日本消化器内視鏡学会雑誌
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43 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 三浦 正剛, 芳野 純治, 乾 和郎, 若林 貴夫, 奥嶋 一武, 小林 隆, 三好 広尚, 中村 雄太, 渡辺 真也
    2001 年 43 巻 12 号 p. 2207-2212
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Helical CTを用いたVirtual Colonoscopy (VC)が大腸スクリーニング検査として有用か否かについてprospective studyを行った.全症例5mmスライスで撮像した.対象は大腸疾患以外の疾患で入院した患者および外来患者で,本法を行うことに同意が得られた46症例で大腸のHelicalCTを行い,引き続き行った大腸内視鏡検査の診断をGoldStandardとして検討した.VCの存在診断率はSensitivity53.8%,Specificity80.8%,Accuracy64.6%であった,スキャンスライス幅より大きい5mm以上の病変での診断率はSensitivity81.3%, Specificity97.1%, Accuracy92.2%と向上した.以上の結果よりVCは大腸腫瘍性病変における存在診断は良好で,スクリーニングとして有用と思われた.
  • 那須 淳一郎, 岡田 裕之, 水野 元夫, 上江洲 篤郎, 藤田 史郎, 岡野 信明, 岡咲 博昭, 山野 智子, 西村 守, 西山 仁樹, ...
    2001 年 43 巻 12 号 p. 2213-2219
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は20歳男性.痔瘻の手術を機に大腸型Crohn病と診断され,回盲部に非乾酪性肉芽腫が証明されていた.メサラジンを内服していたが,発熱,腹痛で再燃.胸痛,嚥下困難も出現したため,上部消化管内視鏡検査を行ったところ,全食道にpunched-outulcerを認め,同部から非乾酪性肉芽腫が検出された.中心静脈栄養管理,プロトンポンプ阻害剤の内服で症状は数日で軽快した.その後経腸成分栄養剤およびメサラジンの内服を再開し,食道病変は6カ月後には消失した.
  • 井上 拓也, 畑田 康政, 金澤 浩介, 齋藤 正人
    2001 年 43 巻 12 号 p. 2220-2224
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は72歳男性.上腹部痛を主訴として当科へ受診し,上部消化管内視鏡検査を施行.食道胃接合部にShort Segment Barrett Esophagusを認め,同部位にヨード染色にて不染を示す,浅い陥凹を伴った約15mmのO'-IIa+Ilc型の隆起性病変を認めた.生検ではtubular adenocarcinomaであった.超音波内視鏡にて深達度smの可能性も否定できなかったが,当科受診中に肺癌(扁平上皮癌)も認めたため,内視鏡的粘膜切除術を施行した.組織学的にはBarrett食道(Short Segment Barrett Esophagus)に伴う食道原発の高分化型管状腺癌,深達度mであった.粘膜内Barrett腺癌に対し内視鏡的粘膜切除術を施行し得た報告は少なく,われわれの検索し得た限り本邦で13例の報告を認めた.
  • 横田 智行, 松井 秀隆, 曽我 美子, 小林 雄一, 梶原 猛史, 井内 英人, 二宮 朋之, 道堯 浩二郎, 堀池 典生, 恩地 森一
    2001 年 43 巻 12 号 p. 2225-2230
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.平成12年5月の上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部に表面が脳回転状の有茎性ポリープを観察した.内視鏡下でポリペクトミーを行い,病理学的には腺上皮の過形成と粘膜筋板の樹枝状増生の組織像であった,その他の消化管にポリープはなかった.平成3年7月の内視鏡検査時には同様の病変はなく,8年10カ月の経過中に発生した十二指腸球部の孤立性Peutz-Jeghers型ポリープと考えられた.
  • 藤尾 誓, 藤本 高義, 興梠 隆, 西上 隆之
    2001 年 43 巻 12 号 p. 2231-2236
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.著明な貧血による息切れを主訴に来院.内視鏡検査で十二指腸下行脚内腔を占める表面無構造で汚い潰瘍形成を伴う腫瘍を認めた.膵頭十二指腸切除術が施行された.病理組織学的に強い核分裂像を有する異型の強い紡錘形細胞が十二指腸粘膜内へ逆行性に浸潤し潰瘍を形成していた.免疫組織学でc-kit,CD34はともに陰性を示し,α-smooth muscle actinが陽性を示したことより,十二指腸原発平滑筋肉腫と診断した.
  • 東田 元, 加藤 周子, 東 征樹, 若原 成行, 小坂 星太郎, 作本 仁志, 住吉 健一, 松本 啓一, 矩 照幸, 九嶋 亮治
    2001 年 43 巻 12 号 p. 2237-2244
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は46歳女性.検診にて便潜血陽性を指摘され受診.大腸内視鏡検査にて盲腸および下部直腸に直径5mmの粘膜下腫瘍様病変を認め,内視鏡的粘膜切除術にて組織学的にmucosa-associated lymphoid tissue (MALT)リンパ腫と診断した.これまでの大腸MALTリンパ腫の報告より,現在は再発予防に重点を置いた外科的切除が主流である.しかし,本症例は直径5mmの小病変であったことから,内視鏡的治療により治癒しえたものと考えられる.今後長期的な治療成績の評価により,病態に応じた適切な治療法の確立が重要である.
  • 平田 学, 高木 慎太郎, 神野 大輔, 宮田 英樹, 小土井 淳則, 川西 昌弘
    2001 年 43 巻 12 号 p. 2245-2249
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は45歳女性.44歳時にstage IVbの冑癌と診断され化学療法を受けていた.腹部膨満感嘔気・嘔吐出現し外来受診した.腹部X線検査でニボー像を,注腸X線にて直腸に全周性狭窄を認めた.Schnitzler転移による直腸狭窄と診断し,狭窄部にExpandable Metallic Stentを留置した.術後再閉塞なく,3カ月後に基礎疾患で死亡するまで外来通院が可能なまでにQOLは改善された.切除困難な直腸悪性狭窄に対し,本法は低侵襲でQOLを改善できる有用な治療法と思われる.
  • 山浦 高裕, 吉澤 要, 丸山 敦史, 西澤 好雄, 折井 幸司, 六波羅 明紀, 一條 哲也, 松本 晶博, 田中 栄司, 清澤 研道
    2001 年 43 巻 12 号 p. 2250-2257
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,男性.健康診断で肝機能障害を指摘され当科紹介入院.腹部超音波で高低エコーが混在する多発性肝腫瘍を認めた.単純CTでlow,造影CT早期相で一部腫瘍内部が造影され,後期相で一部腫瘍が等吸収域となった.MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で高信号主体の肝腫瘍であった.腹腔鏡検査で肝表面に不整形で暗紫色調な陥凹した腫瘍が多数認められ,肝組織は核異型を伴う腫瘍細胞が大小の管腔を形成し第VIII因子関連抗原陽性であった.腹腔鏡肉眼所見および病理組織所見より肝血管肉腫と診断した.肝血管肉腫は易出血性の腫瘍であり経皮的腫瘍生検による腹腔内出血の危険陸が報告されており,十分な止血操作,止血の確認が可能な腹腔鏡下腫瘍生検がその診断,安全性において有用と思われる.
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