全な手技であり,今後,大いに施行されるべき内視鏡治療と考えられる.
  • 東田 元, 矩 照幸, 小坂 星太郎, 鈴木 智恵, 高橋 利彰, 奥野 資夫, 山崎 時雄, 金崎 周造, 松本 啓一, 小山 茂樹, 馬 ...
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1155-1161
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    70歳男性.胸部不快感で受診.食道X線検査で,胸部上部食道左壁に径1.5cmの表面平滑な隆起性病変を認めた.食道内視鏡検査では,切歯より20cm付近に隆起性病変があり,一部に陥凹を認めた.ヨード染色で陥凹部に不染帯を認め,生検組織診断は扁平上皮癌であった.以上により,食道平滑筋腫上に併存した食道表在癌と診断し,内視鏡的粘膜切除術を施行した.切除標本では,平滑筋腫表面に0-IIc型,深達度sm1の食道表在癌を認めたが,high-riskの心疾患を有するため,手術による追加切除は危険性が高いと考えられ,informed consentを得て現在外来にて経過観察中である.
  • 出口 智子, 熊本 隆, 佐々木 博, 横崎 宏, 伊藤 正樹, 梶山 梧朗, 伊藤 剛二
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1162-1166_1
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    患者は23歳女性,会社の健康診断目的で来院し,胃X線検査および胃内視鏡検査で胃体上部にmucosal bridgeを認めた.胃内視鏡所見で胃潰瘍瘢痕を認め,生検の病理組織検査で再生性変化と繊維化を認めたことから,後天性に形成されたものと考えた.
  • 若月 滋, 大原 秀一, 関根 仁, 中山 裕一, 森山 聡, 浅木 茂, 豊田 隆謙, 片倉 俊樹, 池田 卓
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1167-1171_1
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は68歳男性.噴門部小彎のIIc病変が,なだらかに隆起しているため,深部浸潤も考え,超音波内視鏡検査を施行したところ粘膜下層に限局する15×7mmの高エコー腫瘤を認め,脂肪腫と考えられた.癌は粘膜内と考え,粘膜切除術を施行した.切除標本では深達度mの中分化型腺癌で,粘膜下層に脂肪組織を認めた.脂肪腫上に胃癌が合併した本邦報告例は自験例以外には2例あり,いずれも粘膜癌ではあるが手術が施行されている.
  • 川村 のり子, 平沼 聖彦, 中藪 雅弘, 岩佐 元雄, 江崎 淳, 佐藤 孝之, 出口 俊世, 森山 茂
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1172-1179
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性.大量の下血を来し,当院へ緊急入院となった.初回入院時,上下部消化管内視鏡,腹部血管造影及び99mTc標識ヒト血清アルブミン(human serum albumin)シンチグラフィー(以下出血シンチ)を施行するも出血源は認めず,下血も止まったため,退院.約1カ月半後,再度下血を来し,出血シンチで下部回腸に出血像を認め,手術を施行.術中内視鏡検査を施行すると回腸末端部に潰瘍を認め,約50cmの回盲部切除術を施行した.切除標本肉眼所見では回盲弁約20cm口側の腸間膜反対側に6×38mmの縦長の潰瘍とその約10cm口側に7×4mmの円形の計2個の潰瘍を認めた.潰瘍は浅く,境界明瞭で,周囲粘膜の浮腫は軽度であった.病理組織学的には,UI-IIの浅い潰瘍で特異的所見を認めなかった.以上より分類不能の非特異性小腸潰瘍と診断した.
  • 三浦 光一, 大澤 佳之, 鈴木 俊夫, 千葉 満郎, 正宗 研, 高橋 さつき
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1180-1185_1
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は40歳女性,主訴は血便.大腸内視鏡検査で回腸末端に潰瘍性病変を認め,生検から悪性リンパ腫と診断した.小腸原発と判断し,手術施行.同病変はLSG分類でDiffuse, mixed, UCHL-1陽性よりT細胞性と判断した.術後VEPA療法を施行したが,1年後には扁桃および残存小腸に再発した.そのため小腸病変切除およびCHOP療法を施行したが,大腸に再発した.再発救援療法も効果なく,初診から約3年後に死亡した.
  • 鴨井 隆一, 井上 滋夫, 水野 充, 藤村 宜憲, 星加 和徳, 飯田 三雄, 三宅 一昌, 角田 司, 清水 道生
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1186-1195_1
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は59歳女性,約1カ月前より臍部の周期的疼痛と嘔吐があり,経口小腸造影にて腸重積と診断され入院となった.大腸内視鏡検査にて小腸より上行結腸へ脱出した直径4cm大の腫瘤を認め,生検にて悪性リンパ腫と診断された.当院消化器外科にて回盲部切除を行った.病理学的にはnon-Hodgkin's lymphoma(diffuse, largecell type)であった.今回,著者らは腸重積をともなった回腸悪性リンパ腫の本邦報告24例を集計し,その臨床像の特徴について文献的考察を行った.
  • 有田 毅, 安部 寿哉, 松井 照一郎, 増田 雄一, 工藤 欣邦, 掛谷 和俊, 多田 出, 鹿野 奉昭
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1197-1200_1
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は42歳男性,下血を主訴として来院した.大腸内視鏡検査にて,回盲弁の上唇上に径10mmの黄白色半球状隆起性病変を認め粘膜下腫瘍と診断された.生検による組織学的所見でcarcinoid腫瘍であり,回盲部切除術が施行された.腫瘍は回盲弁上に位置し,大きさ11×10×9mmで,病理組織学的に深達度mp, Soga分類の混合型カルチノイドであり,リンパ節転移は認めなかった.回盲弁部カルチノイドの本邦報告例は,著者の調べた限りにおいて1994年までに5例と少なく興味ある症例と考えられたので報告する.
