日本消化器内視鏡学会雑誌
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48 巻, 10 号
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  • 中鳴 均
    2006 年 48 巻 10 号 p. 2469-2476
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Rotavirusが原因とされる小児科領域の消化管感染症は幼児の冬期嘔吐・下痢症として以前から知られていた.筆者らは1996年から成人の散発性下痢症例を集積するうちにRotavirus腸炎は頻度,臨床的重要性,疫学において成人においても決して軽視できないことを明らかにすることが出来た.本稿では次第に明らかとなってきた成人におけるRotavirus腸炎(特に下部消化管に焦点を絞り,腸炎と言及)の臨床について述べるとともに,未だコンセンサスを得ていない分野ではあるがRotavirus腸炎における内視鏡検査について論ずる.
  • 阪口 正博, 飴本 完二, 本多 正彦, 橋本 貴司, 朝隈 豊, 島田 守, 山本 紀彦, 西原 政好, 大林 正, 蘆田 潔
    2006 年 48 巻 10 号 p. 2477-2485
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     鳥肌胃炎は,Helicobacter pylori(以下H.pylori)の感染により前庭部を中心に顆粒状小結節を呈する胃炎である.われわれは,経過観察しえた鳥肌胃炎28例を対象にH.pylori除菌療法が内視鏡所見および病理組織所見に与える影響について検討した.内視鏡所見は,H.pylori除菌成功例17例では,15例に顆粒状小結節の消失を,2例に軽減を認めた.また,除菌不成功もしくは除菌未施行の11例においても,4例において顆粒状小結節の消失および軽減を認めた.病理組織所見は,H.pylori除菌成功例では,組織学的胃炎の改善を認めたが,不成功例や未施行例では,内視鏡所見と組織所見の問に関連性はなかった.すなわち,H.pylori除菌に成功すると,内視鏡所見と組織学的胃炎の双方の改善が認められた.一方,除菌未施行や除菌不成功の場合は,内視鏡所見の経時的変化はみられたが,組織学的胃炎の改善はみられなかった.
  • 荒木 正, 道躰 幸二朗, 加藤 薫, 池田 真幸, 太田 昭彦, 服部 克哉, 菅野 聡, 剛崎 寛徳, 酒井 義浩
    2006 年 48 巻 10 号 p. 2486-2492
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は79歳,男性.吐血,嚥下障害,意識障害と高血糖による糖尿病性昏睡で当院に紹介入院した.上部消化管内視鏡では食道の著明な黒変と粘膜剥離があり,臨床経過と病理所見より急性壊死性食道炎と診断した.絶食,中心静脈栄養などの保存的治療とインスリン持続注入による厳格な血糖管理にて寛解した.急性壊死性食道炎の原因は種々あるが,本例では急激に進行した局所の虚血が急性壊死性食道炎を生じた最大の原因と思われた.
  • 岩井 啓一郎, 松本 主之, 江崎 幹宏, 八尾 隆史, 鎌田 正博, 飯田 三雄
    2006 年 48 巻 10 号 p. 2493-2498
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は71歳,男性.山で採取したツキヨダケを摂取したところ,その8時間後より激しい腹痛,嘔吐,下痢が出現し来院した.第4病日の内視鏡検査では,十二指腸下行部に浮腫とびらん形成を伴った粗槌粘膜をびまん性に認め,第7病日に施行したX線検査では,十二指腸下行部から水平部にかけてKerckring皺襞の腫大,線状ないし不整形バリウム斑の多発,および亀甲様粘膜面を認めた.保存的治療のみで臨床症状は速やかに改善し,2カ月後の内視鏡検査では十二指腸病変の治癒が確認された.患者血清中にツキヨダケの毒素であるイルージンSは証明できなかったが,臨床経過から自験例はツキヨダケの誤摂取により生じた急性十二指腸炎と考えられた.ツキヨダケによる食中毒は発生件数が多いものの,その消化管病変に関する記載は少なく,自験例は貴重と考えられた.
  • 林 香月, 大原 弘隆, 喜多島 康弘, 田中 創始, 高田 博樹, 今井 英人, 安藤 朝章, 中沢 貴宏, 城 卓志
    2006 年 48 巻 10 号 p. 2499-2506
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は54歳女性.肝胆道系酵素高値のため入院.入院中,腹痛と肝胆道系酵素の再上昇とともに胆嚢内の石灰化成分が総胆管に流出し閉塞性黄疸をきたしたため,内視鏡的乳頭括約筋切開術を施行した.総胆管に流出し乳頭より排出した胆汁は黄色練歯磨状であったため石灰乳胆汁と考えられた.その練歯磨状胆汁はバスケットカテーテルとバルーンカテーテルによる洗浄によりすべて十二指腸に排出されたため,結石分析は施行できなかった.石灰乳胆汁が胆嚢より総胆管に流出する過程を画像で確認でき,内視鏡的治療が奏功した報告は稀であるため貴重な症例と考えられた.