  • 丸澤 宏之, 山下 幸孝, 梶村 幸三, 久米川 好美, 高谷 晴夫, 桂田 哲, 酒井 正彦
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1201-1207
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性.腹部腫瘤の精査目的で当院入院となる.腹部超音波,CT,MRI検査にて腹腔内に腹水の性状に類似した多房性の巨大な腫瘤を認めたが原発臓器は不明であった.経皮的腫瘍針生検を施行したところゼリー状物質が吸引されたことから腹膜偽粘液腫が疑われたため開腹切除を施行したところ,大腸内視鏡検査で横行結腸に認められた経40mmの有茎性のポリープより連続的に浸潤増生したものであることが確認された.術後病理学的検索より,この有茎性ポリープは高分化型の腺腫内大腸粘液癌であり,強い腸管外浸潤を示し腹膜偽粘液腫を形成したものと考えられた.近年,本症の本態は特殊な粘液産生腫瘍による癌性腹膜炎の一種と考えるのが一般的となっており,原発巣としては虫垂や卵巣がほとんどで,有茎性ポリープ状の大腸粘液癌が連続的に腸管外に発育し腹膜偽粘液腫を形成した本例はきわめてまれな症例と考えられ報告した.
  • 田所 洋行, 土岐 文武, 吉田 憲司, 西野 隆義, 小島 真二, 白鳥 敬子, 渡辺 伸一郎, 神津 忠彦, 竹内 正, 林 直諒, 今 ...
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1208-1213_1
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    膵管と十二指腸の間に瘻孔が認められた2症例を経験したので報告する.症例1は,69歳の男性で20年以上前に多発性の膵石を指摘されていたが,膵石の大部分が消失しており,瘻孔形成との関連性が示唆された.症例2は,67歳の男性で,粘液産生膵腫瘍が疑われ,瘻孔を合併した1例である.同部位からの生検では悪性所見が認められなかったことから,粘液による機械的な穿破による瘻孔形成が疑われた.
  • 多田 秀樹, 柏木 元実, 戸田 勝典, 本合 泰, 福本 信介, 松本 太一三, 安住 治彦, 有坂 好史, 百瀬 哲也, 勝 健一
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1214-1219
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は84歳男性.: 黄疸を主訴に当科を受診し, 手術不能な肝門部胆管癌と診断された.ERCPでは左右胆管の水平枝に高度の狭窄を認め, 内視鏡的経鼻胆管ドレナージ (endoscopic naso-biliary drainage: 以下ENBD) tubeを両葉の肝内胆管にそれぞれ挿入留置した. 減黄効果は良好であり, 入院第15病日に左葉のENBDtubeをガイドとして左葉にself-expandable metallic stmtであるWallstentを留置した.引き続きファイバースコープを再挿入し,今度は右葉のENBD tubeをガイドに右葉へのWallstent留置を試みた.既に1本目のWallstentは留置されているにもかかわらず, 2本目のWallstentのデリバリーシステムの挿入は容易であった. Wallstentの拡張は2本とも良好であり, 入院第22病日に退院となった. 再閉塞もなく経過は良好であったが, 3ヵ月後に心不全が急激に悪化し死亡した. 経乳頭的なselfexpandable metallic stentの挿入は, 入院期間を短縮でき極めて有用な手段であるが,経乳頭的に2本のstentを挿入することは困難と考えられてきた. しかし今回,2本のWallstentを経乳頭的に同時挿入し得た肝門部胆管癌症例を経験したので報告した.
  • 宮本 久夫, 西岡 新吾, 中田 秀則, 原 猛, 中島 彰一, 山西 徹治, 河合 純, 伊藤 秀一, 西 彰平, 中山 恒夫, 安村 政 ...
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1220-1229
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    過去10年間に当科で経験:した薬剤に起因する消化管粘膜病変87例について検討した.食道病変7例,胃病変58例,十二指腸病変4例,大腸病変18例で男女比は46:41.年齢は13~86歳,平均52.1歳であった.上部消化管では非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)をはじめ多種の薬剤がみられた.食道病変は内服方法に問題があり,食道内への薬剤停滞が主な原因であった.胃病変は高齢の女性に多く基礎にRAや圧迫骨折等の整形外科的疾患を持つ者が多かった.薬剤性潰瘍は消化性潰瘍に比べ多発性で不整形であり,単発でもtrench潰瘍が多く,激しい症状を伴うAGMLも1/3を占めた.下部ではすべて抗生剤が原因で,偽膜性大腸炎と出血性大腸炎がみられ,抗生剤の種類ではPC系は出血性大腸炎に多く,セフェム系は偽膜性大腸炎に多かった.発症までの期間は食道潰瘍,AGMLは1週間以内,十二指腸潰瘍,薬剤起因性大腸炎は2週間以内,胃炎,胃潰瘍は1カ月以上の発症が多かった.
  • 小越 和栄
    1996 年 38 巻 5 号 p. 1230
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 38 巻 5 号 p. 1231-1242
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 38 巻 5 号 p. 1243-1275
    発行日: 1996年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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