  • 飯田 章人, 小長谷 敏浩, 早川 俊彦
    2006 年 48 巻 10 号 p. 2507-2511
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃瘻チューブ交換の時に,その内腔を通過可能な細径内視鏡を用いて胃瘻内から胃内観察を行い,その有用性と安全性を検討した.胃瘻交換の後,ペンタックス社製気管支用細径内視鏡FB8V(外径2.7mm)を用いて観察を行い,チューブ先端の位置確認が可能かどうかを検討した。対象患者20例全例で胃内での反転観察により,胃瘻バンパーの確認が可能であった.送気した空気がチューブから漏れるため,十分に胃を拡張することができず,胃内全体の詳細な観察は困難であった.経胃瘻的細径内視鏡による胃内観察はチューブ挿入後の位置確認には有用であると考えられた.
  • 坂本 岳史, 井谷 智尚, 岡本 佳子, 足立 友香里, 林 幹人, 三村 純, 猪熊 哲朗
    2006 年 48 巻 10 号 p. 2512-2517
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     経鼻内視鏡下にIntroducer法を改良した経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)"Direct法"を施行し,Pull法と安全性,有用性について比較検討した.細径内視鏡を経鼻挿入し,鮒田式胃壁固定具を用いて3点胃壁固定を行い,カテーテル挿入予定部に皮膚切開後,18Gサーフロー針を穿刺,外筒を通してガイドワイヤーを胃内に留置,外筒を抜去した後,ガイドワイヤーにかぶせてダイレーターを通し,カテーテル挿入部を拡張し,「交換」の要領でバンパー型カテーテルを挿入した.経鼻挿入によりスコープの挿入性が向上し,Pull法と比較して創部の感染率が減少した.経鼻内視鏡下"Direct法"によるPEG造設法は苦痛が少なく,創部の感染率も従来法より低下し有用と考えられた.
  • 本橋 修, 高木 精一, 米満 恭子, 吉井 貴子, 村田 依子
    2006 年 48 巻 10 号 p. 2518-2525
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     現時点での内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection: ESD)に求められる安全性・確実性・簡便性の向上と施行時間短縮を追及し,粘膜把持鉗子用チャンネル付き透明フードを試作した.雑犬を使用した動物実験によって有用性を確認し,これを臨床応用し同様の有用性を認めた.この補助器具の使用による利点を列挙する.(1)剥離粘膜を把持し挙上させ,さらに反転させて後方に押すことで,粘膜剥離面を直視下に観察することがより容易となり,止血および血管処理を容易にした.(2)剥離面の粘膜下組織に確実なカウンタートラクションをかけることができ,剥離時間を短縮した.さらに,(3)この切開粘膜把持と切開粘膜口側にフードを接着させる操作は,呼吸や拍動の影響を減じ,剥離部と処置具の距離を一定とし,安全な剥離操作を可能にした.
  • 金森 明, 廣岡 芳樹, 伊藤 彰浩, 後藤 秀実
    2006 年 48 巻 10 号 p. 2526-2527
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 鳥居 惠雄
    2006 年 48 巻 10 号 p. 2528-2537
    発行日: 2006/10/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     最近のESDの登場とその急速な拡がりは,管腔内視鏡治療の可能性を飛躍的に増大させる一方,技術的困難性,所要時間延長,合併症増加という,いわゆる陰影の部分も併せ持っている. 他方,EAMを含むいわゆる従来法EMRは,ESD完遂困難時の補助的手段などとして,きわめて消極的に過小評価されがちである.しかし,実際には確立しているはずの従来法EMRですら,標準化しているとは言い難い状況もある. 本稿では,その開発意図通りの真価を発揮し得る正しいEAMを,デバイスの選択,セッティング,手技の必要不可欠な手順まで詳細に解説した. 多くの臨床現場が少ないマンパワーで多忙を極めているという現状の中,その手技の簡便性,迅速性(所要時間の短さすなわち低侵襲性)を考慮すれば,正しい手順に則って施行されるEAMは,現在なお,積極的に選択されてよい手技であると考えている.
  • 責任者:山口 高史
    山口 高史
    2006 年 48 巻 10 号 p. 2538-2540
    発行日: 2006年
    公開日: 2024/01/29
    ジャーナル フリー
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